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井上さく子先生の 子どもに学ぶ 21世紀型保育
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第16回
子どもの願いと大人の願いが擦り合わさって本物をつかむ

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おやつ中の0歳児クラスにそうっとお邪魔します。

そうっとのつもりでも子どもたちの視線は大人たちの動きを目で追い続けます。

保育室の隅に膝をついて、子どもたちを見ないようにしながら、環境を見渡していました。

それでも、そろそろおやつを食べ終わろうとしている子どもたちが私の存在を気にかけている空気が流れてきます。

『私はどこから何を仕掛けようかしら?』

少ない可動遊具をそろりそろりと引き寄せて

保育室の窓側の柵を見つけてしまいました。

キャラクターの人形たちが大人目線にずらりと並べられている風景を子ども目線で見上げるとぼく、私の手には触ることも手にすることもできない高さでした。

子どもたちが手を伸ばしたら届く高さに、それぞれの人形たちを下ろして遊ばせていきました。

そのときに、つぶらな瞳の視線を感じたのです。もちろん、食べ終わった子どもは、すぐにでもその場所を目指したがっていることも知ることができます。

人形のそばに私がいると、ためらっていました。

立ち止まっている様子を受け止めてさり気なくその場を離れました。

「ファッションショーのステージのようだわ」とつぶやく大人たち。

可動遊具のその上に登り、手を伸ばすと人形が取れる。その度に

「とれたよ!」

とばかりに声をあげて笑ってくれます。

幼子の笑顔に笑顔で応答するとありったけの人形を取り始めていました。

「あい!」

と大人の手に渡してくれます。

子どもが向きを変えた瞬間に別なところに並べてくれる担任の仕掛けに嬉しくなりました。

面白がっている子どもに寄り添いながら、大人も面白がりながら仕掛けていくと

子どもたちは何回も繰り返し同じことをしていきます。

このタイミングをつかめると子どもとの関係性が楽しくなります。

「保育室に段差があると危ない」と言って、子どもたちの体験から段差を排除してしまう、または作りたくても作れない悩みを受け止めることがよくあります。

子どもの力加減は誰よりも子どもが知っています。段差を経験するからこそ、気をつけて登ろうとします。確かめながら降りることもできるようになります。

『やってみたい!』の心持ちを受け止められる力をつけていくためには、子どもの育ちを知らずしてできないと思いませんか?

いつの間にか他の子どもたちもおやつが終わって、遊び始めています。

キャラクターの人形から離れて、何もない一台のテーブルに、棚の箱の中にしまってある玩具を持ち出して、上に下にと仕掛けていきます。

子どもたちは遊びながらも、仕掛けを意識しています。テーブルの下の並べた玩具を取ろうともぐり始め、そのまま腹ばいで遊んでいました。上にあるものは、立ってさわったり、ころがしたり、落としたりしています。

なんでも試しながら、子どもたち自ら発見をしていきます。

子どもを集めて一斉に保育をしなくても

子どもたちのやりたがっている願いを受け止めながら、大人の願いを仕掛けてデザインしていくと自らその世界を取り込み、感性を磨いていくと思いませんか?

大人が変わり続けることは、子どもの育ちに寄り添う保育を実践していくことにつながります。

全部子どもたちが教えてくれます。

子どもたちの願いを叶えるために、仕掛け人になっていきませんか?

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