自己肯定感とは?自己肯定感が及ぼす影響と対策

自己肯定感とは?自己肯定感が及ぼす影響と対策

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最近の子育てのキーワード、「自己肯定感」。日本の子どもの自己肯定感の低さが注目され、国も教育改革に積極的に取り組んでいます。ここでは、自己肯定感の大切さと、子どもの自己肯定感を育むために親ができることについて、詳しくお伝えします。

自己肯定感とはなにか?

よく耳にするようになった「自己肯定感」ですが、具体的にはどういうものなのでしょうか。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは次のように語っています。

「自己肯定感」とは、自分のいいところも悪いところも含めて、「自分はありのままでいいんだ!」と認められる感情のことです。一方、その逆はなにかというと、自分の存在を認められない「自己否定」です。この自己否定の感覚が強くなると、最悪の場合自ら死を選ぶということにもなりかねません。それだけ自己肯定感は重要な力であり、いわば生きる力の根幹です。

自己肯定感は、人生を切り開くチャレンジ精神のベースともなる、人がよりよく生きるためにとても重要な力なのです。

引用:こどもまなびラボ・中曽根陽子氏インタビュー「自己肯定感が「高い子の親」と「低い子の親」。驚くほど全く違う、それぞれの特徴とは」

自己肯定感が子どもに及ぼす影響

自己肯定感の有無は、子どもにどのような影響を与えるのでしょうか。

【自己肯定感が高い子どもの特徴】
自己肯定感が高いということは、「自分の価値や力を信じることができ、自分を大切な存在だと思える」ことです。そういう子は、自分の意見をしっかりいうことができ、健全な人間関係を築けます。失敗してもめげずに挑戦を重ねて成長できるため、人生を力強く歩むパワーに溢れています。

【自己肯定感が低い子どもの特徴】
大きく3つの特徴が懸念されます。
◎チャレンジ精神がない・失敗に弱い
失敗が怖くて挑戦ができません。要因は、自分への自信のなさ。結果がすべてなので、失敗すると心が折れてしまい、その経験を乗り越えることができません。
◎人の目(評価)を気にしすぎる
嫌われるのが怖いため、常に人の顔色を伺い、自分の意見を言えません。また、自分を認められないので、ほめられても素直になれず、うがった見方をしてしまいます。
◎自己否定
自己肯定感が低いと、「怒られたのは自分のせいだ」「自分ががまんすればいい」とただ落ちこみ、負のスパイラルにハマってしまいます。

歌手で教育学博士でもあるアグネス・チャンさんは「自己肯定感が低い子は、『ちゃんとした自分でないと周りに認めてもらえない』と考えてしまうので、心がボロボロになっても普通にしている傾向があり、周囲も気づくのが遅れてしまう」と言っています。親は、子どもがどういう状態にあるのかをしっかりと見極めて、対応してあげる必要がありそうです。

日本人の自己肯定感の低さと10歳の壁

子どもの自己肯定感を考えるとき、注目すべき2つの視点があります。

●日本人の自己肯定感の低さ
令和元年版「子供・若者白書」で「自分自身に満足している」と答えたのは、日本は45%と唯一過半数に届きませんでした。他国(韓国と欧米5カ国)でトップはアメリカの87%、その他の国も軒並み7割超えで、日本との差が際立っています。

これは、日本独特の「謙遜の美徳」に由来するという説も。ほめられても「いえいえ、まだまだうちの子なんて…」と、親が子どもの前で言ったりしますよね。自慢せず、協調性を大切にする文化では、「自分(身内)が価値ある人間である」と主張することは傲慢と思われかねないため、控えめになり、子どもの自己肯定感にも影響していると思われます。

●10歳の壁
青山学院大学教育人間科学部教授・古荘純一氏の小・中学生を対象にした「子どものQuality of Life(生活の質)」調査(2009年)の結果、QOLには自己肯定感が大きく関わっており、さらに子どもの自己肯定感は10歳から低下し始めることがわかりました。そのことは、大きく2つのプレッシャーと関係があると考察されています。

・親の影響―親自身の自己肯定感が低い・期待が大きい
・まわりの影響―「空気をよまなければ」という同調圧力

発達心理学的にも10歳前後は子供から大人へ成長し始める大事な時期。法政大学文学部心理学科の渡辺弥生教授も「精神的に安定している小学校低学年から、次第に性格や能力をまわりと比較し劣等感を抱き始める年頃」と言います。つまり、10歳までにいかに自己肯定感を育めるかが、ポイントになってくるのです。

自己肯定感を高めるためのポイントとは

幸福学研究者で慶應大学大学院教授の前野隆司氏は、「日本社会にもともとあった“同調圧力”が、時代とともに欧米流の“自立して独自の道を生きていくべき”風潮に変わり、親世代はそのひずみを受けている」と言っており、日本は子育ての過渡期を迎えています。

2020年の教育改革にも見られるように、目指す人間像は変わり、その鍵となるのが「自己肯定感」です。子どもは親を見て、自分の価値を推し量っているので、子どもの自己肯定感には、親自身の行動がとても重要になってきます。

どんな対応が正しいのか、『子どものやってみたいをぐいぐい引き出す!「自己肯定感」育成入門』の著者で渋谷区教育委員、学校法人新渡戸文化学園理事である平岩国泰氏の提言をぜひ参考にしてみてください。まずは、ベースになる子育ての目的を再確認しましょう。

●子育てのゴール=「子どもの自立」
日本は、親が子どものことを“自分ごと”と責任を背負いすぎる傾向にあると言います。その結果、子どもにかまいすぎて、自主性を育む機会をつんでしまうことに。「親は親、子は子」と“一個人”として接することで、自立をうながしましょう。

●親のスタンス=子どもの「安全基地」になる
自己肯定感のベースになるのは、自分の存在価値に対する安心感です。そのために必要不可欠なのが親の愛。アグネス・チャンさんも「自己肯定感を育てるのは親の絶対的な愛情」と断言しています。「ここにいていいんだよ」というメッセージを繰り返し伝えて、子どもの「安全基地」としての強い意識を持ちましょう。

“ゴール”と“スタンス”を忘れずに、次に具体的な対応についてみていきましょう。

自己肯定感を育むために親がすべき7つのこと

  1. 結果ではなくプロセスを「認める」
    親はつい良い結果に対してほめがちです。しかし、大事なのは、子どもの能力や結果ではなく、挑戦や努力をした行動プロセス。「たくさん練習したからね」など、子どものがんばりを認める声かけをしてあげましょう。
  2. 比べるのは「他の子」ではなく「少し前の子ども自身」
    まわりと比べてほめると、他人の評価を気にする人になってしまいます。「前はできなかったのに、できるようになったね!」と自分の成長を認めてもらえると、充実感と安心感を感じることができ、次のモチベーションにつながります。
  3. 大人の失敗も伝える
    「大人も失敗するんだよ」と失敗を笑いとばし、親の弱みを素直に見せることで、失敗を恐れずチャレンジできる勇気を子どもに与えることができます。
  4. 保護者目線からコーチ目線へ
    保護者として子どもを守ろうとすると、つい過保護になりがちです。そして、思い通りにならないと親もイライラしてしまいますよね。少し視点を変えて「コーチ目線」になるだけで、子どもを客観的に冷静にサポートできるようになるといいます。子どものペースで、親の手助けなしに自分でできることを増やしていきましょう。
  5. 役割を与える
    日本の子どもは、他人との関わりの中で、自己肯定感が左右されることが多いそうで、「人の役に立っている」「人を信じられる」と感じられることが大事。何かの役割を果たすことで、「自分は認めらている」という実感を得ることが自己肯定感につながります。家庭でもお手伝いをお願いして、必ず「ありがとう」の声かけを忘れずに。
  6. 短所も個性。「短所矯正型」をやめる
    短所も長所もひっくるめてその子の個性ととらえましょう。短所を直そうとするのではなく、短所も含めたその子の個性がいつかどこかで発揮される時を迎える準備をすること。つまり、子どもの世界を広げてあげるべく、いろいろな人や多様な価値観と出会える機会をつくってあげましょう。
  7. 勉強のスランプは生活体験とリンクさせて補う
    小学生の自己肯定感を下げる主な要因のひとつが勉強だといいます。勉強は成績として結果が見えてしまうので、他人と比べて劣等感を抱きやすいのです。そんな時は目線を変えて、勉強ではなく生活の中にヒントを見つけましょう。例えば、算数(計算)が苦手なら、お買い物で支払いを子どもに任せるなど。実体験から湧く興味が、勉強の苦手意識を克服する手助けをしてくれるでしょう。

生まれた時や小さい頃の話を時々話してあげるのも、親の愛を伝える良い方法だそう。「10際の壁」も意識しながら、少しずつ自己肯定感のベースを築いていってあげたいですね。

まとめ

親自身の自己肯定感の低さが子どもに影響しているケースも多いといいます。子どものみならず、まず大人が自分の自己肯定感をあげる意識も必要だと言えそうです。

“I’m proud of you!”(えらいね!/すごいね!)

アメリカでよく耳にするフレーズですが、アメリカ人は大人も子どもも褒め上手。ポジティブな声かけを習慣にして、親子で自己肯定感を高めあいましょう!

文/長野真弓

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