男性保育士の現状と将来性|年収からメリット・デメリットまで
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男性保育士として働きたい方の中には、保育園や認定こども園で男性の活躍する場があるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。保育士のなり方や資格取得制度に男女の違いはなく、求人情報において男性保育士の募集も多く見られます。
しかし、実際の職場環境において、男性保育士が歓迎ばかりされているとは限りません。男性保育士特有の悩みもあり、大変な面もいくつかあります。
そこで今回は、男性保育士を取り巻く現状と将来性について、男性保育士のメリット・デメリットを交えて解説します。保育士になることを検討している男性は、参考にしてください。
男性保育士を取り巻く現実とは?
子どもの保育を担当する保育士は、かつて女性の仕事として見られていました。そのため、現代においても保育士は、資格者人数の男女差が大きい業界です。
2018年の統計調査によると、男性保育士の労働者数は女性保育士の10%以下と、非常に少ない数字となっています。
男性保育士 | 13,400人 |
女性保育士 | 216,220人 |
(出典:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html)
保育士における男女の人数差は、保育の現場でより顕著となっています。保育園の中には男性保育士が1人も勤務していないところも多く、男性用の更衣室を設置していない保育園も少なくありません。現代社会でも保育園は女性の職場と見られやすく、男性保育士は厳しい現実と向き合う必要があるといえます。
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男性保育士の平均的な年収
女性保育士に比べてマイナーな男性保育士は、どの程度の平均年収を受け取れるのでしょうか。2018年の統計調査から、男性保育士と女性保育士の平均月収・平均年収を紹介します。
平均月収 | 平均年収 | |
男性保育士 | 約26万円 | 約380万円 |
女性保育士 | 約23万円 | 約340万円 |
(出典:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html)
平均月収・平均年収は、男性保育士の方が女性保育士よりも高くなっています。ただし、保育士は専門性のある仕事内容に対して給料が低いと言われており、男性保育士も十分な給与額を受け取っているとはいえません。
男性が保育士となるメリット
男性保育士として働くことには厳しい現実もありますが、保育の現場で男性保育士が歓迎されていないわけではありません。
男性保育士は、男性ならではの強みを活かして、女性保育士とは違う役割をこなすことが可能です。
ここでは、男性が保育士となる3つのメリットを紹介します。
女性保育士とは違う保育ができる
保育する子どもの中でも、遊び盛りの男児は走り回ったりボール遊びをしたりと、とてもパワフルです。元気がよい男児は女性保育士の手に余ることもありますが、体力がある男性保育士は遊び相手となることができます。率先して遊ぶことができる男性保育士は、子どもたちの人気者です。
男性保育士は男児のトイレサポートもしやすいことが特徴といえます。たとえば遠足先で男児にトイレサポートが必要なとき、女性保育士は男性用トイレに入れません。しかし、男性保育士は男児と一緒にトイレへ入り、トイレサポートをすることが可能です。
男性と女性は身体のつくりが違うため、男児のトイレサポートは男性保育士の方がやりやすい点もメリットといえます。
体力面・防犯面で一目置かれる
保育士の仕事は、職員の体力が必要となる場面も存在します。子どもの遊び相手はもちろん、園内の電球交換や荷物の運搬・イベント時の設営スタッフなど、業務全般の中で力がいる作業も少なくありません。
基本的に男性は女性よりも筋力があるため、力作業のときにとても重宝されます。
また、男性保育士がいることは、防犯面においても効果的です。男性保育士の存在は不審者を近づけないことにも繋がるため、保育園のセキュリティにおいて効果を発揮します。
子どもを預ける保護者も保育園の防犯面は重視しているため、男性保育士の存在は大きな安心材料です。男性保育士がいる園は安心して保育を任せられる・心強いと感じられるメリットがあります。
男性の保護者から頼ってもらえる
イクメンという言葉が一般に浸透したように、保育園の送り迎えや参観日に、母親ではなく父親が来るケースも多くなっています。しかし、男性保護者が保育園に来た場合、周囲は女性保護者や女性保育士がほとんどとなり、肩身のせまい思いで過ごすことも少なくありません。
男性の保護者にとって、男性保育士は話しやすく、頼れる人間関係を作れることがメリットです。育児についての知識が乏しい父親の方は、子育ての方法や接し方について疑問を抱えています。同じ男性であり、保育のプロである男性保育士は、男性の保護者にとってよき相談相手となる存在です。
男性保育士が悩むデメリット
男性保育士として働くことは、メリットばかりではなく、デメリットも存在します。
デメリットはときに働く障壁となることもありますが、デメリットに対する対策も存在しています。対策を行うことで、デメリットを減らすことも可能です。
ここでは、男性保育士が悩むデメリットの中でも、代表的な2つについて解説します。
保護者から警戒されることがある
男性保育士に多い悩みは、保護者から警戒されることです。保育園は男女問わず小さな児童を預かっており、男性保育士が女児の着替えを手伝うこともあります。そのため、保育の現場にいる「男性」が不適切な言動をしないか、疑惑の目を向ける保護者も少なくありません。
実際、男性保育士による不祥事も過去に発生しているため、保護者たちが抱く不安感や警戒心を、現職の男性保育士は受け止める必要があります。
男性保育士が保護者から警戒されないためにも、常に保護者から信頼されるよう振る舞いましょう。
多くの男性保育士は、保育に真摯な姿勢で取り組んでいて、女性保育士と大きな役割の違いもありません。任されている全ての子どもに愛情深く、誠実に保育していることを伝えられれば、保護者が持つ警戒心や偏見を解くことができます。
数字目標がなく給料が上がりにくい
保育士は、営業職や販売業のように業務成果が数字となって表れる職種ではなく、評価の基準も明確になっていません。仕事に打ち込んで目標を達成する働き方に慣れている方にとっては、モチベーションを上げにくい仕事といえます。
保育士はもともと給料が低いと言われている職業でもあり、家庭を持っている男性保育士の方にとっては、実際に収入面がきついと感じることも少なくありません。元の給料が低く、給料も上がりにくいことが理由で、仕事への熱意を失ってしまうこともあります。
男性保育士に限らず、保育士として働く方は、数字目標や給料をモチベーションとする考え方をリセットしてみましょう。保育士は、子どもが笑顔で過ごせるようにサポートする、やりがいのある仕事です。子どもたちを見守り、成長を実感することは大きなモチベーションとなります。
また、保育士の低賃金は保育士不足の原因となっているため、国も待遇改善や支援対応を進めている状況です。厚生労働省は副主任保育士・専門リーダー・職務分野別リーダーといった役職を新設し、キャリアアップ研修制度も用意しています。役職に就くことで手当がプラスされ、給料アップを狙うことも可能です。
男性保育士は需要が高く将来性のある仕事!
男性保育士として働く上では、メリット・デメリットの双方があることを考えなければなりません。しかし、男性保育士は保育の現場において需要も高く、将来性のある仕事でもあります。
男性保育士は、年中行事を精力的にこなして子どもたちが笑顔で過ごせるように見守る、父親役としての役割を期待されています。男性保育士の力強さ・リーダーシップは、子どもや保護者・同僚の保育士からも頼られる、保育施設において重要性の高い資質です。
十分なリーダーシップを発揮できる方は、副主任や主任といった管理職へのキャリアアップを望むことも可能です。現場経験を積み、保護者の信頼も厚くなれば、トップである園長を視野に入れることもできます。
自分がどういうキャリアを築きたいかしっかりと考え、保育士の仕事に取り組んでいきましょう。
まとめ
ここまで、男性保育士を取り巻く現状と将来性について、また男性保育士のメリット・デメリットを解説しました。
保育士は女性の仕事として見られやすく、男性保育士を取り巻く現状は決して易しいものとはいえません。しかし、男性保育士は力仕事に向いており、男児の保育にも適しているなど、女性保育士とは異なる役割を持っています。
男性が1人いると防犯効果が期待できるため、男性保育士の需要も高まっています。保育士を目指したい男性は、積極的にチャレンジしてみましょう。
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