書籍紹介『子どものための哲学対話』幼児期の終わりまでに育ってほしい「思考力の芽生え」を育てるためには?

書籍紹介『子どものための哲学対話』幼児期の終わりまでに育ってほしい「思考力の芽生え」を育てるためには?

保育の最新情報や役立つ知識をゆる~く配信中!
Twitterをフォローはこちら!

【ほいくらし本棚|オススメの1冊】『子どものための哲学対話』(永井 均 著)

近年、親子で哲学対話をするための入門書や、NHK Eテレの子ども向け哲学番組『Q~こどものための哲学』が人気を集めるなど、昔に比べて哲学はぐっと身近になりました。

哲学というと、難解で複雑なイメージがあるかもしれませんが、本来は「答えのない問いを考える」というシンプルな学問。実は、日常のささいな疑問でも、立派に哲学対話のテーマになるのです。

今回ご紹介するのは、そうした「身近なテーマ」を使って、子どもたちの深い思考力(哲学的思考)を育むための一冊。哲学のエッセンスがわかりやすい文章で綴られているので、大人が読んでも楽しめますよ!

哲学っておもしろい! 子どもの「なぜ?」「どうして?」は、幼児期に育てたい「思考力」と「対話力」を伸ばすチャンスに

2018年4月にスタートした新保育所保育指針で掲げられている「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」のひとつに、「思考力の芽生え」があります。これからの時代、自分の頭で物事を考えられる「深い思考力」が求められることから、幼児期のうちに「考える力」を伸ばすサポートをしてあげる必要があるのです。

そもそも「考える」ってどういうことでしょう?

人はみな、意識しなくても「考える」ことはできます。しかし、未来を生きる子どもたちに身につけてもらいたいのは、そこから一歩進んだ「思考力」です。

たとえば、ものの仕組みをじっくり観察し、理解して、新しいアイデアにつなげてみること。あるいは、友だちの多様な考えに触れるなかで、柔軟な思考を持ち、より良いコミュニケーションを取れるように工夫すること——。そうした能力こそが、今の時代に求められる「考える力」なのです。

では、そうした力を養うために、何をしたらいいのでしょう。考える力を育てるために必要なのは、特別なトレーニングではなく、「自由に問い、何でも話せる場」を作り、自分自身で自律的に考える力を養うことです。

そして、そうした観点から注目されている手法のひとつに「哲学対話」があります。

哲学と聞くと、難しくてややこしい学問というイメージを抱くかもしれませんが、本来の哲学は、答えのない問いを自由に立てて、それを自由に探る学問。子どもたちが日々繰り返したずねてくる「なんで?」「どうして?」などは、まさに「哲学的な問い」なのです。そう考えると、哲学=必ずしも高尚なものではない、と思えてきませんか?

「答えは人それぞれ違う」というのが哲学対話の考え方

ここまでを読んで、「哲学って意外に面白そう」「子どもたちとのコミュニケーションに、どう哲学を生かすのかが知りたい」と思った人に、ぜひ手に取ってほしい本があります。

日本大学文理学部哲学科教授の永井均先生が、日常の小さな疑問について、哲学的な視点とわかりやすい言葉で綴った『子どものための哲学対話』です。

本書の基本的なスタイルは、中学生の「ぼく」と、家に住み着いたしゃべる猫の「ペネトレ」が、対話(哲学対話)をしながら様々な疑問と向き合い、その答えを考えていくというもの。両者の対話では、人間はなんのために生きているのか、学校には行かなくてはいけないのか、死んだらどうなるのかなど、誰もが一度は抱いたことがある疑問が、次々と取りあげられていくのですが……。実は、その先に明確な答えが書かれているわけではありません。

書かれているのは、考え方の道筋だけ。つまり、「答えは人それぞれ違うのだから、あとは自分で考えればいい」というのが、哲学対話のポイントなのです。

哲学対話の目的は、対話力と思考力を伸ばすこと

日常生活の中でも、子どもたちが「善と悪って何?」「友だちは必要なの?」といったようなまっすぐな疑問をぶつけてくることがありますが……。そんなとき、みなさんは何を考えていますか? 「大人としてきちんとした答えを出さなくちゃ」だったり、「子どもが納得するように説明しなきゃ」だったりする人も多いのではありませんか?

でも、哲学対話の目的は、立派な答えを出すことではなく、対話力と思考力を伸ばすこと。つまり、そうした場面では、子どもの「なぜ?」をしっかり受け止め、一緒に考え、対話を深めていくのが大人の役割というわけです。そしてそうした対話こそが、子どもたちは他人と合理的に議論する力や、物事を深く考える思考力を伸ばすことにつながっていくのです。

最後に付け加えておくと、大人の側が「子どもの発言や考えていることをしっかりと理解できるようになる」のも哲学対話のよさ。本書で「ぼく」と「ペネトレ」の対話を楽しみながら、ぜひとも哲学対話のエッセンスを身につけてみてください!

ほいくらし本棚|オススメ一冊

『子どものための哲学対話』(永井 均 著/講談社)

著者名:永井均
出版社:講談社文庫
2009年8月12日発売

文/保育ライター野口 燈

お得な情報や最新コラムなどをいち早くお届け!ほいくらし公式LINE
友だちに追加する
保育の最新情報や役立つ知識をゆる~く配信中!ほいくらし公式Twitter
園での遊びや催し物など有益な情報をお届け!ほいくらし公式Instagram