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井上さく子先生の 子どもに学ぶ 21世紀型保育
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第13回
婆の世界は始まったばかり!

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20171025.jpg 家族の一員だった愛犬アトムが天国へ旅立ってから、時が経つにつれ寂しさがのしかかってきました。

そのとき、長女にこう慰められました。

「おかん、妹と一緒に出産したら双子の孫育てができるから。悲しんでいる暇がないと思うよ」

今年、本当にその日がやってきました。

長女には一卵性双生児女の子が、次女には男の子が誕生し、一気に三つ子のおばあちゃんになりました。

孫育ての講演会に呼んでいただいたときに、

「孫はどんなに可愛くてもお金と物でつらないでほしい。どうしてもつりたい方は、釣り堀で魚を! または、遠野の河童渕でかっぱを釣ってほしい」

......なんと厚かましいことを言ってしまったのでしょう。

発した言葉には、責任がついて回ることを今更ながら実感しています。

まさかこんなに早く、孫が誕生するとはゆめゆめ思っていませんでしたので、後悔してもすでに遅しです。

そうだとしたら、ポジティブに発した言葉を自分への戒めと置き換えて向き合おうと受け入れて、孫たちと対話していくことにしました。

まずは私から実践あるのみです。

初孫が双子?! には驚きました。それはいみじくもわたしの卒論研究テーマが「一卵性双生児の女の子の表現の違い、何故違うのか?」だったからです。

一年間、直接協力してもらった双子ちゃんの家に足を運んで、実際の育ち方から学ぶ体験をしたことを思い出しています。

目の前の孫たちと重なることがたくさん見えてきました。

長女は、「双子だけど一緒にしないで! 一人ひとり違うから」と言います。

その言葉を真摯に受け止めました。『気づかせてくれてありがとう!』と心から思いました。

長女はすでに2人の違いを見据えて子育てに臨んでいることに触れて、娘の親としても涙が出るほどに感激してしまいました。

「一人ひとりの違い」からの子育てから、新たな切り口をもらって今に至っています。

双子たちはもう5カ月児、次女の男の子は3カ月児になりました。

それぞれにしっかり自己主張をしています。

特に、双子たちは一人が泣くと『私も泣かなくちゃ!』と言わんばかりに、どちらからともなく影響を受けて泣きます。まさに、泣きの二重奏です。

でも泣きには訳があることを知っている母親も、そこに携わる2人の婆たちも、決してオドオドしません。

『泣きたいんだね!

あらあら2人で泣いちゃって!

だいじょうぶだいじょうぶ。おむつが汚れていたのね、気がつかなくてごめんなさいね。』

『泣きたいよね!

お腹が空く時間だものね。

おっぱいを飲んで、それからミルクを飲もうね。』

おっぱいの時間に、最も目まぐるしい娘です。片方ずつ飲ませて追加でミルクです。

婆たちが居ない夜中や明け方は待ったなしで、一度に2人抱えて授乳と言うこともあります。

初めてその状況に遭遇した時には、たくましい母親を見た思いでした。

親をしてあげようではなく、双子たちによって日々親にさせてもらっていることを実感しました。

双子たちはもちろんのこと、母親としても毎日を一生懸命生きている感が伝わってきます。

私も親として、長女の子育てと重ね合わせてその様子を見ていました。

一人でも大変だった気がします。それを一気に2人分ですから、そのためには覚悟がいると思いますが、すでに覚悟が決まっていると思いました。

『寝不足しているであろう!

疲れているであろう!

ストレスもあるに違いない』

など、勝手に推測してしまいがちです。

ところが

『水分補給している?

休息とっている?

無理してない?

倒れないでね!』

と逆に娘たちに気遣われ、心配させている我身の立ち振舞いを改めなくてはと思う瞬間でもありました。

双子たちは機嫌がいいときは、お互いに喃語でアーアー、ウーウー語り合っています。

横向けば、同じ顔? で、じっと見つめ合うこともあります。

眠くなると寝ぐずりも同じように表現してきます。

横抱きから今では縦抱きがいいと主張し、少しでも角度が違うと訴えもします。

眠るのも眠れないのも、自分で決めます。寝かせてあげようなんておこがましいことにここでも痛い程、気づかされています。

『そうでした。そうですね。

あなた方が心地いい感をつかんだときに、どうぞお眠りください。』

素直に心持ちを据えると、おまじないが通じたかのように、腕の中でどっしりと眠る孫たちです。

何がいいとか

何が嫌だとか

何が不安だとか

何が嬉しいとか

なにが心地いいとか

全部ぜんぶ

孫たちが自分で決めていくこと

自分で選んで決める力をすでに持ち合わせて産まれてきたことを教えてくれています。

全ての幼子たちの願いに即した育児、保育、教育を願わずにはいられない婆たちです。

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