男性保育士のリアルと将来性|年収・メリット・おすすめの職場

男性保育士のリアルと将来性|年収・メリット・おすすめの職場

男性保育士の数は、令和6年4月の時点で全体の約5%とまだまだ少数です。

かつては、保育士=女性の仕事というイメージや給与の低さから、保育士は男性が目指しにくい職種の1つでした。しかし、現在は男性保育士の需要が高まり、働きやすい環境が整いつつあります。

今回は、男性保育士を取り巻く現状と将来性、男性保育士に見られる悩みや解決法、おすすめの職場などについて詳しく解説します。これから男性保育士を目指す方はもちろん現役保育士の方も、理想のキャリアプランを考える際の参考として、ぜひご覧ください。

この記事の監修者
ぽん先生(保育士)
東京都で働く現役の保育士。自身の子育てや育休の経験を通して家庭保育の大変さを痛感し、子育て支援のための活動を始めた。「少しでも楽しく子育てを!」をモットーに育児の楽しさを伝える活動を精力的に行っている。

男性保育士の将来性は期待大

かつての男性保育士は、女性メインの職場環境による働きにくさや給与の低さなどから、保育園を就職先として選びにくい状況にありました。

しかし、最近はジェンダーレスの定着もあり、「保育は女性が行うもの」という固定概念が外れてきました。男性ならではの視点や利点が保育現場で求められるようになり、男性も保育士として働きやすくなってきたのです。    

給与面を見ても、保育士不足の解消に向けて、賃金を改善する制度が年々拡充されています。また、人間関係についてもハラスメント対策などが進み、働きやすい環境が整ってきました。

2024年に発表された矢野経済研究所の「こども関連ビジネス市場に関する調査」でも「少子化ながら前年度比は2.2%増、市場は拡大を維持」と、保育業界や子ども関連事業は伸び続けています。

それらを踏まえるなら、現状は人数が少ない男性保育士ですが、将来的にはますます需要が高まってくるといえそうです。

男性保育士の現状【2025年】

ここからは、最新データを使って男性保育士を取り巻く状況を紹介しましょう。

男性保育士の割合は約5.2%

出典:「保育士等登録者数」(こども家庭庁)をもとにマイナビ保育士が作成

男性保育士が保育士全体に占める割合は、2024年時点で5.2%。10年前の4.4%から大きく変わっていないように見えますが、人数は54,423人から98,676人へと2倍近くに増えています。

全体の平均年収との比較

この数年で、保育士の給与は確実に改善されています。それでは、男性保育士の給与は女性保育士や同世代の男性と比較して、どのような水準なのでしょうか? ※2023年度

男女別保育士の平均年収

男性保育士の平均年収:448.5万円女性保育士の平均年収:393.2万円
参考:「令和5年賃金構造基本統計調査」(政府統計の総合窓口)※役職なしの場合

平均年収では、男性保育士のほうが女性保育士より高い傾向にあります。求人時点での男女差はないため、出産による仕事離れの期間がないことや正社員率の高さなどが、その要因だと考えられます。

男性の世代別平均年収

年代平均年収
20代前半279万円
20代後半429万円
30代前半492万円
30代後半556万円
40代前半612万円
出典:「令和5年分民間給与実態統計調査 年齢階層別の平均給与」(国税庁)

年収は年齢によって大きな開きがあるため、ここでは男性保育士の平均年齢である31歳を中心とした年収を比較してみましょう。

30代前半の平均年収と先ほどの男性保育士の平均年収を比べると、保育士のほうが43万5000円ほど少なくなっています。

ただし、役職次第で世代別平均年収を上回る可能性があります。例えば、私立の主任保育士の平均年収が507万円であることを考えれば、キャリアアップを目指せば年収が上がることも考えられるでしょう。また、保育士の処遇改善加算制度も今のところは継続される予定です。

※参考:「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」(政府統計の総合窓口)

男性保育士の離職率と離職理由

男性保育士の離職率を示す明確なデータはありませんが、厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」の平均勤続年数を見ると、女性保育士が平均8.9年なのに対し、男性保育士は6.5年となっています。平均年齢も女性が39.2歳なのに対して、男性は31.7歳と早く辞めていることがわかります。

これまで、男性保育士の主な離職理由は、「収入が低く結婚や出産、子育てなどを支える収入に不安があるため」といわれてきました。しかし、近年は約7割が共働き家庭となっていることに加え、保育士の給与も上がっています。加えて、男性が育児休暇を取れる体制も整ってきました。

そのため、男性保育士の離職率は、今後よい方向に変わっていくと考えられます。

男性が保育士になるメリット

男性保育士は、子どもや保護者、保育園に大きなメリットを与えてくれる存在です。以下では、男性が保育士になるメリットについて紹介します。

男性ならではの専門性を発揮できる

女性保育士は子どもの心のケアが得意な方が多いことに対して、男性保育士は遊びを広げるのが得意な方が多いもの。また、子どもたちを軽々と抱き上げたり、全力で走り回ったりと、運動遊びの面でも子どもたちが大喜びするようなダイナミックな遊びが展開できます。思い切り遊んであげれば、子どもたちにとってもよい経験になるでしょう。

男児に寄り添ったサポートができる

多くの女性にとって、男の子は「未知の生き物」というくらい、思いがけない行動や考え方をします。男性保育士は男の子の気持ちや行動を通訳として保護者に説明できる上に、トイレトレーニングや排泄方法についてもサポートできます。その他、散歩や遠足などで外のトイレを使う場面でも、男性保育士がいれば問題なく対応できるでしょう。

女性とは違う視点で提案できる

女性が多い職場において、男性ならではの視点はとても重宝されます。遊びの企画や制作の工夫、体操などのほかマニュアル作りや防犯面でも、男性ならではの意見が役立つはずです。

防犯や体力面で頼りにされる

女性だけの職場は、不審者に狙われやすいとされています。そのため、男性が1人いるだけで女性の職員や子どもたち、保護者の方たちは精神的に安心できるでしょう。また、重い荷物を移動するときや力仕事が必要なときも、男性がいると作業がスムーズになります。特に運動会や発表会などのイベントでは、頼りにされる場面が多いでしょう。

男性の保護者とコミュニケーションが取りやすい

園児の送り迎えをパパが行うケースも多く見られますが、男性保護者のなかには女性保育士に悩みを打ち明けるのに抵抗がある人もいます。同性の視点から育児の悩みをサポートできる男性保育士は、男性保護者のよき相談相手になれるでしょう。

男性保育士のデメリットと解決方法

男性保育士には、人数が少ないがゆえのデメリットもあります。ここでは、男性保育士が感じやすいデメリットを紹介しつつ、問題の解決方法について考えてみましょう。

力仕事が集中する

男性が少ないことから、「常に力仕事を頼まれて疲れてしまう」という声をよく聞きます。女性は男性の体力の限界がわからないので、悪気なく力仕事をお願いしがちです。つらいときは正直に伝えるようにしましょう。

更衣室やトイレなどが男女共用

 特に公立保育園の場合は、更衣室やトイレが男女共用の施設も少なくありません。その場合、男性保育士は女性が着替え終わるまで外で待って、帰るのが遅くなったりするケースもあるようです。

過ごしにくい場合は施設長に相談して、ほかの着替え場所や優先的に使えるトイレなどを用意してもらいましょう。

職場で孤独を感じやすい

男性保育士は全体の5%しかいないため、職場で男性が1人だけということも珍しくありません。そうしたことから、気軽に仕事の悩みを相談できなかったり、肩身の狭い思いをしたりという場面も多いようです。

しかし、孤独を感じてしまうと、毎日の保育活動に影響が出ないとも限りません。孤独感が強くなる前に積極的に周囲に声をかけて、よりよい人間関係を築くようにつとめましょう。信頼関係が構築できれば、性別に関係なく同じ保育士として保育観や悩みを共有できるはずです。

また、就職を考える場合には、面接時に男性保育士の人数を聞いておくと良いでしょう。男性保育士のあるある動画などを見て、気分をリフレッシュするのもおすすめです。

子どもとの接し方を制限されることがある

保育園の方針や保護者の考え方によっては、「男性保育士は着替え補助をしない」など行動を制限されるケースがあります。真摯に取り組んでいる保育士にとってはつらいことですが、保護者の気持ちに寄り添った対応も必要です。

任された仕事に誠実に向き合い、保護者と信頼関係を築くことができれば、いずれ仕事の幅が広がるかもしれません。

賃金の低さから将来に不安がある

給与が改善傾向にあるとはいえ、結婚や家の購入、老後の備えといった将来設計を考える場面では、不安を覚えることもあるでしょう。

将来の安定を見据えるのであれば、資格の取得やキャリアアップを目指すのがおすすめです。次の章では、保育士のキャリアアップ方法について詳しく紹介するので、参考にしてください。

保育士のキャリアアップ方法

男性保育士が将来への不安を解消するには、キャリアアップが有効な手段です。資格の取得や管理職を目指すことで、給与・待遇が向上する可能性が高まるほか、転職にも有利に働くでしょう。主なキャリアアップの方法は、次の通りです。

資格取得で専門性を高める

保育士に関連する資格を取得して、専門性を高めるのもキャリアアップの近道です。施設によっては研修手当や資格手当が出る場合もあります。

<男性保育士におすすめの資格>

放課後児童支援員、社会福祉士、介護福祉士、児童発達支援士、運動保育士、保育カウンセラー、幼児保育・保育英語検定、幼児食インストラクター、医療保育専門士、認定病児保育スペシャリスト、おもちゃインストラクターなど

保育士等キャリアアップ研修を受ける

保育士等キャリアアップ研修とは、保育士の専門性向上やリーダー的職員育成のために国が行っている制度で、受講することでより深い知識やスキルが身に付きます。また、処遇改善改善等加算の対象になるため、賃金アップも期待できます。

研修の修了証は全国で認められるので、ほかの園に転職した際も自身の能力を証明できるでしょう。

支援制度や処遇改善手当が手厚い職場に転職する

保育士の研修に対する支援制度や、処遇改善加算額の配分バランスは施設によって異なります。キャリアアップを目指すなら、そうした点にも注目して職場を選びましょう。

保育士の賃金やキャリアについては、自治体が独自の支援策を行っている場合もあるので、自治体の情報を調べるのもおすすめです。

※保育士の処遇改善改善制度は、令和7年度に見直されました。詳しくはこども家庭庁の資料をご覧ください。
「令和7年度以降の処遇改善等加算について」(こども家庭庁)

男性保育士におすすめの職場

保育士資格は保育園だけでなく、子どもと触れ合うさまざまな職場で歓迎されます。男性保育士としての悩みやデメリットの解消につながる職場、身に付けた知識・特技を生かせる職場も多いので、広い視野で検討してみましょう。

男性保育士におすすめの職場や職種は、次の通りです。

職場/職種特徴
都心部の私立保育所保育士不足が深刻な都市部は、高待遇求人が多い傾向です。競争が激しいことから、園の方針にも特色があります。質の高い保育を目指す人にはおすすめの職場です。
大手の企業型保育所大手企業が運営している保育施設は、給与が高めで福利厚生や施設も充実しています。悩みを相談できる相談窓口がある職場なら、より安心でしょう。
研修体制が整っている保育所キャリアアップや処遇改善手当を狙うなら、職員の研修に積極的な職場がおすすめです。公式サイトや求人情報で、研修制度の有無や研修手当、資格手当を確認しましょう。
病院内や企業内の保育所24時間体制で預かる施設の場合、夜勤手当が付きます。また、企業の職員として働く場合は、通常の会社員と同等の給与・待遇が受けられます。職場に男性が多いため、働きやすい環境といえるでしょう。
児童養護施設や障害児施設養護施設では、虐待や保護者の病気などの事情で家族と暮らせない子どもをサポートします。一方の障害児施設では、障害がある子どもの日常生活や自立に必要な知識・技能の習得を支援します。保育園より、給与や各種手当が充実している施設が多い傾向です。
放課後児童クラブの学童保育指導員小学生の成長を間近に感じながら支援できる職場です。放課後児童支援員として働く場合は、認定資格研修を受講して資格を取得する必要があります。平均年収はやや低めですが、学童保育の需要の高まりもあって、処遇改善手当などで賃金が改善されてきています。
習い事の講師水泳やダンス、ピアノ、英会話など、特定分野の知識と技術を子どもたちに伝える仕事です。企業が運営する教室・塾に就職すれば、会社員として働きながら子どもの才能を伸ばせます。専門性が高いほど高待遇になりやすいのも、特徴の1つです。
子ども関連企業の会社員保育ICTシステムや教育サービス、おもちゃ、ベビー用品といった子ども関連企業で、保育士の経験や知識を活用する方法もあります。会社員として安定した給与を得ながら、保育士や子どもたちをサポートできる仕事です。
子ども関連のNPO法人の職員子どもにまつわる社会課題に対して、解決に向けた提案や支援ができるやりがいのある仕事です。賃金は運営法人によって異なりますが、全体的には会社員よりやや低めの傾向にあります。
出典:「職業情報提供サイトjob tag」(厚生労働省)をもとにマイナビ保育士が作成

上記のほか、公務員保育士も安定した職業として人気があります。ただし、最近は多くの自治体で公立保育園の民営化が進んでいるので、公務員保育士を目指す場合は事前に最新の情報を確認しましょう。

≫公務員保育士は大変なことが多い?私立との違いや転職の注意点を解説

自分に合った職場を探すときのポイント

保育士の職場は、それぞれに特有の雰囲気や働き方があるため、施設の種類・職種だけで判断せず、広い視野で探すことが重要です。

最後に、数多くある求人のなかから、自分に合った職場を探すためのポイントを解説します。

譲れない条件を整理する

保育士としての働き方をイメージした上で、譲れない条件を書き出し、優先順位を付けましょう。そうすることで、理想に近い職場を選択しやすくなります。

<書き出し項目の例>

希望する給与、働き方や休日、子どもとの関わり方、研修制度の充実度、将来に向けたキャリアプラン、職場の雰囲気、保育方針、避けたい仕事など

求人情報と実情が伴っているか確認する

保育現場では人手不足の施設も多く、制度はあるけれど実際は誰も利用していないというケースもあります。自分が重視したい事柄に関しては、応募の際の特記事項や面談で実情を確認することが大切です。

直接職場を見て判断する

保育士の仕事内容や職場の雰囲気は施設ごとに大きく違うため、事前に見学するのがベストです。スタッフ同士のコミュニケーション、子どもたちの様子、教育方針などを実際に見て、共感できる職場かを判断しましょう。

キャリアアドバイザーに相談する

これから保育士になる方も、現役で活躍している保育士も、就職・転職の際はキャリアアドバイザーに相談するのがおすすめです。

希望にあった求人の紹介はもちろん、キャリアプランの作成、応募先に関する詳細情報の提供、面接対策、交渉代行など幅広くサポートしてもらえるので、安心して就職・転職活動を進められます。

マイナビ保育士のキャリアアドバイザーサービスは無料で利用できるので、まずは登録から始めてみましょう。

男性保育士のリアルがわかる密着動画

現役の男性保育士は保育園でどんな過ごし方をして、何を思っているのでしょうか?

マイナビ保育士では2年目の若手保育士さんと、一般企業から保育士に転職した30歳男性の密着動画を紹介しています。

仕事の楽しさや不安、同僚からの声など男性保育士のリアルが映し出されているので、これから保育士を目指す方、違う職場への転職を考えている方は、一度視聴してみるとよいでしょう。

まとめ

男性保育士は、保育士=女性の仕事というイメージや低賃金が影響して、目指す人が少ない状況が続いていました。しかし、現在は活躍できる環境が整ってきて、社会的な需要も高まっています。

給与も保育士不足の影響や処遇改善加算によって改善傾向にあります。さらには、保育士の資格を生かせる子ども関連の市場も成長し続けています。

男性保育士を目指している方や、男性保育士としてのキャリアアップを考えている方は、この記事を参考にして、理想の働き方を手に入れましょう!

監修者からのコメント💬
近年、男性保育士を取り巻く環境は大きく変わってきたと感じています。男女平等という時代背景もあると思いますが、それ以上に男性保育士ならではの専門性やメリットに保護者も気付き始めたことが大きな要因として挙げられるのではないでしょうか。今回紹介されているようなメリットに限らず、自分ならではの強みを見つけることも大切だと思います。
働く環境については、私自身いくつかの保育園で勤務した経験がありますが、保育園によって男性保育士への印象は職員同士も保護者からも本当に様々です。居心地の良くない思いをされているのであれば、思い切って職場を変えてみると大きな発見へと繋がるかもしれませんね。

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