ピアジェの発達段階をわかりやすく解説!保育での生かし方と注意点とは

ピアジェの発達段階をわかりやすく解説!保育での生かし方と注意点とは

保育士の勉強中によく目にした、ピアジェの発達段階。子どもの認知発達を理解するのに役立つため、現場に入ってから「あらためて学びたい」と思った人も多いかもしれませんね。そこで今回は、ピアジェの発達段階の詳しい解説と保育現場での生かし方について紹介します。

この記事の監修者
山本 あやか(保育士)
保育士・幼稚園教諭資格を持つ2児の母。保育士歴10年、現在はライターとして活動中。保育士経験を活かし、季節の行事に家族で手作りの飾りつけを楽しむのが趣味。
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ピアジェの発達段階とは

「ピアジェの発達段階」とは、1980年まで活躍したスイスの心理学者ジャン・ピアジェが提唱した認知発達理論です。フロイトの「リビドー発達段階理論」、エリクソンの「心理社会的発達理論」と並び、3大発達段階説と呼ばれています。

ピアジェは、「乳幼児は無能で受動的な存在」とするそれまでの心理学の考え方とは異なり、子どもを次のようにとらえました。

  • 子どもは自ら実験と観察を繰り返しながら「知」を構築している
  • 子どもの知識や理解(認知)が発達する過程は4段階ある
  • 発達段階ごとに表面的ではなく質の異なる思考・行動が生じる

また、「個人差はあるものの、この成長順序は普遍的である」としました。

つまり、ピアジェの発達段階を知ることで、子どもが今どのように学ぼうとしているのか、これからの学びに何が必要になるのかを予測できるようになるのです。

保育現場で「なぜこんなことをするの?」「この行動にどう対処したらいいの?」と悩んだときは、その子の発達段階がどこにあるのかを確認することが、対応のヒントになるでしょう。

まず認知の枠組み「シェマ」を理解する

では、ピアジェの発達段階説の特徴を具体的に見ていきましょう。ピアジェの認知発達理論において重要なのが、「シェマ」という概念です。シェマとは「認知の枠組み」または「認知構造」を指す言葉で、外界の事象を認識するために必要なものと考えられています。

生まれたばかりの赤ちゃんは、外の世界に対して受動的ですが、自ら体を動かして得た経験や知識を積み重ねながら、行動様式を増やしていきます。これを「シェマの獲得」といいます。

例えば、「おっぱいを吸ったらミルクを飲めた」→「おなかがすいたら、おっぱいを吸う」というように認知し、シェマを獲得するのです。そして、新たな経験や情報から知識を調整し、より精度の高いシェマを形成していきます。

ピアジェは子どものシェマを形成する過程(発達の仕組み)について次のように考えました。

シェマの獲得
基本となる認知の枠組みの獲得
「おっぱいを吸うとミルクが出る」→「おなかがすいたら、おっぱいを吸う」

同化
新たな情報と既存のシェマとの共通点を見つけた場合、取り込んで認知を広げる
「哺乳びんを吸ったらミルクが出た」→「ミルクは哺乳びんでも飲める」

調節
新たな情報が既存のシェマに当てはまらない場合、認知を修正し、区別する
「おしゃぶりを吸ってもミルクが出ない」→「おしゃぶりは食べ物ではない」

均衡化
同化と調節の結果をもとにシェマの精度を高め、正確なものにしていく
「おなかがすいたらおっぱいか哺乳びんを吸う。おしゃぶりは吸わない」

このようにシェマの獲得と新情報との調整を繰り返すことで、子どもの発達が進むとピアジェは結論づけました。

ピアジェが提唱する4つの発達段階と特徴

ピアジェが定義する発達段階は、感覚運動期・前操作期・具体的操作期・形式的操作期の4つに分類されます。それぞれの目安となる年齢や発達の特徴を見ていきましょう。

第1段階:感覚運動期(生後〜2歳ごろ)

感覚運動期はまだ言葉を話せないため、体の感覚と動きを通じて世界を認知します。この段階では、以下の4つの特徴が見られます。

  1. 循環反応
    音がした物に何度も触れるなど、生後1カ月ごろから見られる繰り返し運動。握ったり叩いたり反復しながらシェマを修正・調整する。
  2. 対象物の永続性
    「目の前になくてもどこかに存在している」ことを理解する能力。発達することにより「いないいないばぁ」を楽しめるようになる。
  3. シンボル機能の理解
    実物が目の前になくても、頭に思い浮かべられる能力。ぬいぐるみの犬を見たときに本物の犬をイメージして、「どちらも犬だ」と理解できる。
  4. 模倣行動
    周囲の動きや言葉、表情などを記憶して、まねできるようになる。

第2段階:前操作期(2歳〜7歳ごろ)

前操作期は複数の情報を処理する能力が育つ時期です。ただし、客観的な視点が未熟であり、自己中心的な言動が目立ちます。

  1. 自己中心性・中心化
    他者の立場や気持ちを想像できず、自分の視点が中心になる。目立つ部分に目がいきやすく全体像の把握が苦手。
  2. 保存性の未発達
    「物の数や量は形が変わっても同じ質量がある」とまだ理解できない状態。
  3. アニミズム的嗜好
    無生物や自然現象にも命や意思、感情があるかのようにとらえる。人形やおもちゃ、食べ物に話しかけたりする様子が見られるが、4歳くらいから理性的な考え方ができるようになる。
  4. 象徴機能の発達
    物事を表現する力が育ち、実物を見なくても言葉などから様子をイメージできる。

第3段階:具体的操作期(7歳〜11歳ごろ)

小学生にあたる具体的操作期には、論理的な思考が発達し、実際に試さなくても情報を理解し、解決策を探せるようになります。

  1. 論理的思考
    経験や具体例に基づいて論理的に考えられる。計算や物事の因果関係も理解できる。
  2. 保存性の習得
    「物の数や量は、見かけが変わっても同じ質量がある」ということを理解できる。
  3. 脱自己中心性
    他の人の視点や気持ちを理解し、自分の視点、考えと区別できるようになる。
  4. 分類と系列化
    物の分類や順序立て、整理ができる能力。数の大小関係や年齢順などの仕分けができる。

第4段階:形式的操作期 (11歳ごろ〜成人)

小学校高学年以上に当たる形式的操作期になると、抽象的思考や仮説思考ができるようになり、複雑な問題解決の能力、将来の計画を立てる能力などが備わります。

  1. 形式的演繹(えんえき)
    物事の原理を理解し、直接的な観察をしなくても仮定から結論を導き出せる。
  2. 抽象的・仮定的な推理
    具体例がなくても抽象的なイメージから結果を推理できる能力。哲学や科学についても考えられる。

なお、ピアジェは「それぞれの発達段階は質の異なるものである」としています。子どもの発達特徴は、「前の段階の発展ではなく、それまでとは異なる思考のもとで身につくもの」ととらえましょう。

保育士が押さえたい生後〜7歳ごろの発達の特徴

保育士が関わることが多い、生後〜7歳ごろの子どもの発達特徴について、さらに詳しく解説します。

生後〜2歳ごろ(感覚運動期)の発達は6段階ある

生後~2歳までは成長が著しく、発達段階も細かく変化していきます。先々を予測して、子どもの学びや安全対策に配慮していきましょう。

【第1段階】原始反射:生後すぐ〜1カ月ごろ

外部からの刺激で反射的に手足を広げるモロー反射や、指を無意識に握る把握反射のように、赤ちゃんが無意識に行う動きを通して、五感からまわりの世界を認識していく時期です。

【第2段階】一次循環反応:1カ月〜4カ月ごろ

「見る」と「つかむ」といった2つの認識を同時にできるようになります。感覚的に偶然できたことをもう一度やろうとするなど、自分の行動を再現して繰り返す反応も見られます。

【第3段階】二次循環反応:4カ月〜9カ月ごろ

自分以外の存在に興味を持ち始める時期です。触れたら音が出るおもちゃに何度も触れるなど、まわりの物に働きかけて、同じ反応を得ようとします。

【第4段階】二次的行動構造の統合:9カ月〜12カ月ごろ

複雑な行動が取れるようになり、目的のために知識を使って行動を起こせます。見えないものが今もあると理解して、いないいないばぁを楽しんだり、遊ぶのに邪魔なものをどかしたりできます。

【第5段階】三次循環反応:12カ月〜18カ月ごろ

さっきは音が鳴ったけど、違う物で叩いたら音が鳴らなかったなど、自分の行動と結果の相関関係を理解できる時期です。分解したブロックを再び組み立てたりもできるようになります。

【第6段階】初期の表象的思考:18カ月〜24カ月ごろ

対象物が目の前になくても存在や形をイメージできるようになり、見立て遊びやごっこ遊びが楽しめます。

2歳〜7歳ごろ(前操作期)は「自己中心性」がポイント

この年頃の発達には、保存性の未発達やアニミズム的嗜好などの特徴もありますが、保育で特に押さえておきたいのは「自己中心性」です。

2歳〜7歳ごろの子どもは客観的な視点が未熟なため、他者の視点や気持ちで考えることができません。

例えば、ピアジェが行った「三つの山の課題」という実験において、前操作期の子どもは他の人が全然違う場所に立っている(=別の視点から物を見ている)にも関わらず、「他の人も自分と同じ物が見えている」と考えるという結果が出ています。

そのため、保育園では「自分が好きなことはお友だちも好き」「自分が面白いものはみんなも面白い」という思い込みから、困った言動をとる子もいるかもしれません。しかし、それは自分のことしか考えない「わがまま」ではなく、客観的な視点がまだ育っていないせい。背景を正しく理解して、丁寧に対処することが大切です。

ピアジェの発達段階を保育で生かす方法

ピアジェの発達段階の知識は、子どもたちの成長の助けになります。また、年齢ごとの発達状況や考え方を理解することで、より適切なサポートが可能になるでしょう。

サポートするにあたってのポイントは以下のとおりです。

実際に経験して学べる環境を作る

子どもが五感から吸収する情報は膨大です。実際に見て・触れて・やってみる機会を大事にしましょう。その際、トラブルもなるべく子ども自身で解決できるように導きます。

学ぶ機会を取り上げない

子どもたちは、さまざまな経験から知識を学び取って認識を調整していきます。危ないから・汚れるから・難しいからと行動を制限せず、できるだけ体験できる環境を整えてあげましょう。

その子のペースにあわせて見守る

ピアジェの発達段階には大まかな年齢が記載されていますが、これはあくまで目安です。子どもの発達は個人差が大きいため「この歳ならできるはず」と決めつけず、その子のペースで見守ることが大切です。

ピアジェの発達段階の注意点

ピアジェの発達段階論は、20世紀に発表されたものです。時代の変化や最近の研究によって、現在はいくつかの足りない要素も指摘されているため、頼りすぎることなく臨機応変に活用しましょう。

ピアジェの発達段階に関するよくある質問

ピアジェの発達段階とは何ですか?

「ピアジェの発達段階」とは、スイスの心理学者ジャン・ピアジェが提唱した認知発達理論です。子どもを次のように捉え、シェマの概念や4つの発達段階を唱えました。

  • 子どもは自ら実験と観察を繰り返しながら「知」を構築している
  • 子どもの知識や理解(認知)が発達する過程は4段階ある
  • 発達段階ごとに表面的ではなく質の異なる思考・行動が生じる

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ピアジェの発達段階のシェマとは何ですか?

ピアジェの認知発達理論のシェマとは「認知の枠組み」または「認知構造」を指す言葉です。赤ちゃんが自ら体を動かして得た経験や知識を積み重ねながら、行動様式を増やしていく様子から「シェマの獲得→同化→調節→均衡化」という仕組みで発達すると考えました。
詳しい情報は、ほいくらしの「ピアジェの発達段階をわかりやすく解説!」で確認できます。

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ピアジェの4つの発達段階の特徴は何ですか?

ピアジェの4つの発達段階の特徴は次の通りです。

  • ①感覚運動期:生後〜2歳頃
    循環反応・対象物の永続性・シンボル機能の理解・模倣行動
  • ②前操作期:2歳〜7歳頃
    自己中心性/中心化・保存性の未発達・アニミズム的嗜好・象徴機能の発達
  • ③具体的操作期:7歳〜11歳頃
    論理的思考・保存性の習得・脱自己中心性・分類と系列化
  • ④形式的操作期:11歳頃〜成人
    形式的演繹・抽象的・仮定的な推理

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ピアジェの発達段階はどう活かしたらいいですか?

ピアジェの発達段階を保育や教育に活かすときのポイントは次の通りです。

  • 子どもが実際に経験して学べる環境を作る
  • 学ぶ機会を取り上げない(行動をなるべく制限しない)
  • その子のペースにあわせて見守る
  • 頼りすぎず臨機応変に活用する

あくまで目安であること、現代社会では足りない要素もあることを理解して活用しましょう。

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ピアジェの発達段階が分かりやすいサイトはどこですか?

ピアジェの発達段階を分かりやすく解説しているサイトは次の通りです。
・ほいくらし「ピアジェの発達段階をわかりやすく解説!保育での生かし方と注意点とは」保育士視点でシェマや4つの発達段階を丁寧に解説しています。

まとめ

「ピアジェの発達段階」は、20世紀の心理学者ジャン・ピアジェが提唱した認知発達論です。この理論では、子どもは生まれたときから経験を通じて認知(シェマ)を獲得し、同化・調節・均衡化を繰り返しながら段階的に発達していくとされています。

つまり、この理論に基づいて子どもの年齢ごとの発達段階、特徴を知れば、行動の理由や考え方の傾向が予測できるわけです。保育の現場で活用すれば、子どもの学びや環境整備、心理面の理解などに役立つでしょう。

ただし、ピアジェの発達段階は、最新の研究でいくつかの不足点が指摘されています。また、子どもの発達は個人差も大きいため、1人ひとりのペースにあわせてサポートしてあげることを心がけましょう。

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