保育観とは?具体例と合わないときの対処法・職場選びのポイントを解説

文: ちかっぱ(保育士ライター)
保育士として子どもと関わるうえで重視する考え方や理念を「保育観」といいます。保育の現場では、異なる保育観を持つ保育士同士が連携しながら子どもの成長をサポートします。そのため、さまざまな保育観を理解することが大切です。
しかし「周囲と保育観が合わない……」といった悩みを持つ保育士もいるかもしれません。そのようなとき、どのように対処すればよいのでしょうか。
本記事では、さまざまな保育観について、具体例を交えながら解説します。また、自分と周りの保育観が合わなかったときにどのように対処すればよいか、自分の保育観に合う職場の探し方についても紹介します。
ちかっぱ(保育士ライター)
幼稚園の子育てサロンで未就学児の活動を担当し、満3歳児から5歳児の担任、幼稚園事務も経験。
勤務歴10年の経験を活かし、現在はフリーランスライターとして、子育て中のママパパや保育士、幼稚園教諭に向けた記事を執筆している。
自分自身も6歳と4歳の子育てをしながら、子どもたちと体を動かしたり本を読んだりする時間を大切に、「明るく楽しく笑顔で」をモットーにしている。
保有資格:保育士・幼稚園教諭一種

この記事の監修者
山本 あやか(保育士)
保育士・幼稚園教諭資格を持つ2児の母。保育士歴10年、現在はライターとして活動中。保育士経験を活かし、季節の行事に家族で手作りの飾りつけを楽しむのが趣味。
Instagram:@hoik_aya___
Blog:https://hoik-aya.com/
保育観とは?

「保育観」とは、保育士一人ひとりが持っている、子どもを保育するうえで重要だと感じる価値観や考え方、理念を指します。
保育観と似た言葉に「子ども観」という言葉がありますが、子ども観とは、子どもに対する見方や考え方、いわば「子どもはこういう存在だ」というイメージを指します。
保育観は、個人の経験や受けてきた教育、社会的な影響などによって形成されます。そのため、保育士の数だけ多様な保育観が存在します。たとえば「どのような保育を実践していきたいのか」「子どもにどのように成長してほしいのか」などは、保育施設や保育士によって異なります。結果として、子どもへのアプローチや園での活動内容も変わります。
保育士同士が連携しながら子どもの成長をサポートするには、多様な保育観があることを理解したうえで、自分と異なる考えを受け入れつつ、自身の保育観を周囲に伝えていく姿勢が求められます。
保育観の例

保育観はさまざまですが、以下に一例を挙げます。
子どもの個性を尊重する保育観
子どもの発達段階や個性を理解し、一人ひとりの視点に立って接することを重視する保育観です。
この保育観を持つ場合、同じ年齢でも個々の成長や興味の違いを意識し、それぞれのペースに合わせたアプローチを重視する傾向にあります。
協力関係を重視する保育観
他の保育士や職員、保護者などとの連携を重視する保育観です。
保育士間での日々の情報共有はもちろん、保護者との関係作りを重視し、子どもの生活の様子を共有しながら子どもの成長を一緒に見守ることに重きを置く傾向があります。
周囲とのコミュニケーションを深めていく姿勢を持つことで、子どもが健やかに成長するための環境づくりにつながります。
子どもの頑張りを重視する保育観
あきらめない力、最後まで頑張る力を、子どもに身につけてもらうことを重視する保育観です。
この保育観を持っている場合、問題が起きたときにどう対応するかを、子ども自身が考える力を身につけられるように、保育士は陰からサポートをする傾向があります。
子どもの一つひとつの頑張りを認めて褒めて、成長とともに自分で考えて行動できる人に導く保育観です。
子どもの体験活動を重視する
遊びを通じた経験から、子どもの成長や学びを重視する保育観です。
この保育観を持つ場合、自然を感じられる外遊びや、動物・植物の飼育、楽器に触れる遊びなど、子どもが五感を使って学べる体験を積極的に取り入れる傾向があります。なお、具体的な活動内容は園の方針や設備によって異なります。
勤務する保育園の方針によっても、実施できる活動は異なりますが、体験活動を積極的に提案し、保育に取り入れていく保育士が多いかもしれません。
子どもの気づきを重視する
子どもの気づきを重視する保育観を持つ場合、保育士は子どもが自分自身で考えて発見できるようサポートします。子ども一人ひとりが何に興味を持っているか、どのようなことに夢中になっているかを観察することにも重きを置く傾向があるでしょう。
また、子どもが何かに気づいたときには、それについて解答を与えるのではなく、考えや感じたことを引き出すために「どうしてそう思うの?」といった問いかけを行う傾向もあります。
他の保育士と保育観が合わない場合の対処法

他の保育士と協力しながら保育を行うにあたって「保育観が合わない」と感じる場面もあるかもしれません。
そのようなとき、自分が重視する保育観を押し付けたり、あるいは抑えてしまうのではなく、相手と話し合い、受け入れて協力できるとよいでしょう。
ここでは、保育観が合わない場合の対処法を4つお伝えします。
周りの保育士の保育観を受け入れる
まずは、周りの保育士が持っている保育観を知り、受け入れることから始めてみましょう。さまざまな保育観があることを理解し、自分の保育観と照らし合わせてみることで、新しい発見があるかもしれません。自身の保育観を振り返る機会にもなり、視野が広がるきっかけとなるでしょう。
また、自分と異なる保育観を取り入れてみることで、より柔軟性のある保育を提供できる可能性もあります。
自分の保育観を伝えてみる
保育観が合わない相手とは、言い合いにならないように、相手の意見をしっかりと聞いたうえで、自分の保育観を伝えてみましょう。
人の保育観を変えることは難しいですが、異なる保育観であっても、子どもの成長を大切にしているという点では共通しているはずです。そのことがお互いに分かれば、今後の保育において協力していけるかもしれません。
また、保育観の違いにかかわらず、「やっていいこと」と「やってはいけないこと」の区別は、保育士間で統一しておくことが望ましいです。子どもが混乱しないよう、同じ対応ができるように話し合ってみるとよいでしょう。
職場の同僚や園長へ相談する
保育観の異なる相手と直接話すのが難しいと感じた場合は、職場の同僚や園長へ相談してみるのも一つの方法です。さまざまな意見やアドバイスをもらうことで、自身の視点を変えることができるかもしれません。
一人で抱え込んでいると、異なる価値観への反発がより強まってしまう恐れもあります。周りの人に相談することで、自分の気持ちや意見を整理できるでしょう。園全体でよりよい保育につなげられる場合もあります。
転職を検討する
いまの職場で改善策を探ってみたものの、保育観における問題が解決しない場合は、自分の保育観に合った新しい職場へ転職することも選択肢のひとつです。
保育観が合わない職場では、ストレスや不満が蓄積しやすくなります。その結果、他の保育士とのコミュニケーションが取りづらいと感じたり、協力が難しくなったりすることがあります。一貫した保育が提供できず、子どもに混乱を与える恐れもあるでしょう。
自分の保育観に合った環境に転職することで、他の保育士と協力しやすくなる可能性があり、結果として保育の質向上につながることも考えられます。また、環境が整うことでストレスを感じにくくなり、自分らしい保育を実践しやすくなる場合もあります。
次に紹介する職場の探し方を参考にしながら、自分の保育観に合う保育園があるか探してみてください。
保育観に合った職場の探し方

自身の保育観に合う職場の探し方として、次の3つが挙げられます。
自分の保育観に合う環境を見つけるための参考にしてください。
①保育園を見学してみる
気になる保育園に問い合わせて、見学を申し込んでみましょう。園の職員の雰囲気や保育方針などが感じられ、園全体の保育観を把握できる場合があります。
1日見学をするだけでも、保育全体の活動や園の雰囲気を感じられるでしょう。
②園の保育方針を直接聞く
保育方針について園長に直接聞くことで、どんな保育を目指しているのかより深く知ることができます。
園長には業務の合間に時間を作ってもらうことになるため、事前準備が重要です。保育方針は事前にホームページで確認し、疑問点はあらかじめメモにまとめておくと安心です。
③観察実習や参加実習で保育を体験する
見学だけでなく、実際に観察実習や参加実習を申し出て体験するのも有効です。保育カリキュラムをどのように進めているのか、保育士間の連携はどのように行っているのか、子どもへの関わり方などを実際に見ることで、自分の保育観に合っているかを見極められます。
観察実習や参加実習を申し出る場合は、園の行事やイベントなどを考慮して連絡してみましょう。
保育観に関するよくある質問
保育観とは何ですか?
保育観は保育士1人1人が持つ、子どもと関わる上で重視する考え方や理念です。個人の経験や教育、社会的な影響などによって形成されるため多様な保育観が存在します。保育観は園の方針への共感や周囲の保育士との連携に深く関わるため、ミスマッチによる退職も後をたちません。保育士として長く働くためには多様な保育観を受け入れる姿勢や、保育観がマッチする職場を見つけることが重要です。
保育観の具体例はどんなものですか?
保育観は保育士の数だけありますが、主な具体例は次のようなものです。
- 子どもの個性を尊重する
- 協力関係を重視する
- 子どもの頑張りを重視する
- 子どもの体験活動を重視する
- 子どもの気付きを重視する など
「気付きを重視する場合は子どもの疑問に答えを与えるのではなく「なぜそう思うの?」と考えを促す」といったように、保育観は実際の保育行動に繋がっていきます。
保育観と子ども観は違いますか?
保育観と子ども観は違うものです。保育観は「どのような保育を行いたいか」ですが、子ども観は「子どもとはこういうもの」という子どもに対する見方です。子ども観は「子どもは守られる存在」「子どもは自ら育つ力がある」など、立場やシーンによって様々な捉え方があるのも特徴です。
保育観が違うときの対処法を教えてください。
職場での保育観の違いは人間関係の悪化やモチベーションの低下につながります。保育観の違いを感じたら次の対処法が効果的です。
- 他の保育士の保育観を受け入れる努力をする
- 自分の保育観を伝えてみる
- 同僚や園長に相談する
- 保育観が合う職場に転職する
保育園は施設ごとに方針が違うため、実情に詳しいマイナビ保育士などの転職アドバイザーに相談してみましょう。
自分の保育観はどうやって見つけたら良いですか?
自分の保育観を見つけるには気持ちを書き出す方法がおすすめです。
- 憧れている保育士はどんな人か
- 子どもと接してて「しあわせだ」と感じる時
- 子ども同士のケンカにどう関わりたいか
- のびのび育てたいか、教育を重視したいか
- 保育をする中で大切にしていること
- 「これだけは絶対にしたくない」こと
保育への様々な思いを改めて書き出すことで自分の保育観が具体的になります。
自分の保育観を大切にしながら、異なる保育観も受け入れてみよう

保育観は保育士によっても異なりますが、異なる保育観を受け入れることで視野が広がったり、自身の保育観を見直したりする機会となります。
保育は一人の力で成り立つものではありません。自分の保育観を大切にしながら保育士同士で高め合える関係を築き、保育に臨むことが理想です。
自分の保育観に合った職場を探す際は、実際に足を運んで、園の雰囲気を直接感じてみることも有効な方法のひとつです。しかし、「時間がない」「自分に合った転職先が分からない」といった保育士には、転職支援サービスの利用をおすすめします。
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