保育士の転職・求人・募集なら【マイナビ保育士】

採用ご担当者様へ

井上さく子先生の 子どもに学ぶ 21世紀型保育
記事一覧に戻る

第31回
大型連休で親子の絆を
井上 さく子

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

修正済31回大型連休.jpg

新年度がスタートして約1カ月が過ぎ、やっと慣れたところで大型連休を迎えました。

保育現場はカレンダー通りのところと必要に応じてオープン対応しているところがあり、一律ではない接遇の中で、どんなふうに連休をお過ごしでしょうか?

職業問わず、多くの大人たちは願ってもないリフレッシュのチャンスと受け止めてスケジュールがぎっしり!

一方で子育て中の家族は、必ずしも大型連休を手放しで喜べない心境だったりするかも知れません。

どんなふうにお過ごしでしょうか?

・早くから、家族みんなで旅行の計画を立てて水入らずのひとときを

・敢えて遠出はせずに、近場の公園や遊園地などでゆったりと家族のふれあいを

・どこにも出かけずに親子でゆったりまったりとくつろぎながら、心と体の充電日に

子どもたちにとって、日常は必ずしもゆったりできない集団生活だったりします。

一日でも多く大好きな家族と過ごせることは、何よりのプレゼント

それが大型連休かも知れません。

最愛なる我が子と離れて過ごすことに不安を抱くこともあり、せめてお休みのときは

我が子としっかり関わろうと思いながら、この連休を過ごしている家族もあるのかも知れません。

実は連休に入る前に子育て中のご両親向けのセミナーでこんな相談を受けました。

あるお母様は1歳児の子どもがなかなか集団に慣れてくれず、家に帰っても思うように扱えずどうしていいのかわからなくなっている。

申し訳なくてこのまま働き続けていいのかと悩むと涙ぐみながら話してくれました。

子どもの願いは「ママが一番!」

ママは「仕事を辞めてずっとこの子と一緒にいたい!」

それが本音かも知れませんが、働きながら子育てをすると決めた理由を今一度思い出してみる必要があるかもしれません。

あるお父様は、保育園のお迎えに行くと、毎日我が娘が延長保育の最後の一人になっている現状である。3歳の娘はお迎えの度に、最近になって「さみしい」と呟く。

その言葉を耳にするたびに、どうしてあげていいのか分からない。これでいいのかな?と悩むとのことでした。

いずれの悩みも預け先の保育園の大人たちに素直に相談できていたら抱え込まずに済むと思いながら、伺っていました。

特に、初めての子育ては、親としても初めてのことだらけ、もちろん子どもたちも毎日が初めての体験の連続の中で一生懸命に成長を遂げています。

親としても仕事も子育ても同じように精一杯頑張っています。

そのセミナーには園長先生を始め、職員の皆さまも参加していました。お父様、お母様のもがきや葛藤をどんなふうに受け止められたのでしょうか?

皆さまでしたら、お2人の悩みをどんなふうに受け止めて言葉を添えるのでしょうか?

私自身の子育ても振り返りながら、いつの時代もいつのときも、同じようなプロセスを辿りながら子育てをしていることを知り得て、働きながら子育てをしていることをマイナスに受け止めるのではなく、とも育ち、とも育てをしていくために働いていることに確信をもってほしいと思いました。

まだ、幼子たちにはその願いや想いを理解できないかも知れませんが、いつかその意味を分かってくれるときが必ずくると信じて対話していきませんか?

大丈夫かしら?

セミナーの皆さんが大きくうなずいてくれてとても嬉しく思いました。

こんなふうに、対話を重ねていくともがいていたことや葛藤していたことを言葉で表現できたことで、心の内が軽くなった気がしますと言って子どもの手を繋いで帰っていく親子の後ろ姿に

「子育てを頑張らないで!」

「ときには手抜きすることも大事ですよ!」とエールを送りました。

また、最後まで残るお子さんには、「さみしい」と言わせない保育を洗い出してほしいと率直に思いました。集団が少ないということもありますが、それは理由にならないと思います。少人数だからこそ、家庭的な保育の中で楽しいことをたくさん体験できるくふうができるかもしれません。

夢中になって遊んでいて、「もうお迎え?」と思えるような日常生活を!

みなさんの園では、いかがでしょうか?

親御さんを不安にさせることは、子どもをさらに不安定な環境に追いやることと思いませんか?

このような状況下に置かれているときこそ、まずは親御さんが抱えている悩みを全面的に受け止めながら、言葉のキャッチボールをしていくことです。

「それから」

「それで」

「どうします?」

その結果、答えをご自身で見出せたら、悩みは解決できたことになると思いませんか?

見通しがもてるようになると、目の前の子どもの見方や受け止め方も大きく変化します。

子どもとの関係性も心地よくなることでお互いに安心して過ごせるようになると思いませんか?

2つの事例はほんの一部であり、同じような悩みは他の場面でもあり得ることだと痛感しています。

大型連休でのさまざまな体験を通して、楽しい思い出をたくさん綴ってほしいと願わずにはいられません。一方では、後半になってドッと疲れが出ないように心配りをしていただけたらと願います。

そのためには、目一杯遊び惚けるのも大いに結構ですが、子どもたち中心のスケジュールを組むことです。

特に、食事や睡眠のリズムがずれてしまうと全ての歯車が狂ってしまいます。

崩れるのはあっという間ですが、休み明けに向けてそのリズムを回復するために、倍の時間がかかってしまいます。

大人たちは頭で切り替えられても、子どもたちにとっては体内リズム調整をしていくことになるため、集団生活に戻ってからうまくコントロールできないこともあります。

休日後を想定しながら、休日に備えていただけると誰よりも子どもたちが幸せです。

大型連休が明けて再会するたくさんの子どもたちを

ゆとりをもって、抱きしめてほしい!

疲れを背負ってきている子どもが一人でもいたら、その子にあった生活や遊びの提供をしてほしい!

心から願います。

前の記事 記事一覧に戻る 次の記事

まずは求人!かんたん検索