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井上さく子先生の 子どもに学ぶ 21世紀型保育
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第21回
みきちゃんとママのお誕生日
井上さく子

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第19回イラスト.jpg

ダンボールで作った家の中に

1歳児の男の子2人とその間に並んで女の子。

健ちゃんが手にしているままごとの具材のバナナを見て、みきちゃんが

「ちょうだいよ! バナナちょうだいよ!」と言う。

「だめだよ!ちょうだいよって言ってもあげないもん!」

と健ちゃん。

康ちゃんはそのやり取りを見て、笑っているだけです。

ずうっと「ちょうだいよ! だめだよ!」のやり取りが続いています。

ただそれだけで笑い合う3人。

それだけで楽しい心持ちが伝わってきます。

3人入ったら窮屈なダンボールの家は吹き抜け(?)になっています。

こんなことがおもしろい。

こんなことでもおもしろい。

誰にも邪魔されない世界が守られると、2、3人の友だちと場の風景を共有し合い、コロコロと笑い声を上げて、いつまでも笑い合っていました。

そばに寄り添う大人にも心地よさが伝わってきます。

ところがそこへもう1人の元気くんが突然あらわれて

家の上から健ちゃんの髪の毛を引っ張ってしまいました。健ちゃんは少し離れたところにいる大人に泣きながら、

「いたいよー! 元気くんがひっぱったあ!」と訴えていました。

みきちゃんも心配そうに後をついていき、健ちゃんの頭を撫でながら

「だいじょうぶ?」

「痛かったよね!」

「痛かったから泣いてるんだよね。」

「まだ泣いていたいの?」

と顔を覗き込むように、話しかけていました。

健ちゃんはその言葉に全く反応することなく泣き続け、

みきちゃんの言葉が耳に入りません。

みきちゃんは、そのしぐさややり取りから、小さな保育士のように映りました。

なぜでしょう?

言葉の一つひとつに、豊かな自己肯定感が育まれていると思いませんか?

日常の生活や遊びの中で、自分が大人にかけてもらった言葉をそのまま再現しているかのように映ったからです。

健ちゃんの『泣き』に、ここまで肯定的に言葉を使えるみきちゃんの心の育ち、優しさにさらに魅せられる風景がありました。

テーブルに並べてあるままごとの具材の中から

ケーキだけをお皿にのせて、少し離れた丸テーブルに置いた後に

可愛い声で

それも1人で

周りには、誰もいません。

「たんたんたんたん誕生日♪

おかあさんの

おかあさんの

誕生日!」

とお母さんの誕生日を

祝って歌っていたのです。

「おかあさん お誕生日おめでとう!」

思わずウルっとしてしまいました。

こうして遊びながらも、お母さんを思い出しながら素敵な物語を紡いでいる、みきちゃんの心持ちに触れて、大切に育てられているお嬢さまだと実感できました。

まだまだこの年齢だと途中で

お父さんやお母さんを思い出したら

人恋しくなり

パパがいいー!

ママがいいー!

と泣きたくなって当たり前なのに。

生活や遊びの中で、こうして

自立しようとしていること

自立させるのではないこと

自ら自立したがっていることを

しっかりと見極めて、受け止めていくこと

そのことが、私たち大人にも求められていることだと思いませんか?

みきちゃんは20年後、どんな大人になるのでしょう。

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