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井上さく子先生の 子どもに学ぶ 21世紀型保育
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第20回
晴れた日の長靴
井上さく子

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保育20回イラスト.jpg長靴がいい!

雨 降ってないでしょう?!

やだあ!

長靴がいい!

このやり取りがしばらく続きます。

まだ2歳になったばかりの女の子

お母さんと出かける前の葛藤から、朝が動き出します。

あるあるそういうこと、

あったあったこういうことと

客観的に受け止めますが、

あらあら......親子は必死です。

主張する女の子と止めようとするお母さんと。

いつの時代にも大きくなろうとする子どもたちのあたりまえの育ちがここにあります。

これも発達に必要なプロセスです。

そうは言っても初めての子育てでは、そうとは知らず大人の価値観で説得しようとします。

それも当たり前です。

お互いに主張し続けていたら、にっちもさっちもいきません。

むしろどんどんエスカレートしてしまいます。

朝一番に2歳になったばかりの女の子のやり取りを耳にしながら、ある男の子のことを振り返っていました。

全く同じシチュエーションです。

新しい長靴と新しい傘が嬉しくて、晴れていても普通に長靴履いて、傘をさして登園してきました。

お母さんはどうしましょう?

雨が降っていないのに言うことを聞いてくれません。

どうしたら分かってもらえるのでしょう?

いつまで続くのかしら?

相談を受けて

お母さんの子ども時代はどうでした?

思い当たることありませんか?

あります。

ありました。

私もそうでした。

振り返ってはっとするお母さん。

どうします?

どう思います?

ずうっと長靴履くわけじゃないと思うので、あきらめてこの子が納得するまで、お付き合いしてみますと決めてくれたのです。

そのおかげで、しばらく晴れの日の長靴と傘は続きましたが、いつのときからかピタリと長靴と傘から卒業できました。

もうだいじょうぶ! と自分で納得できたときにやめる心持ちになってくれたのです。

長靴も傘も雨のときに使うものと受け止められたときに、すくっと何かが芽生えていきます。

大人が必死になってなんとかしようとしなくても、子ども自らの力でコントロールできることを教えてくれたエピソードでした。

なんと、そのエピソードは今では歌になって、歌い継がれています。

大人になると雨が降ると困ったり、憂うつになったりしがちですが、子どもたちは大人の都合なんてケセラセラ、雨が大好きです。

雨の日の水たまりは、願ってもないスリル感いっぱいの格好の遊び場になります。ところが大人の都合で、雨の日は外遊びをしない。誰が決めるのでしょう?

雨の日の園庭の景色をじっと眺めながら、

「お外に行きたい」とつぶやく幼子たちの心持ち

どんなふうに、受け止めていますか?

受け止めていこうとしていますか?

雨の日でも園庭にカラフルな傘の花を

咲かせてみませんか?

自然の恵み、雨が教えてくれる貴重な体験こそが幼子たちの感性を豊かにしてくれると思いませんか?

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