書籍紹介『中野信子のこども脳科学「イヤな気持ち」をエネルギーに変える!』

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「イヤな気持ち」は脳のせい!? 脳科学者・中野信子先生が子どもたちに伝えたい「生きるコツ」

人間関係や勉強のことなど、子どもたちは成長と共にいろいろな悩みを抱くようになります。自分でもよくわからない「イヤ〜な気持ち」が湧き上がること、大人でもありますよね。

精神が未発達の子どもならなおさら、モヤモヤする「気持ち」に戸惑い、持て余してしまうことも多いはずです。そんな正体不明な「気持ち」について、脳科学者・中野信子先生が、脳科学の観点から明快に解説してくれる本があります。子どもはもちろん、子どもをサポートする大人にもぜひ読んでほしい1冊です。

「脳のヒミツ」を知って、「イヤな気持ち」をエネルギーに!「楽に生きるコツ」に気づくための実用書

イヤな気持ちを、生きるエネルギーに変えていく——。
そのきっかけとして、この本を使ってもらえるとうれしいです。(中野信子さん)

脳科学者・中野信子先生が、はじめて子どもたちに向けて書いた本書。生きづらさを感じやすい子どもたちに向けて、脳科学を通して「イヤな気持ち」を前向きに変える秘訣を伝授します。

そもそも、「脳」と「気持ち」がつながっているなんて、子どもたちは知りませんよね。「脳のヒミツ」を学ぶことで、「楽に生きるコツ」に気づける、実用的アドバイスが満載です。

本書は1~3章の3部構成ですが、中野先生は冒頭の「はじめに」でまず、子どもたちにとても大切なことを伝えています。

「イヤな気持ち」は、あなたを成長させてくれる大事なもの

引用:中野信子 著(2021), 『中野信子のこども脳科学』, フレーベル館.

悩んでいる子どもたちは、「イヤな気持ち」を負の感情と捉え、苦しんでいます。そのロックを冒頭でいきなり外してしまうのです。

第1章では「イヤな気持ち」について、さらに詳しく言及。生きていると必ず生まれる悩みの数々……。自分の中で処理できず、もがいている子どもたちに、中野先生は「悩みは無理に解決しなくていい」と寄り添います。「相手の言葉を受け入れるだけでなく、言い返すことも必要」と鼓舞しながら、脳科学からの11のメッセージを送るのです。

第2章では、脳の仕組みについて詳しく解説。複雑な脳機能の話は、子どもにとって難しいかもしれません。それでも子ども向けのまやかしにしないところが、中野先生らしさ。「脳とはなんなのか」を子どもたちの気持ちに寄り添いながら、まっすぐ伝える潔さが爽快です。一方で、脳科学を学ぶ意味について、次のように語ります。

脳の仕組みを知ると、自分を客観視しやすくなり、いろいろな悩みや問題に対しても対処法を考えることができます。つまり、脳を知ることで生きるのが楽になるのです。

引用:中野信子 著(2021), 『中野信子のこども脳科学』, フレーベル館

楽に生きるために、脳を活用しないのはもったいない! まさに、本書のエッセンスを表す一節です。

第3章は、「みんなのQ&A」。子どもの17の悩みに、中野先生が答えます。第1章のメッセージをさらに具体的にした実践編ともいえる本章。悩みにどう対処したらいいか、脳科学者の視点で、細かく問題を分析し、対処法をていねいに説明してくれます。見出しが質問になっているうえ、わかりやすいイラストも掲載されているので、文章を読むことが苦手な子どもでも読み進めやすいでしょう。

子どもの悩みにストレートに答える、脳科学者の叡智がつまったアドバイス

もし、子どもに悩みを相談されたら、親として、保育者として、どう対応しますか?
「うじうじ悩むのは良くないよ」と叱る?
「頑張って!」と励ます?
「大丈夫だよ」と慰める?

悩みの内容にもよるかもしれませんね。しかし、どんなアドバイスをするにしても、“根拠”がなければ、それはうわべだけのものになり、子どもの心には響きません。その点、中野先生の回答の“根拠”ははっきりしています。その根拠は、もちろん脳科学。

脳が引き起こす“事実”について、子どもたちにストレートに伝えたうえで、「イヤな気持ち」を受け入れ、乗り越える術を授けます。脳科学の観点から伝授する生きるコツは説得力抜群です。

たとえば、「担任の先生が特定の人をひいきしていてイヤです」という悩みへは、このような回答をしています。

ひいきされている人を見て、なんだかズルいと感じたり、自分だってもっとできるのだからせめて公平にあつかってほしいと思ったりするのは、ごく自然なことです。「誰かに気に入られたい」というような人間関係の悩みは、将来もずっと続きます。「ひいきする先生はよくない!」というのは簡単ですが、「承認欲求」(他人から認められたいという欲求のこと)を持つ人間がつくる社会に生きていく以上、納得できないことはどこにでも転がっているのです。

引用:中野信子 著(2021), 『中野信子のこども脳科学』, フレーベル館.

気持ちいいくらいに、現実をずばり伝えてくれています。しかし、根底には子どもたちの「気持ち」を尊重する心があります。そして、悩みについてどう対応すべきかについては、こうアドバイスを続けます。

他人からの評価を得ることが得意な人は、それを一生懸命にやって、いつも誰かにひいきされて生きるのも戦略です。でも、もしひいきをイヤだと感じるのなら、できるだけほかの人に影響されない生き方を考えるのもひとつの方法です。「わたしは何が得意なんだろう?」と、自分をじっくり見つめてください。

引用:中野信子 著(2021), 『中野信子のこども脳科学』, フレーベル館

良くないとされている「ひいき」でさえ、捉え方次第で自分の糧になることに、子どもたちはびっくりするかもしれません。「正解は人それぞれ。自分次第」ということ。自分に向き合う大切さを理解できれば、周りの人に対してもきっと同じ価値観で考えられるようになるはずです。そうなれば、どんな悩みでも自力で乗り越えていける、しなやかな人になることができるのではないでしょうか。

中野先生は、現実から目を逸らさせない厳しさを保ちつつも、一貫して子どもたちを肯定します。その率直で温かい言葉は、子どもたちの心にしっかり届くにちがいありません。

未来は誰かが勝手に決めるのではなく、あなたがこれから生み出していくもの

引用:中野信子 著(2021), 『中野信子のこども脳科学』, フレーベル館.

本書は、中野先生が脳科学者として、人生の先輩として、子どもたちへ送るエールなのです。

文/保育ライター長野真弓

ほいくらし本棚|オススメ一冊

中野信子のこども脳科学「イヤな気持ち」をエネルギーに変える!

著者名:中野信子
出版社:フレーベル館
2001年8月発売

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