保育園で子どもに早くから算数を教えるべき理由

保育園で子どもに早くから算数を教えるべき理由

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みなさんが働いている施設では、子どもたちに算数を教えていますか? 小学校入学に備えて、ひらがなの書き方や読み方を教えている保育園は多くありますが、算数については「特に何も行っていない」という施設が多いようです。でも、早い時期から算数を教え始めることには様々な利点があり、保護者からも喜ばれるセールスポイントになることも事実。今回は、5〜8歳の子ども向けにイメージ暗算を教えるための学習教室を運営する山内千佳さんに、ご自身の著書である『5歳からはじめる世界ではばたく計算力の伸ばし方』の内容から、未就学児の算数教育についてお話をうかがいました。

※この記事は、『5歳からはじめる 世界で羽ばたく計算力の伸ばし方』(著:山内 千佳 発行:クロスメディア・パブリッシング 発売:インプレス)より引用しアレンジしたものです。

暗算力が子どもの可能性を広げてくれる

私は自宅でそろばん教室をはじめ、その後、暗算力をより効率的に伸ばすためのiPadアプリ「そろタッチ」をスタッフとともに開発し、教室を進化させてきました。暗算力は子どもの可能性を広げるものであり、小さいころに習得すれば活用範囲は無限に広がります。たとえば——。そろばんで暗算力を身につけた子のお母さんはよく、「買い物に行くと子どもが合計金額を計算してくれるから助かります」と言います。その一方で、子どもは計算をすると、お母さんがとても喜んでくれたり褒めたりしてくれるので、うれしくなって、買い物に行くたびに合計金額を計算するようになります。そして、レジでお会計をするときに答え合わせをします。

これは計算ドリルを反復して行うのと同じようなもので、日常生活のなかで自然と暗算力が鍛えられていきます。そして、そうこうするうちに、会話のなかでも「数字の感覚」を応用して気の利いたことを言ったり、想像力を働かせたり、物事をより深く理解したりできるようになります。

もちろん私も、計算力という武器が子どもの自信となり、算数以外の勉強やクラブなど、ほかの分野でも良い影響が表われたケースを数多く見てきました。また、小さいころに暗算力をつけたおかげで「積極的にいろいろことに挑戦するようになった」と「ほかの分野でも活躍できるようになった」といったお母さんたちからの報告もたくさん聞いています。このように、暗算力によって身についた真の計算力は、その後の子どもの人生のさまざまなシーンで活躍するのです。

数字に強くなると、ほかの分野にも強くなれる

私はそろばん塾を運営する以前に、一人の母親として子どもにそろばんをならわせていました。「一生役立つ暗算力」を身につけてもらいたいと思ったからです。長男が保育園の年長だったときのことです。

園にお迎えに行くと、担任の先生が長男の一日の様子を教えてくれます。そんなある日、「今日は先生の24歳の誕生日なんだ」と言うと、当時そろばんを習っていた長男がすかさず「じゃあ先生は1985年生まれなんだね!」と返してくれたというのです。先生は、「すごいですね。そろばんをやっているから、そんなことができるんですね」とほめてくださったのですが、私のほうは、子どもが「会話のなかで暗算を使う」という応用力を身につけていたことに、ビックリするばかりでした。

また、ピアノのレッスンで「メトロノームで60の速さで弾いてみようね」と先生に言われて、「1秒ずつ弾くんだね」と返したこともあります。そのときは、「数字に強いだけでほかの分野にも強くなれる可能性があるんだ」と感じ、「そろばんで、こんなに素晴らしい能力がつくのなら、ほかのお母さんたちにも広めなくちゃいけない」という使命感に駆られました。そして、それこそが私がそろばんの世界にのめり込んでいくことになるきっかけとなった出来事でもあります。

「これだけは誰にも負けない」という自信が好循環を生む

算数という科目は小学生になれば、すべての生徒が同じように教わることになりますが、一方で多くの子どもに苦手意識が芽生えてしまう教科でもあります。少しのつまずきや理解の遅れが生まれると、それがどんどん積み重なって自信を失い、苦手意識を作ってしまうのです。

だからこそ、学びはじめとなる小学一年生の段階で、事前に数字に慣れ親しんでおくことはとても大事です。私の教室で暗算力を早くから身につけ、算数が得意科目になった子どもたちは、ほかの子より算数ができることが間違いなく自信につながっています。そう! そろばんを習って暗算力をつけると、小学校ではヒーローになれるのです。

とくに小学生のときは、「算数ができる子」=「勉強ができる子」というイメージで、一目置かれる存在になりやすいもの。さらに、周囲の人の反応から「自分は勉強ができる」という自己肯定感が形成され、算数以外の教科も含めた勉強全般に対する自信につながっていく可能性もあります。

たとえば、こんな話があります。

ある小学校で、さやえんどうを収穫する授業を行ったときのこと。班ごとに収穫した豆の数を数えてクラス全体で合算するときに、先生が「全部でいくつ?」と聞くと、暗算できる子から「759個です」とパッと答えが返ってきました。すると先生は、「この子たちがいると楽なんです」と親の前で暗算が得意な子をほめました。そして、ほめられた子どもは「先生に頼られている」とさらに自信をつけ、さらに先生の期待に応えようと、もっと努力をするようになったとか。

こんなふうに、暗算力がこうした好循環につながるのは、決して珍しいことではありません。加えて、「得意なことは好きになりやすい」というのも、大きなポイントです。

小学校高学年になれば、算数には四則演算だけでなく、図形やグラフの理解など暗算力以外の能力も必要になってきます。けれど、「算数が好きだし得意」と思って学習に取り組む子と、すでに算数が苦手で敬遠してしまっている子では、前者のほうが伸びることは明らか。幼少期にいかに自信をつけさせるか。それが後に大きな違いを生みます。

もちろん、自信がつくものであれば、算数以外でも問題ありません。何かひとつのことで、「これだけは誰にも負けない」という自信をつければ、良い影響がほかの分野へも波及していくことが同じように期待できるでしょう。

あらためて見直されるそろばん学習

暗算力を鍛えるのに最適であるというほかにも、そろばんの良さはあります。

たとえば、数字を注意深く読み取る力や速く読み書きする力、集中力や情報処理能力などが身につくと言われています。いずれも、学校や社会で役に立つものばかりです。

昔から「読み書きそろばん」という言葉があるように、そろばんは日本人が長年親しんできたもの。にもかかわらず、年々その影が薄れ、多くのそろばん教室が姿を消しました。

しかし近年また、教具としての価値が見直されはじめています。2011年に導入された小学校の新学習指導要領では、これまで小学3年生のみだった「珠算学習」の時間が、小学3~4年生の2年間にわたってとられるようになりました。文科省だけでなく一般の人々にもその価値が再認識されはじめ、現在では人気の習い事ランキングのトップ10に入るくらいまでに復活してきています。

ですが、そんな良いことづくめのそろばんにも、困った欠点があります。それは、ニーズがあるにも関わらず学べる機会や場所が少ないということです。

小学校でそろばんを教える機会があるといっても、ほかにも多くの指導内容をこなさなければいけないので、学習時間は十分ではありません。 なので例えば保育園のカリキュラムの一部として、早くから子どもにそろばんを教える機会を増やすことができれば、きっと保護者からも大いに喜ばれると思います。

代表取締役会長
神奈川県生まれ。東京女子大学文理学部数理学科卒業後、1989年日本興業銀行に入行。
2009年、株式会社Digika設立。2011年に珠算教室「かるトレ」開校、2014年ママスタッフとともに「そろタッチ」考案。
2021年1月現在、世界7カ国、約120教室、生徒数約5000名。
自ら子育てを実践しながら、国内外の教室や大学、イベントをまわっている。
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