保育士におすすめの転職先15選!資格や経験を活かせる業種・職種は何?

保育士におすすめの転職先15選!資格や経験を活かせる業種・職種は何?

文: アリサ(保育士ライター)

保育士はやりがいがある一方で、大変なことも多い仕事です。「転職したい」「保育園以外で働いてみたい」と考える方もいるのではないでしょうか。

保育士が働けるのは保育園だけではありません。保育士資格を活かし、他の施設で働くことも可能です。また、職種は違っても保育士の経験が活かせる仕事もあります。

この記事では、保育士が退職を考える理由に触れ、保育士資格を活かした転職のメリット・デメリット、別種に転職するメリット・デメリット、転職におすすめの施設や職種を紹介します。

保育士が退職を考える理由

令和4年度東京都保育士実態調査結果によると、現在の保育所等を退職したいと考える理由(複数回答)で最も多いのは「給料が安い」が61.6%で、6割を超えています。次いで「仕事量が多い」(54.0%)、「労働時間が長い」(35.4%)、「職場の人間関係」(30.1%)となっています。

また、現在の職場で働き続けるために充実を希望する項目(複数回答) でも、最も多いのは「給与」の79.4%で、次いで「職場の人間関係」(58.0%)、「休暇」(52.7%)、「勤務時間・交代制の融通がきく」(43.1%)との結果です。

上記から、仕事量の多さと給与額が見合わない、拘束時間の長さ、人間関係によって辞めようと考える保育士が多いことがうかがえます。

保育士資格を活かして転職するメリット・デメリット

「今までの経験を活かして、保育園以外の現場でも働いてみたい」という場合は、転職後も保育士資格を活かせる職種に就くことをおすすめします。

保育士資格を活かして転職するメリットに「即戦力になれること」が挙げられます。別の施設での保育を経験することで、保育士としてのスキルアップにも繋がります。さまざまな保育方針や保育内容に触れ、自分の視野を広げるきっかけにもなるでしょう。

また、共働き家庭が増加していることから保育所の数も増加傾向にあり(※)、保育士の需要は高まっています。保育士の求人は多いため、保育士資格があれば転職しやすいといえるでしょう。
保育を取り巻く状況について(厚生労働省子ども家庭局保育課)

一方で、働く施設を変えたとしても、根本的な給与面や待遇は大きく変化しない可能性があるのはデメリットといえます。自身の希望に合う職場かどうか転職前に十分なリサーチが必要です。

【関連記事】保育士に将来性がある理由を5つ紹介!処遇改善手当と需要も解説

 別の職種・業種に転職するメリット・デメリット

「保育以外の仕事がしてみたい」「視野を広げたい」という場合は、保育士以外の職種や別業種に挑戦するのも一つの方法です。

別の職種に転職すれば、給与や待遇などネックだった部分を解決しやすい点が大きなメリットです。これまでと違う仕事とはいえ、子どもへの対応や保護者とのコミュニケーション能力など、保育士として培った力は応用できるでしょう。保育士以外の職種への転職活動を良い機会と捉え、好きなことや理想の働き方についてじっくりと考えることがおすすめです。

一方、保育士としての経験をそのまま活かせない点はデメリットです。未経験者歓迎の求人もありますが、パソコン操作など一定のスキルが必要なこともあります。転職に役立ちそうな資格取得を検討するのも一つの方法です。

【保育士として転職する場合】おすすめの転職先

転職後も保育士として働く場合、働き口は保育園以外にもさまざまな場所があります。ここでは、それぞれの施設の特徴や転職先として選ぶメリットを紹介します。

 幼稚園・認定こども園

幼稚園教諭免許があれば、幼稚園や認定こども園でも働けます。就学前の子どもを教育・保育するという点では保育園と同じではありますが、教育時間や勤務体制は保育園と異なる場合が多いでしょう。

教育方針に共感できる園を選べば、より働きやすくなります。また、幼稚園や幼稚園型の認定こども園なら、3歳児から5歳児までの以上児の保育経験を積むことができます。

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 病院

病院で「病棟保育士」として働く方法もあります。病棟保育士は、医療行為は行わず、入院している子どものメンタルケアや身の回りのサポートが主な業務内容です。

保育園とは異なり、対象年齢は、0〜18歳までと幅広い点が特徴です。行事やイベントが少ないことから持ち帰りの仕事が少ないのはメリットといえます。

病棟内に設置された保育室(プレイルーム)で保育を行いますが、子どもの体調によっては病室で個別に保育を行うなど、臨機応変な対応が必要です。一人ひとりの子どもの発達はもちろん、体調も考慮した保育を行う必要があるため、保育に関する技術や対応の仕方、医療の知識が求められます。

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 児童福祉施設

児童福祉施設で働く保育士を「施設保育士」と呼びます。児童福祉施設のなかで、保育士の配置が求められている施設は以下の通りです。

  • 児童養護施設
  • 障がい児入所施設
  • 児童発達支援センター
  • 情緒障がい児短期治療施設
  • 乳児院
  • 母子生活支援施設
  • 児童厚生施設
  • 児童自立支援施設
  • 児童家庭支援センター

それぞれ対象とする子どもやその背景は異なります。そのため、施設によって保育士の役割は異なり、保育園と同じように保育士として援助する施設もあれば、保育士でありながら親に近い形で援助する施設もあります。また、施設によっては夜勤があり、保育園での就業とは大きく勤務体制が変わる可能性もあるでしょう。

さまざまな背景を持つ子どもたちと関わる存在のため、心のケアに関する知識や発達障がいに関する知識が必要です。

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 子育てひろば

子育て支援センターなどの子育てひろばでも保育士は働いています。子育てひろばで保育士の配置は必須ではありませんが、保育士の経験や知識を活かし、子ども向けのイベントを開催したり利用者の育児相談を行ったりできるでしょう。

保育園よりも開所時間が短く、親子との関わりがメインのため、保育園で働くより負担を感じにくいかもしれません。

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 放課後児童クラブ

放課後児童クラブは、保護者が共働きなどにより家庭にいない小学生を預かり、遊びと生活を支援し、健全育成を行う施設で、「学童保育」とも呼ばれています。対象が小学生以上のため、遊び以外に勉強のサポートも業務に含まれます。

保育士資格を持っていれば、研修を受けることで「放課後児童支援員」の資格を得られ、正社員として働ける可能性も高くなります。また、長期休み以外の期間は午後から仕事が始まるため、比較的ゆとりを持った出勤ができます。

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 保育ママ(家庭的保育事業)

保育ママ制度の正式名称は「家庭的保育事業」で、自治体によっては保育者を「保育ママ」または「家庭的保育事業者」と呼んでいます。0歳から2歳までの子どもを自分の自宅で預かります。

自治体によりますが、保育士・看護師・教員などの資格が要件となる場合があります。

基本的に定員は3名までと少ないため、自分が決めた保育方針で柔軟に預かれるのが魅力でしょう。ただし、保育ママを開業するための条件は自治体によって設定されており、「自宅の1階に6畳以上の部屋のある」「ペットを飼っていない」などがあります。条件を満たしているか、適切な環境を用意できるか確認が必要です。

(参考:家庭的保育者(いわゆる「保育ママ」)Q&A|東京都福祉局

 ベビーシッター

ベビーシッターは、利用者の自宅や託児所で、乳幼児期から小学生くらいまでの子どもを預かる仕事です。保護者の依頼を受け、食事・入浴などの日常生活のサポートや教育、看病など幅広いニーズに対応します。

ベビーシッターになるために資格は不要です。しかし、保育士資格があれば、利用する保護者に安心感を持ってもらいやすくなるでしょう。

 託児所

託児所は、子どもを一時的に預かる施設です。レジャー施設内や美容院、歯医者などさまざまな場所に設置されています。

保育士資格は必要ではありませんが、乳幼児や子どもを預かるため、資格があると転職に有利になるでしょう。

託児所は経営の自由度が高く、対象年齢や保育時間、設備が施設ごとに大きく異なります。働く時間が短いケースが多く、行事などもほとんどないため、持ち帰りや残業が発生しにくいといえます。

【別の職種・業種に転職する場合】おすすめの転職先

「転職するなら保育士以外の職種に就きたい」「今までの知識がどこかで活かせる別職種はないだろうか」と考える方もいるでしょう。

ここでは、保育士以外の職種に就きたい方に向けて、今までの経験を活かしながら働ける転職先を紹介します。

子ども用品店の販売職

保育士以外の転職先として、子ども服専門店やおもちゃ屋さんなど子ども用品店の販売職が考えられます。子どもの知識はもちろん、保護者対応で培った対人スキルも活かせるでしょう。

アミューズメントパーク

アミューズメントパークの子ども向けフロアで働くスタッフも選択肢の一つです。親子が楽しめるサービスを提供します。今までの経験から子どもの行動を予測することで、安全面の管理においても力が発揮できるでしょう。

写真館のスタッフ

写真館は、子どもが記念撮影に訪れる機会が多く、子どもとの関わり方が活かせます。いつもと違う環境に戸惑う子どもたちは少なくありません。子どもと触れ合いながらリラックスして撮影できる環境作りができるでしょう。

保育関係の人材サービス会社

転職したい保育士のサポートを行う人材会社では、今までのキャリアや転職経験を活かせます。同じ保育士だからこそ分かる悩みに寄り添い、よりよい就職先を見つける手助けができるでしょう。

介護職

介護職は、「人をケアする」「生活をサポートする」という意味で、保育士と通じるものがある職種です。危機管理や気配りスキルを活かせるでしょう。施設によって、業務内容・必要資格が異なるため確認が必要です。

幼児教室

音楽や絵画、運動など、得意分野がある場合、幼児教室の講師になるのも選択肢の一つです。保育士として培ってきた子どもに対する観察力やコミュニケーション能力、環境構成力を生かして、自分の得意分野において子どもの興味関心を高めたり、子どもの可能性を広げられる点が魅力です。

キッズタクシーのドライバー

キッズタクシーのドライバーは、子どもたちを学校や塾、習い事などへ安全に送り迎えする仕事です。子どもとのコミュニケーションが得意で、運転が好きな方にぴったりです。

保育士が転職するときのポイント

保育士が転職する際、事前に考えておくべきポイントは以下の通りです。

  • 年収や給料
  • 各種手当
  • 福利厚生
  • ワークライフバランス
  • 職場の雰囲気

人によって転職理由はさまざまですが、共通しているのは「今よりも自分の理想に合った環境で働きたい」という思いではないでしょうか。自己分析を通し、「なぜ転職したいのか」「どのような働き方をしたいのか」を明らかにしましょう。譲れない価値観や働き方の優先順位を決めてから、転職先を探すことをおすすめします。

保育士の経験を活かした転職を!自分に合った働き方を見つけよう

保育士は、やりがいがある一方、負担も大きい仕事です。転職を考えたとき、保育士資格を活かした職種・業種はもちろん、今までの経験やスキルを活かせる別職種・業種に転職する方法もあります。働き方や働く場所が変われば、自分の知見が広がり、スキルアップに繋がるでしょう。

転職先を探す際には、まずは「自分は働くうえで何を大切にしたいのか」「どのような働き方がしたいのか」を考え、理想の転職先を探すことをおすすめします。

アリサ(保育士ライター)
保育園で0歳児から5歳児までの担任や障がい児加配、縦割り保育を約10年間経験しました。家庭の事情で退職後、今までの知識を活かした活動がしたいとの思いからライターに。現在は2歳と5歳の子どもの育児に奮闘しながら、保育士さんや子育て中の方に向けて記事執筆を行っています。絵本とお花が大好きです。
保有資格:保育士・幼稚園教諭一種

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