書籍紹介『大人問題』心がほぐれて元気が出る! 五味太郎流・子ども論

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【ほいくらし本棚|オススメの1冊】『大人問題』(五味太郎 著)

誰もが一度は目にしたことがある五味太郎さんの絵本。色鮮やかに描かれたのびのびとした世界観と、独創的でユーモアたっぷりの作風は、世界中で愛され続けています。

今回ご紹介する『大人問題』(講談社文庫)は、私たちが思い描く絵本作家・五味太郎さんのイメージを大きく変えるような一冊です。一見、ユニークな子ども論をまとめたエッセイ集ですが、大人の矛盾を鋭く指摘する一方で、子どものズルさもきちんと見抜いている切れ味鋭い言葉の数々に、子どもとの向き合い方や接し方を新ためて考えさせられるでしょう。ぜひご一読ください。

「子どもを型にはめようとしていませんか?」五味太郎さんのメッセージ

みなさんは保育中に、「お友だちの輪の中に入らない子を助けてあげなくちゃ」「この子が描く絵はいつも暗い色ばかり……。なにか問題を抱えているのかな?」と過度に心配していませんか? 子どもたち一人ひとりをしっかりと見ているからこそ、細かいところやちょっとした変化に敏感になってしまうものです。

絵本作家の五味太郎さんは、友人から「勝手気ままな一人遊びが大好きだったのに、一人で遊ぶのがとても大変だった」と聞かされます。その友人は、幼いころ砂場で一人で遊んでいると、必ず先生がやってきて「みんなで遊びましょうね」と言われたそう。しぶしぶみんなと遊ぶものの、やっぱり一人の方がおもしろい、と再び砂場に戻り一人で遊ぶ……。これを繰り返すうちに、最終的には先生がほかの子ども数人を砂場に連れてきて、一緒に遊ばせようとしたといいます。

五味さんは、このエピソードを聞いて「指導者、保育者の立場の大人によくあるパターン」と言い切ります。その子は一人で遊ぶことが好きなだけであって、みんなの輪の中に入れないことを悩んだり、困ったりしているわけではないのです。

五味さんは、指導者や保育者が「その子を見ないで形を見ている。一人という形を見ている。一人ぼっちという図式を見ている。一人ぼっちはよくない、“みんなで仲よしというのがいい”という形式で見ている」ことに苦言を呈します。

また絵本作家という職業柄、「子どもが描く絵を見て子どもの心を判断すること」に対しても鋭く切り込みます。黒っぽい色やダークな色で絵を描いている子どもは性格が暗い、小さい絵ばかり描く子は神経質だ、紙からはみ出すように描いている子は元気があっていいーー。このように深読みすることになんの意味があるのでしょうか。「いい加減にしなさい。子どもが気の毒です」という五味さんの言葉に、はっとさせられる大人も多いはずです。

子どもの気持ちに共感すれば、保育はもっと楽しくなる!

本書には、あの有名な絵本の創作秘話と、子どもたちからの意外な反応にまつわるエピソードも収められています。

「真冬の早朝、ある用事で訪れた動物園のあちらこちらでいろいろな動物の糞から湯気がたちのぼっているのがあまりにも魅力的で、ぼくはうんこの本を描こうと思いました」

その絵本とは、いろいろな動物や人間のうんちをユーモラスかつ科学的な視点で描いた『みんなうんち』(福音館書店)です。

出版されるやいなや、五味さんの元にはたくさんの子どもたちから手紙が届いたそう。そして、そのほとんどに「実は自分もうんちを見ていた。うんちはおもしろいと思っていた。そのことを絵本に描いた人がいたのでうれしかった」と正直な感想がつづられていたといいます。

大人というのは、子どもの無邪気な言動に対して、「いいかげんにしなさい!」「バカなこと言わないの!」といった反応を示すことがあります。しかし子どもは、大人が自分と同じものを見て、同じように感じてくれたことに、大きな喜びを感じるのでしょう。

みなさんも、自分が子どもだったころを思い出して、ときには自由な発想で保育を楽しんでみませんか? 子どもたちとの心の距離がぐっと縮まるはずですよ。

ほいくらし本棚|オススメ一冊

大人問題

著者名:五味太郎
出版社:講談社文庫
2001年5月15日発売

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