「保育士は一人暮らしできない」は誤解!最近の手取り・生活費・お得な制度とは

「保育士は一人暮らしできない」は誤解!最近の手取り・生活費・お得な制度とは

業務量が多く給与が低いイメージがある保育士は、「一人暮らしできない」と思われがちですが、それは誤解です。

近年は、賃金改善政策や保育士支援制度の拡充で、保育士の働き方や家計が変わってきています。すごく余裕があるわけではありませんが、上手に職場を選んで工夫すれば、一人暮らしも問題なくできるでしょう。

今回は、「保育士の一人暮らし」に焦点を当てて、平均の手取り額や必要な生活費、活用したい制度、注意点などを紹介していきます。

「保育士は一人暮らしできない」と言われる理由

「保育士は一人暮らしできない」と言われるのは、長い間給与の低さや業務量の多さが取り上げられてきたからでしょう。

事実、10年前の平成27年は、全産業の平均月収が36.2万円だったのに対して、保育士の平均月収は26.9万円。両者の間には大きな開きがありました。また、残業や仕事の持ち帰りも多く、家事をする時間もなかなか取れない状況でした。

しかし、現在は保育士の処遇改善や働き方改革が進み、各種支援制度も充実しています。それと並行して保育士をとりまく環境も大きく変わり、一人暮らしが可能な環境が整ってきました。

参考:「保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について」(こども家庭庁)[1] 

「保育士は一人暮らしできない」は誤解

保育士の人手不足が社会問題になって以降、保育士の働く環境を改善するために、さまざまな取り組みが行われています。以下では、こども家庭庁の資料をもとに、保育現場の課題解消を目指した具体的な取り組みを紹介しましょう。

保育現場の課題に対する取り組み

処遇改善の取り組み 人事院勧告を踏まえた改善や累次の加算措置を実施。あわせて、費用の使途の「見える化」を目指した取り組みを実施。
ICT化・DXの推進による負担軽減 登降園管理システムなどを活用したICT化や、保育DXの推進による業務負担の軽減。
保育補助者・保育支援者の配置支援 保育士の補助や保育の周辺業務を行う人材を配置。役割を分担することで、業務の負担を軽減。
相談窓口の設置 労務条件などに関する相談窓口の設置。
巡回による働き方改革支援 支援員が保育施設を巡回し、離職防止や職場の業務改革に向けた助言を実施。

出典:「保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について」(こども家庭庁)

処遇改善加算などによって給与が年々改善されているほか、ICT化や保育補助の導入で業務負担も軽減されています。さらに、労働環境の見直しや環境維持ができるように、自治体の支援員が巡回する仕組みも整えられています。

最近の保育士の平均手取り額

保育士の平均給与は、今も全産業の平均よりやや低めですが、近年の伸び率は他に例がないほどです。最近の手取り額(下記のグラフ参照)を見てもわかるとおり、一人暮らしは決して無理ではありません。

ここからは、この数年における保育士の給与の改善状況と、最新の手取り額のシミュレーションを見ていきましょう。

保育士と全職種の平均賃金の比較

出典:「令和6年保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について」(こども家庭庁)、「令和6年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)をもとにマイナビ保育士が作成

保育士の平均賃金は着実に伸びており、令和5年には全産業との差が4.8万円にまで縮まっています。また、厚生労働省が令和6年に発表した「賃金構造基本統計調査」によると、保育士の月収は約32.9万円とさらに上昇しました。

令和7年には、保育士の賃金改善を図る処遇改善加算制度がより実施しやすい形に変わったため、今後も給与アップが期待できるでしょう。

※処遇改善加算制度についての詳しい情報は、こちらをご覧ください。

【令和7年度から変更】一本化された保育士の処遇改善加算とは?新ルールを解説

若手保育士の手取り額シミュレーション

令和6年の「賃金構造基本統計調査」によると、一人暮らしを考える世代(経験年数1〜4年)に限った保育士の平均月収(所定内給与額)は、約24万円です。

これをもとに、令和7年時点の税金・社会保険料の制度で手取り額を計算すると、以下のようになります。

【東京都在住・23歳・月収24万円の場合】

月収240,000
所得税2,633円
住民税9,433円
健康保険11,892円
厚生年金21,960円
介護保険0円
雇用保険1,440円
手取り額192,642

手取り19万円はギリギリに感じるかもしれませんが、これは残業代や手当、賞与などを含まない所定内給与額で計算した結果です。

経験年数1〜4年の保育士の年間賞与その他特別給与額(ボーナスや残業手当など変動する給与)が、平均で58万4,000円となっているため、手当などとあわせてひと月5万円程度上乗せできる可能性があります。

参考:令和6年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、性、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)

一人暮らしの平均生活費

次に、一人暮らしにかかる平均的な生活費を紹介します。東京の場合は家賃や物価が高いので少し多めに考えておくと安心です。

1か月あたりの平均生活費は18万7,628円

総務省が行った令和6年の家計調査によると、単身者で民間のアパートやマンションを借りている人の平均支出は、1か月あたり18万7,628円でした。これは、若手保育士の平均手取り額19万円とほぼ同額です。

一方で、社宅や寮で生活する人の支出は、1か月あたり14万9,664円とかなり下がります。保育士は社宅が利用できる職場も多いので、不安な人は職場探しの条件に入れておきましょう。

一人暮らしの生活費の内訳(1か月あたり)

住んでいる地域や生活スタイルによる違いはありますが、総務省による家計調査を見ると、一人暮らしの生活費の内訳はこのようになっています。

生活費の内訳民間の賃貸物件社宅
住居費用 (家賃・維持費含む)53,135円14,883円
食費42,015円44,558円
水道・光熱費11,619円5,177円
家具・家事関連費4,218円3,342円
衣類関連費5,221円6,597円
保健医療費7,751円6,889円
交通費14,347円13,942円
通信費5,823円6,960円
教育費13円0円
教養・娯楽・趣味費20,114円20,139円
その他(交際費など)23,373円27,176円

出典:「2024年(令和6年)家計調査 家計収支編 住居の所有関係別1世帯当たり1か月間の支出(単身世帯)」(総務省)をもとにマイナビが作成

民間の賃貸物件と社宅では住居費用と光熱費に大きな差があり、社宅住まいの人のほうが食費や衣類、交際費などにお金をかけていることがわかります。

ただし、東京23区の家賃は、エリアごとに大きな違いがある点に注意が必要です。株式会社CHINTAIが2025年10月に行った平均家賃調査によると、ワンルーム(約20㎡)の最高値は港区の15.6万円、最安値は練馬区の6.7万円となっています。

家賃相場が高いエリアほど、給与や住宅手当が高くなる傾向はありますが、その分物価も上がる可能性があるので、事前に相場を調べておきましょう。

保育士の一人暮らしに活用できる制度

若手保育士が無理なく一人暮らしをするには、住居費用を抑えることが重要です。保育士は自治体の支援制度や職場の住宅補助が受けられる場合が多いので、ぜひ頭に入れておいてください。

職場独自の家賃補助(住宅手当)

保育士が活用できる最も一般的な生活支援制度は、家賃補助(住宅手当)です。これは、事業者が従業員の住宅にかかる費用を一部負担する制度で、毎月一定額が給与と一緒に支給されます。

運営企業が独自に設定する福利厚生のため法的な義務はなく、金額や条件も職場ごとに違います。相場は1万円〜3万円程度ですが、課税対象となることも覚えておきましょう。

職場が提供する寮や社宅

従業員用の寮や社宅制度を利用できる場合、家賃は一般的な相場の20〜50%程度となるため、負担をかなり抑えられます。家賃は給与天引きで徴収され、非課税で家賃の一部を負担してもらえることが多いようです。

とはいえ、運営企業が所有している物件か、運営企業のコスト・契約条件に合った物件になるため、希望どおりのところに住めるとは限りません。職場の人と「ご近所」になる可能性もあるでしょう。

保育士宿舎借り上げ支援事業

補助率が最も大きいのは、「保育士宿舎借り上げ支援事業」を導入している施設の借り上げ社宅や寮です。

保育士宿舎借り上げ支援事業とは、運営企業が保育士宿舎を借り上げる費用を国や自治体が一部負担する制度で、保育士1人につき月額8万2,000円を上限に、最長6年間の補助が受けられます。

なかには、自己財源で補助を上乗せする自治体もあり、無料で宿舎に住めるケースもあるようです。

職場の補助を活用したい場合は、「どのような福利厚生があるか」「活用するための条件は何か」などを事前に調べておくのがおすすめです。自分で調べるのが難しい場合は、保育業界専門の転職アドバイザーに聞くとスムーズに進みます。転職を決めていない段階でも利用できるので、気軽に相談してみましょう。

※マイナビ保育士のホームページのリンクを設置

保育士の一人暮らしで注意したいこと

保育士が一人暮らしをするときは、以下の5つのポイントを押さえると、引越し後のトラブルやストレスを減らせるはずです。

住宅補助の対象となる職場を選ぶ

生活費を抑えるため、まずは求人票の福利厚生欄や手当の項目で、住宅手当の有無を調べます。あわせて、自治体のホームページで、「保育士宿舎借り上げ支援事業」の実施状況も調べておきましょう。

ただし、支援事業の対象は、自治体ごとに詳細が異なるので注意してください。自治体によっては、「車通勤者は不可」「1年以内に市内で転職している保育士は対象外」「保育士が世帯主であること」など独自の条件も見られます。

【対象者の例】

  • 認可保育所
  • 認定こども園
  • 小規模保育事業
  • 事業所内保育所
  • 家庭的保育事業に勤務している保育士
    ※保育補助、看護師、栄養士、施設長は対象としない自治体もある
  • 月120時間以上など、自治体が規定した勤務時間をクリアしている

ピアノの練習環境

自宅でピアノ練習をする人は、あらかじめ物件探しの条件に組み込んでおきましょう。一般的な賃貸物件では楽器NGのところも多く、音を出せる時間に制限があったり、ピアノの持ち込み自体を禁止していたりする場合もあります。音のトラブルは、近隣との関係悪化につながりやすいので気をつけましょう。

勤務先との距離

家賃が安いからといって遠方の物件を選ぶと、通勤に時間をとられて体を休める時間が減ってしまいます。そうしたストレスを避けるためにも、住まいは職場と近い場所にするのが理想です。

しかし、近過ぎるとプライベートでも園の関係者と遭遇して、気が休まらない場合もあるので、ほど良い場所を選びましょう。

防犯を意識する

最近は、女性を狙った犯罪や侵入強盗が増えています。住まい探しでは、以下の点も意識しましょう。

  • 街の治安や犯罪状況を警察や自治体のホームページでチェックする
  • 夜でも明るく、人通りがある立地の物件を選ぶ
  • 建物のまわりに足場になる塀や木、隠れられる場所がないかをチェックする
  • 防犯カメラやオートロック連動インターホンの有無をチェックする など

こまめに出費を管理する

保育士の手取りは増加傾向にありますが、それほど余裕があるわけではありません。一人暮らしでは、契約更新や思わぬ体調不良などで、まとまった費用が必要になることもあるので、こまめに出費を管理して節約を心がけましょう。

まとめ

「保育士は一人暮らしできない」というのは誤解です。近年の処遇改善や働き方改革などによって、保育士の手取りや待遇は大きく改善しており、一人暮らしも十分に可能です。

ただし、若手保育士の手取りと一人暮らしの平均的な生活費はほぼ同額のため、賞与や手当、住宅補助がつく職場探しがポイントになるでしょう。

保育士の暮らしの助けになる福利厚生、住宅補助制度などを確認する際は、保育業界専門の転職アドバイザーが頼りになります。職場に直接聞きにくいことや制度の最新情報、おすすめの引越しエリアなど、何でも気軽に相談してみましょう。

<参考>

令和6年賃金構造基本統計調査

こども家庭庁 令和6年保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について P6保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について

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