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井上さく子先生の 子どもに学ぶ 21世紀型保育
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第6回
憧れのお山に

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素材用第六回-v2.jpg園庭の築山に登る1歳児

まだ歩行が完成されていない翼くんです。

その前に、お兄さんたちが築山を昇り降りする姿を離れた場所からじっと見つめていました。

誰もいなくなると『今度はぼくがあそこに』と言わんばかりに、トコトコ駆けて行って登ろうとしますが、そううまくはいきません。

それでもよろけそうになりながら、一歩一歩と前に進みます。

なんとかバランスを取ってやっとの思いで頂上にたどり着きました。

誰もそばにいませんでしたが、築山の上で足踏みをしていたのです。

その足踏みは『できたあ!』のシグナルにも映りました。

ここに大人のまなざしがあったら、子どもの心持ちどれだけ豊かに育まれたのでしょう?

でも逆に翼くん、自分だけで達成感を味わいながら

心持ち豊かに育まれた瞬間でもあったかも知れません。

こんなふうにも考えながら、その子の丸ごとを受け止めていました。

喜びもつかの間、降りようとしますが、片足を出しては引っ込め、引っ込めてはまた出してみる、その繰り返しで困った感を表している翼くんに気がついてくれた他のクラスのお兄ちゃんがいたのです。

お兄ちゃんがかけていき、手をつないで一緒に降りようとしています。

手をつないでもらったときに、離れた場所からでも、その子のほっとした瞬間を読み取ることができました。

お兄さんは一歳児の身の丈に合わせてかがみながら、ゆっくりゆっくりと降りていきます。

歩幅と腕の長さと力が合いそうで合わず、ぐらぐら揺れながら降りるしぐさは何ともほのぼのとした風景です。

ところが、あともう少しのところで2人でしりもちをついてしまったのです。

お兄ちゃんは「だいしょうぶ?」とのぞきこむようにことばを添えていました。

その後は、ほっとした表情に変わり、別々の場所に向かって行きました。

誰に言われた訳でもなく、幼子の心持ちに気がついた子どもがとんでいく関係性こそが、寄り添いながら、共に育ち合うことを教えてくれていると思いました。

見ようとすれば見える心持ち。

感じようとすれば感じることができる。

聞こうとすれば聞くことができる。

私たち大人が、意識して子どもから学ぶ視点を据えていくことで、何を支援していけばよいのか見えてくると思いませんか?

例えば、こんなふうにあるがままの姿を受け止めることから始めていきませんか?

そのためには、子どもたちの育ちを確かにしていくために、見る目を研ぎ続けていくことが、最も大切なことであると思っています。

まずは、私から、あなたから、

ここから、今から、

できることから、できることを実践につないでいきませんか?

子どもたちの願いは、とてもシンプルな世界に居られることです。

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