第18回
双子の孫たちが面白すぎる
ドアの前にぺたんと座る2人の孫。
開く音に2人で振り向くと、こちらから声をかける前に笑顔で手を振ります。
座った姿勢から、ハイハイでソファを支えにつかまり立ち、つま先立ちが早く早くと身を乗り出すポーズに。
しゃがんで2人一緒に、両手を広げてギュッとすると、一人は身体をねじって前に出て両手を出して抱っこを求めます。もう一人は困った顔を見せますが、先にアピールした孫を抱っこすることになります。
もちろん笑って喜んでくれます。そのときに立って抱っこされてる様子を見上げる、もう一人の孫と目が合うと、にこっとしながら自分の番を待っているかのよう。
2人の願いを叶えるために、交代で抱きあげて、
「おはよう!」
「こんにちは!」
「こんばんは!」
「元気?」
そのときの時間によって交わす言葉が違ってきます。
一人っ子とは違う、気づかい、心づかい。
2人の繊細な育ちの違いを肌で感じながら、バランスを意識するようになってきています。
ごく当たり前の風景、あいさつの始まり、とてもシンプルな1日の始まりだったり、途中だったり、終わりであってもこの子たちが関わる大人の違いを身体で感じながら、『全て吸収しよう、したい!』とうずうずしている空気を感じることができるのも孫のおかげ。
これほど丁寧に子どもたちの心持ちを感じるこができるひとときが、すべて愛おしい。
会うたびに、新しい発見をし続けている孫2人。楽しみ楽しみと思いながら、
何をしているのかな?
何をしようとしているのかな?
何を不思議がっているのかな?
こんな思いを抱きながら、観察している自分がいます。
ハイハイ、つかまり立ち、伝い歩き、一人立ちと目が離せない活発な動きを見せてくれ、
道具や玩具を片手で持つと空いている手にもう一つ。両手に持った道具を揺らす、音を確かめるなど繰り返しているときに、
「シャカシャカ」
「トントン」
「ガチャガチャ」
擬音を口にしながら動かすと、今度は身体を揺らしながら私と音を楽しむ2人。
どちらからともなく手にしたものは、いつのまにか同じ物になることが多いのも不思議。
一人遊びが2人の遊びになり、手離すのも早く次の場所へと動いていくのも、後を追うように同じ動きになっていきます。
ときどき離れることがあっても、振り返ったりのぞき込んだりしながら、お互いの存在を確かめあっている心持ちが伝わってきます。
気にかけながら、動いたり、休んだり、おしゃべりしたりする2人を見ていると不思議な感覚を覚えます。
こんなふうに遊ぶ2人に、仕掛けとは?
つい遊び心といたずら心が動き出し、身近にあったガムテープを手にして、ビリビリビリと切るとすぐに気づいてくれました。
どんな音にも敏感に反応し、興味を示してくれる孫。「どうぞ!」と渡そうとすると片手を出して受け取ってくれるのですが、ピタ!と張り付く感触に一人目は困った表情をしていました。
もう一枚を2人目の孫に「どうぞ!」と渡します。満面の笑顔の孫、ガムテープを手にした瞬間に、複雑な表情に変わりました。こちらも初めての感触と感覚です。
2人ともくっついてしまったガムテープを手で取ろうと必死でモゾモゾしています。
取れたと思ったらまたくっついてしまう感覚をなんとかしよう、したいと夢中になっているうちに、ガムテープが固まってポロリと床にはがれて落ちてくれました。
そして、まだ外れないガムテープと格闘している子の手から取ってあげようとするもう一人の孫。
取ろうとすればするほど、動くためなかなか思い通りにいきませんでした。それどころか、床に落ちたガムテープを拾ってしまったおかげで、両手にくっついてしまい、さらに困惑。
どうするのかな?
手にくっつけたまま、もう一人のバーバのひざに向かってハイハイで行き、ひざを借りて立ち上がろうとした瞬間にガムテープがひざにくっついて
やっと孫の手からはがれて落ちました。
なんだか分からない感触から解放されて、「ハア~!」と肩で息をはく孫。
もう一人もなんとかガムテープは取れたようで、2人のバーバは、かわいい孫たちに大笑いしながら楽しませてもらった物語でした。
おしゃれだったり
素敵だったり
高価なものだったり
良かれと思って渡す玩具や道具よりも、生活環境の中にあるすべての物に興味、関心を示す子どもの世界は、いつの時代も変わらない風景であることを2人の孫たちが教えてくれています。
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コメント(4)
お孫さんふたり一緒の生活は、保育園での隣にいるこどもを感じて成長していく姿と重なって見させていただきました。
4月になりました。一番緊張する月です。
新入園児の大半が0.1歳児。どんな風に自分を表現するのかしら?園で楽しく過ごしてくれるかしらなどと思いを巡らせています。
さく子先生のお孫さんへのかかわりのように、あなたの事も見ていますよと心がけ、いつもの生活の中で見たり、触っているものを遊びの中に添えていくことで、安心できていくのだと感じました。
明日からの園児、職員との出会いが楽しみになりました。
双子のお孫さんの次の物語を楽しみにしています
Enjoyed studying this, very good stuff, regards .
二人のお孫さんの様子が目に浮かんで、とてもあたたかい気持ちになりました。我が子も牛乳パックだったり、お風呂スリッパなどでよく遊んでいます。いつもは遊んでるなぁくらいにしか思っていなかったですが、先生のようにもっと注意して見るとこんな面白い光景に気づけるのですね。今までもったいないことをしていました。帰ったらさっそくもっと子どもを観察してみます。
「これほど丁寧に子どもたちの心持ちを感じるこができるひとときが、すべて愛おしい」という先生のお心、本当に素敵だと思います。私自身も双子の息子(5歳)と年子のお兄ちゃんと日々奮闘中ですが、忙しさに追われてしまうと子どもたちの心持ちをきちんと感じて受け止めてあげられていない時があります。もっと子どもたちの心に向き合って、共に成長できたらと思います。