無理なく増やす、貯める! 資産運用のコツ

無理なく増やす、貯める! 資産運用のコツ

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「もう少しお金に余裕があったら」と思ってみても、毎月の給料が大きく変わるはずはなく……。将来に不安を感じている保育士は、意外に多いかもしれません。節約して支出を減らすのも一つの手ですが、それも限界があるでしょう。そんなときに考えてほしいのが、お金に働いてもらう「資産運用」のこと。資産運用にはリスクもありますが、やり方次第ではリスクを抑えながら、上手にお金を増やすことができます。今回は、無理なくできる資産運用のコツをお伝えしましょう。

そもそも資産運用ってなに?

資産運用とは、「自己資金を活用して資産を維持、増加させること」を指します。一般的なイメージとして、株式や不動産、債券などに投資することが資産運用だと思っている人も多そうですが、この言葉が持つ意味はそれだけではありません。「維持=貯蓄」も資産運用であり、預金や保険もその一部。預金には利息が付きますし、保険にも「終身保険」や「養老保険」など、資産運用の性質を持った商品があるからです。つまり、積立貯金や定期預金などを活用して貯蓄を行っている人は、すでに資産運用をしているというわけです。

とはいえ近年は、銀行に預けた際の金利は低く、利息で十分な利益を得るのが難しい状況……。お金を増やすことを考えれば、投資型の資産運用を検討するのもひとつの手です。

投資というと、「失敗するとマイナスになってしまう」というリスクばかりを考えがちですが、必ずしもリスクが高いものばかりではありません。原則として、投資のリスクとリターンは比例するので、リスクを取りたくない場合は、ローリターンローリスクの資産運用を選ぶと安心ですよ。そして、ローリスクの資産運用の代表格といえば、時間をかけて利益を得る「長期・分散投資」です。ここからは、リスクの少ない資産運用の方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

じっくり育てて大きくためる! 資産運用のメリット・デメリット

前述したように、ローリスクで資産運用をはじめるなら、時間を味方につける「長期・分散投資」がおすすめです。分散投資とは、初期投資の段階で高額を用意するのではなく、時間をかけてコツコツと増やしていく方法のこと。毎月、積み立てをしながら長期的に投資することで、将来的にお金が増える仕組みになっています。

<長期・分散型の資産運用を行う3つのメリット>

時間をかけて資産運用を行う場合、以下のようなメリットがあります。

(1)初期の段階で、高額自己資金がなくても始められる
毎月、コツコツ積み立てていけるので、まとまった初期費用が不要です。

(2)複利運用の効果が出やすい
複利運用とは、「運用で得た利益をさらに元本に加え、運用に回す資金を増やすこと」を指します。長期間の積み立てで増えた利益分を追加で投資していくため、効率的にお金を増やせます。

(3)細かい市場チェックも不要
投資といえば、日々変動するチャートなどをチェックし、その都度、対応するようなイメージを持っている人も多いのでは? しかし、長期・分散型の投資では、長期間の運用を視野に入れ、その間は継続して保有しておくことが前提。途中で売り買いするようなことはありません。そのため、こまめに価格の変動を確認する必要がなく、忙しい人でも実践しやすいのです。

<運用前に知っておきたいデメリット>

一方、長期運用にもデメリットはあります。それは、「リスクがゼロになるわけではない」ということです。投資先によっては、時間をかけても大きくお金が増えなかったり、場合によってはマイナスになったりする可能性があります。また、毎月の積立額によって利益が左右されるため、金額が少なければ、その分収益も小さくなってしまいます。

とはいえ、マイナスになった場合でも、それほど大きな損失にはなりませんし、「収益を上げやすい仕組み」を活用することでリスクを抑えることも可能です。続いては、少ないリスクで収益を上げやすい投資方法の代表として、iDeCoを紹介しましょう。

自分で作る年金制度「iDeCo」を資産運用に活用してみよう

iDeCoは、個人的にかける年金の一種で、「個人型確定拠出年金」とも呼ばれる制度。自分で掛け金の額を設定できるのが、大きな特徴となっています。

<iDeCoなら、無理のない範囲でOK!>

iDeCoの運用方法は、「自身で設定した掛け金を毎月投資する」というシンプルなもの。投資した資産は、60歳以降に年金もしくは退職金の形で受け取ることができます。「勤め先で厚生年金には加入しているけれど、年金だけで生活できるか不安」、「退職後は旅行や趣味を楽しみたいので、年金額を増やしたい」といった方にもおすすめですよ。

掛け金は、月々5,000円から、1,000円単位での設定が可能。収入に合わせて金額を決められるので、生活が圧迫されることもありません。掛け金の上限は勤務先で加入している年金によって異なりますが、会社員の場合は最大月々12,000円~23,000円の範囲で設定できます。60歳未満であれば基本的に誰でも加入できますが、勤務先で「企業型確定拠出年金」に加入している場合は利用できないケースも。条件を確認したうえで、加入を検討してみましょう。

なお、転職しても原則として運用を継続できるのもiDeCoの特徴のひとつ。ただし、転職先に確定給付企業年金制度があると、継続できないこともあるため、事前に確認しておきましょう。

<「iDeCo」をおすすめする3つの理由>

ファイナンシャルプランナーとして、iDeCoをおすすめする理由は大きく3つあります。

(1)節税対策になる

iDeCoの掛け金は、全額が所得控除の対象。投資を行うことで、その年の所得税と翌年の住民税の税負担が軽くなります。また、通常では、運用で得た利益に対して約20%税金が課されますが、iDeCoなら非課税に! つまり、課税されない分、通常よりも収益が上げやすいのです。

(2)継続しやすく、商品選びも楽!

銀行や証券会社でiDeCoの口座開設の手続きをし、自身の選択で投資商品や掛け金を決定したら、その後は定期的に投資商品と掛け金を見直すだけでOK。多くの金融機関では、対象となる投資商品を10〜20本程度に絞っているので、商品選びも簡単です。

(3)受取時もお得な税制優遇がある

60歳以降に、年金もしくは退職金として資産を受け取れますが、どちらを選んでも税制優遇があるのもiDeCoのよさ。年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が受けられ、一時金の場合は「退職所得控除」の対象として課税額を抑えられます。

<「iDeCo」を利用するときの注意点>

税制優遇があって、継続もしやすいiDeCoは、初めて資産運用に取り組む方にもぴったりです。ただし、実際の利用時には、「勤務先の年金制度によって掛け金上限が異なる」という点を、しっかり理解しておくようにしてください。また、原則として60歳までは途中解約ができず、一度始めたら継続して運用するのが前提なので、その点もお忘れなく。掛け金の金額変更は可能ですが、変更は年1回まで。無理のない掛金で、生活に影響がない範囲で続けるようにしましょう。

付け加えるなら、運用のために開設した口座には、「口座維持手数料(事務費用)」も発生します。口座維持手数料は毎月かかるので、開設前に金額を確認し、運用に必要な金額を細かく計算したうえで、掛け金を決めるとよいでしょう。

将来のために、お得に資産を増やそう

投資というと「資産が減るのでは」「運用って面倒なのでは」と思われがちですが、税制優遇があるiDeCoなら、通常の資産運用よりも利益が出やすいというメリットがあります。自分で決めた額を、毎月積み立てていくだけで、継続も簡単です。将来の生活を豊かにするためにも、こうした制度を活用して、積極的に資産運用を行ってみてはいかがでしょうか。

文:横山晴美(ライフプラン応援事務所代表 AFP FP2級技能士)

[参考]
なぜ社会保障費は増えるのか|総務省
景気循環|野村證券
iDeCo公式サイト
老後に備えて、上手な資産形成を考えましょう|知るぽると
iDeCo初心者が知っておきたい商品選び|知るぽると
No.1600 公的年金等の課税関係|国税庁

ライフプラン応援事務所代表
AFP FP2級技能士
2013 年に FP として独立。一貫して個人の「家計」と向き合い、
マネーリテラシーの向上でお金の不安が軽減することを実感。
お金の不安を抱える人が自分自身で問題を解決できるよう、お金知識を広く伝える情報サイトを立ち上げる。
WEBコラム・セミナーなどでも家計やお金についての情報を発信している。

ライフプラン応援事務所
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