病児保育とは?病後児保育との違い、仕事内容や必要な資格を解説

病児保育とは?病後児保育との違い、仕事内容や必要な資格を解説

文: 神戸のどか(保育士ライター)

近年、共働き世帯の増加に伴い、子どもが病気になったときに親の代わりに保育をする「病児保育」の需要が高まってきています。体調を崩している子どもを預けられる場所が身近にあることは、保護者が安心して働けることにもつながるでしょう。

この記事では、病児保育とは何か、対象となる子どもの年齢や、病後児保育との違い、病児保育士の仕事内容や必要な資格、求められるスキルについて詳しく紹介します。

病児保育について詳しく知りたい方や、病児保育で働くことを検討している方はぜひ参考にしてください。

病児保育とは?

病児保育とは、体調を崩した子どもを保護者の代わりに一時的に預かって保育することです。共働き夫婦やひとり親家庭の場合、子どもが突発的に病気になっても子どもの側にいられないこともあるでしょう。

病児保育は、子どもの看病のために仕事を休むことが難しい保護者の助けになるものです。

利用対象者となる子どもの年齢

病児保育を行う施設では、おおむね0歳児から小学校6年生までの子どもを預かっています。また、施設によっては預かる年齢を、「就学前 まで」「小学校3年生まで 」と定めているところもあります。

それぞれの施設によって対象年齢が異なりますので、利用を考えている方は事前に施設のホームページやパンフレットで確認しておきましょう。

病児保育の利用状況

厚生労働省の資料によると、病児保育事業を利用している児童数は、平成28年度は約88万人、平成30年度には100万人を超えています 。2年間で12万人以上も利用者が増えていることから、病児保育の需要が高くなっていることがわかります。

また、年々、病児保育事業を実施している施設の数も増えている ことから、これからも利用者が増えることが予想されます。共働き世帯の増加に伴い 、病児保育が求められる場面はますます多くなるでしょう。

参考:病児保育事業|内閣府

病児保育が必要とされる理由

病児保育は、親が仕事などで病気の子どもを見ることができないときに利用されます。小さな子どもは免疫機能が未熟であるため、気をつけていても体調を崩してしまうことがよくあります。

一般的に37.5度以上の発熱があったときや感染症にかかった場合 は、保育園に預けることができません。

また、熱がない場合であっても、「子どもの体調を悪化させないために」「保育園内に感染を広げないために」という理由で、次のような症状がある場合は保育園に登園させることが難しいでしょう。

  • 食欲がなく食事や水分が摂れない
  • 下痢や嘔吐を頻繁にしている
  • 咳があり睡眠がとれない

保護者のなかには、子どもが体調を崩すたびに保育園を休ませなければならず、職場で使える休暇日数が足りなくなるなど困った経験をしたことがある方も多いでしょう。仕事の休みやスケジュールを調整することに対して、精神的な負担を感じることも少なくありません。

さらに、祖父母などの家族が近くに住んでおらず、頼れる人が身近にいない子育て家庭も多く存在します。保護者が安心して働ける環境を作るためにも、病児保育が必要とされています。

病児保育を利用できない病気や症状

病児保育室は体調を崩している子どもを預かるための施設ですが、一部の場合では利用が難しいこともあります。病児保育の利用ルールは施設によって異なりますが、以下のような症状がでている場合は利用が制限されることがあるかもしれません。

【病児保育を利用できない症状の例】

  • 解熱剤の効果がない
  • 水様便が頻繁にある
  • 喘息がひどく、呼吸困難がある
  • 下痢や嘔吐による脱水症状の兆候がある
  • 医師により受け入れができないと判断された場合

病児保育の利用を検討している方は、預けることができるか事前に確認しておくとよいでしょう。

病児保育が行われる場所と人員配置

一般的に、病児保育は病院、診療所、保育所などに付設させた専用スペースや施設で行われます。子ども・子育て支援法施行規則「法第七条第十項第七号の基準」によると、病児を一時的に保育する場合は、次の要件を満たすことが定められています。

  • 保育室、病児の静養又は隔離の機能を持つ部屋及び調理室を有すること
  • 事故防止及び衛生面に配慮するなど病児の養育に適した場所とすること
  • 対象病児等の病状が急変した場合に、受け入れることができる医療機関及び症状、心身の状況の把握、感染の防止その他の事項に関して指導又は助言を行う医師をあらかじめ定めること

参考:病児保育事業|内閣府

地域によっては看護師などが保護者の自宅へ訪問し、一時的に保育する形の病児保育を行う場合もあります。

病児保育における人員配置

病児保育では、「病院、診療所、保育所などに付設された専用スペース」や「専用施設」で一時的に保育する場合、国が定めた下記の配置基準で実施することになります。

  • 看護師等:利用児童おおむね10人につき1名以上
  • 保育士:利用児童おおむね3人につき1名以上

参考:<参考資料2>病児・病後児保育制度の概要 |厚生労働省

「病児保育」と「病後児保育」との違い

病児保育は病気の急性期にある子どもを預かる一方で、病後児保育は回復期にある子どもを預かる事業です。回復期とは、急性期・感染力が強い時期を超えて安静に過ごすことで病状が悪化することがないと判断された時期 のことです。

病後児保育の場合は、麻疹・風疹・水痘などの病気によっては預かることができない場合もあります。

病児保育士の役割と仕事内容

病気の子どもを預かる施設で働く病児保育士は、どのような仕事をしているのでしょうか。

ここからは、病児保育士の役割や仕事内容、施設に必要な人員配置などを紹介します。

役割と求められるスキル

病児保育士の仕事は、保護者の代わりに病気の子どもを預かって保育することです。子どもの病状が重症化する場合もありますので、子どもの様子や体調の変化をしっかりと見守ることが必要です。

また、体調が優れない子どもは不安を抱えていることも多いため、精神的なケアも求められるでしょう。

病気の子どもを預かるときに求められるスキルには、以下のようなものがあるでしょう。

体調に配慮した保育をするスキル

病気の子どもは体力が低下しているため、個々の体調に合わせた保育が求められます。また、症状が悪化しないように、子どもが静かに遊べるような声掛けや遊びの用意が必要でしょう。

また、施設には体調が優れない子どもが生活しているため、感染症対策として念入りな消毒が欠かせません。自分自身も体調を崩さないように、体調管理には十分気を配ることが求められます。

子どもの病気や心理状態を理解するスキル

病児保育室には相談できる看護師や医師がいるかもしれませんが、子どもの近くで保育する保育士も病気の知識や対応方法を知っておく必要があります。

さらに、病気で心細いと感じる子どもの心の状態を理解し、気持ちに寄り添いながらサポートすることが大切です。

病児保育士の仕事内容

病児保育室で働く保育士の仕事は、下記のようなものがあります。

【病児保育士の仕事内容】

  • 登園児の受け入れ
  • 検温
  • 経過観察
  • 静かに過ごせるような遊びの準備
  • おやつの準備
  • 昼食の準備
  • お昼寝の見守り
  • 保護者への引き渡し
  • 受診の付き添い など

病児保育士は子どもが心地よく過ごせるためにも、体調の優れない子どもが安心して遊べる環境を整える必要があります。室内で過ごす時間が長いため、幅広い遊びのアイデアを持っていると役立ちます。

病児保育士になるために必要な資格

病児保育を行う場合は、保育士あるいは看護師の資格が必要ですが、保育補助であれば、無資格でも勤務ができます。

また、「認定病児保育専門士」「医療保育専門士」「認定病児保育スペシャリスト」という民間の資格もあります。

これらの資格は必須ではありませんが、病児保育についてより深く学ぶよい機会となります。現場でも活かせる知識や経験があることで、病児保育士として活躍の幅が広がるでしょう。

病児保育士として働くメリットとデメリット

体調が優れない子どもの保育をする病児保育士として、働くメリットやデメリットを紹介します。病児保育士を目指している方は、参考にしてください。

病児保育士になる5つのメリット

  • 少人数の子どもと深く関わることができる
  • 社会から必要とされているためやりがいを感じる
  • 静かに遊ぶことが多いため、身体への負担が軽い
  • 大きな行事がないため、準備に追われることがない
  • 0歳~小学生とさまざまな年齢の子どもの保育ができる

病児保育では少人数の子どもを保育するため、一人ひとりにじっくり向き合えます。また、大きな園行事がないため、企画や準備に追われることが比較的少ないといえます。

保護者が仕事に専念できるようにサポートし、子どもたちの体調の回復を支えられる病児保育士はやりがいのある仕事です。

病児保育士になる4つのデメリット

  • 感染症へのリスクがある
  • 継続して子どもの成長を見守ることができない
  • 短い時間で子どもと信頼関係を築く必要がある
  • 体調が急変することもあるため命を預かる責任を重く感じる

子どもが病気になっているときに保育することが病児保育士の仕事ですので、その日によって預かる子どもが変わります。継続して子どもを保育することができないので、寂しく感じる人もいるでしょう。

また、感染症へのリスクがあるため、体調を崩してしまうこともあるかもしれません。体調を崩せば欠勤することになるため、プレッシャーに感じることもあるでしょう。

まとめ

病児保育士の仕事は、病気の子どもを保護者の代わりに保育することです。共働き世帯が増えているなか、子どもが体調を崩すたびに仕事を休めない保護者も多数います。看護師や保育士がいる場所で安心して子どもを預けられることは、保護者にとって心強い存在となります。

病気の子どもを保育するためには、病気の知識や体調に配慮した対応が求められます。病児保育ならではのスキルが必要になりますが、保育士としてスキルアップが期待できます。

参考サイト:

神戸のどか(保育士ライター)
保育園で、0歳児から5歳児の子どもたちの保育を5年半担当してきました。
「一人ひとりの個性」や「主体性」を大切にする保育園での勤務経験を活かし、
現在は保育士さんや子育て中のママやパパに向けて記事を執筆しています。
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