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井上さく子先生の 子どもに学ぶ 21世紀型保育
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第30回
いよいよ新学期、保育士の心得は?
井上 さく子

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さまざまな保育現場から巣立っていったドキドキの一年生を憧れの存在として、心も体も健やかに成長をし続けている子どもたち。保育園の子たちも一つ大きくなって新しいクラスに進級してきました。

さて春、4月!

どんな物語のページが開くのでしょう。

子どもたちの世界は新年度のステージではじめの一歩を踏み出します。

その瞬間から物語が始まります。

子どもたちは成長し続けながら、休むことなく昨日とは違う「ぼく、私」になり続けています。

環境が変わっても、担任が変わっても小さな葛藤をしながら新しい出会いに柔らかく順応していきます。

ところが、大人たちはどうでしょう?

職員の異動や初めてもつ年齢のクラス担任。新人や初担任同士の顔ぶれなどの理由から、緊張感が走ったり、不安な心持ち抱いたりして揺らいでいませんか?

往々にしてありがちな風景です。

あっても当たり前だと思います。

だからと言って、それでいいんだと留まってしまったら、それはそれで大変な世界に幼子たちを誘うことになると思いませんか?

大人たちが不安な心持ちで揺らぐ分、子どもたちはその何倍もグラグラ揺らぎます。そうなったら「ぼく、私」はいったい誰を信じて助けを求めればいいのでしょう?

大人たちが、不安な空気を吸わせてしまうことになると思いませんか?

入園当初は、年齢によって不安を抑えきれずに泣きの大合唱になるクラスがある中で、大人たちはその泣きをどんなふうに受け止めて、助けているのでしょうか?

泣いている理由を受け止めずして、絵本や玩具、道具などで気持ちを納めようとしたり、泣きやませようとしていませんか?

泣きの原因ははっきりしています。

初めての場所、初めての知らない大人、初めてのお友だち。「どこを見ても、何をしても不安だらけの子どもたちだから」です。

張り裂けんばかりの心持ち、泣くしかない。

泣き疲れて眠ってしまうこともあります。

泣いていいんです。

泣いてサインを出している子どもたちを

泣きやませるのではなく、

「泣きたいよね?」

「泣きたいときは泣いていいんだよ!」と

一人ひとりの心持ちを両手で丸ごと受け止めながら、ギュッと抱きしめてほしいと心から願います。

新しい環境に慣れるまで、今日も明日も明後日も、ずっと泣き続けるかもしれません。

そんなときに、どんなふうに受け止めているのでしょうか?

「泣きたいときは泣いていいんだよ!」と心持ちを言葉にして添えながら、自分から泣きやんだときに

「どうする?」

「いっしょに遊ぶ?」

など、応答的に関係性を育みながら、自分から動き出そうとするその瞬間を見逃さずに受け止めていきませんか?

泣き終わった後の心持ちは、不安だったけどなんだかスッキリした感が。

泣きの途中でただごまかされた感を抱かせてしまったら、スッキリ感には繋がらないということでもあります。

いかがでしょう?

大切なこと

大事なこと

新年度のスタートラインに向けて、めざす子ども像を熱く語り合ってほしいと心から願います。

この最も大切なことを擦り合わせずして、具体策が見出せますか?

方法論先にありきの環境構成では、その先で壁にぶつかることになります。

どんな子どもになってほしいかを心の中心に据えて対話的保育を実践していくと、困ったときには目の前の子どもに聞くという姿勢が取れるようになっていきます。

つい最近のことですが、保育目標もクラス目標も話し合わずに新年度のスタートをしてしまったという状態のクラスを見る機会がありました。

それどころか、大人の思い通りに、大人先行型の保育をしてきたことになんの疑問を抱かないことに愕然としてしまいました。

これが社会の縮図とならないことを願わずにはいられませんでした。

今からでも遅くありません。

新年度から改めて、どんな子どもになってほしいのか?

そのためには、どんな環境をデザインしていくのか?

できることから確実に着実に始めていきませんか?

明示化された指針をバイブルに!

子どもたちの幸せを願いながら。

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