保育士不足の原因は?配置基準や実際の取り組みの理解が重要

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近年、保育士の不足が社会問題として叫ばれており、官民による様々な施策が実施されているにもかかわらず、保育士不足の状況は解消していません。現状の保育士不足には、どのような背景があるのでしょうか。

この記事では、「保育士が不足している原因」と「不足解消のために、どのような取り組みが行われているのか」について、詳しく解説します。保育士が不足している現状について、疑問を感じている人は、ぜひ参考にしてください。

保育士が不足している原因は?

待機児童が社会問題となっていることから分かる通り、全国的に保育士の人数が不足しています。保育士が不足する背景・原因としては、どのようなものが考えられるのでしょうか。保育士不足の代表的な原因としては、以下に挙げた4つが考えられます。

①資格取得しても保育士を選択しない人が多い

保育士は、就職するために国家資格が必要な資格職業です。一般的に、資格職業は「手に職」ともいわれ、人気があります。

しかし、保育士に関しては、保育士関連以外の職種に就業する有資格者が多い傾向です。保育士資格を持ちながらも、保育士として就業していない人を「潜在保育士」と呼びます。 平成25年度における潜在保育士の総数は、保育士登録者が119万に対して約76万人です。潜在保育士の割合は、保育士登録者数の64%にも及びます。

(出典:厚生労働省「保育士等に関する関係資料」​/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/s.1_3.pdf

なぜ、資格を取得したにもかかわらず、多くの人が保育士として就業しないのでしょうか。保育士として就業しない人が多い理由としては、以下に挙げた3つの原因が指摘されています。

②労働環境が悪い

保育士の仕事は、「労働条件が悪い」というイメージが浸透しています。

  • 長時間勤務で残業が多い
  • 休暇を申請しづらい

責任が重い

保育士は、数多くの子どもを預かる仕事であるため、必然的に責任が重くなります。幼い子どもは、少しでも目を離すと大きな事故に遭ってしまう可能性があります。また、保護者からの要望や期待がプレッシャーとして、重くのしかかることが少なくありません。

給料が低い

現在、労働条件の改善に向けた様々な施策が講じられているため、保育士の給料は他職種の女性平均賃金と同等のレベルにまで引き上げられています。それでも、かつての「低賃金」というイメージが根強く残っているため、保育士を選択しない人が少なくありません。また、責任の重さや忙しさに対して、割に合わないという認識を持つ人も多くいます。

配置基準のルールとは?

保育士不足の原因として、潜在保育士の問題以外にも、「認可保育園における配置基準の厳格さ」が挙げられます。保育士の配置基準とは、認可保育園において子ども達の安全を守り、質の高い保育を提供するために定められた、保育士人員に関するルールです。

ここでは、配置基準の計算方法や自治体による基準について、詳しく解説します。

認可保育園において定められている保育士配置の最低基準

認可保育園における子ども達の人数に対する保育士の設置基準は、以下の通りです。

児童の年齢保育士配置数
0歳児童3人に対して保育士1人
1・2歳児童6人に対して保育士1人
3歳児童20人に対して保育士1人
4・5歳児童30人に対して保育士1人

(出典:内閣府「認可外保育施設の質の確保・向上について」​/https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/free_ed/kanji_1/pdf/s2.pdf

保育士の配置基準は、子どもの年齢ごとに設定されています。上記の表にある年齢は、満年齢ではなく、その年の4月1日時点における子どもの年齢です。

正確な計算方法

保育士の配置基準を計算するためには、年齢ごとに子どもの人数に対する保育士の割合で計算します。 ただし、認可保育園としての基準を満たすためには、保育士の配置数をクラスごとで正確に算出する必要があります。正確に保育士の配置数を計算するためには、以下の点に注意しなければなりません。

  • 児童数で割り切れない時には、四捨五入をして計算すること
  • 延長保育の時間帯も、原則として保育士を基準通り配置しなければならないこと

自治体の基準

国の定めた基準に加えて、自治体ごとに独自の配置基準を設けている場合があります。一般的に、自治体による配置基準は、国の基準よりもさらに厳しく設定されています。 そのため、自治体による配置基準の厳しさが、保育士不足の原因となっているのではないか、という指摘があります。一方で、配置基準が厳しいことによって、質の高い保育に繋がっているという考え方も存在します。

保育士不足を解消するための対策

保育士不足は、放置できる問題ではありません。もはや保育士の不足は、大きな社会問題となっており、行政と保育園の双方が対策を検討し、実行していく必要があります。

ここでは、行政が実施している取り組みと、各保育園が取り組むべき対策について解説します。

行政の取り組み

保育士不足を解消するために、行政が実施している取り組みとしては、以下に挙げた2つの施策が挙げられます。

①保育士確保プラン

「保育士確保プラン」は、国全体で不足する保育士を雇用するために、平成27年から実施されている施策です。保育士確保プランの具体的な施策内容には、以下のものがあります。

  • 保育士試験の実施回数を年1回から年2回に拡大
  • 保育士の待遇改善
  • 保育関連の学校で学ぶ学生に対する保育園への就職促進支援
  • 保育士試験を受験する学生に対する受験費用の支援
  • 離職中の保育士に対する再就職支援
  • 福祉系の資格保有者に対する、保育士試験の一部科目免除

これらのプランと併せて、従来から行われていた保育士の人材確保・人材育成・就職支援・環境改善の取り組みを継続しています。

②保育士確保集中取り組みキャンペーン

「保育士確保集中取り組みキャンペーン」は、保育士確保プランをさらに強化させる形で、平成31年にスタートしました。保育士確保集中取り組みキャンペーンでは、令和2年度末までに32万人にも及ぶ子どもの受け皿を確保することを目標として、以下の施策を展開しています。

  • 保育士給与を、平成25年度以降で約13%の改善
  • 技能や経験に応じて、最大4万円の給与改善
  • 離職中の保育士のために、現場復帰に向けた研修の開催
  • 保育園の勤務環境を改善し、就業を継続しやすい環境作り

保育園側に求められる取り組み

保育士不足を解消するためには、現場での取り組みも重要です。保育士が離職する時の原因となる、具体的な職場環境や業務内容の問題を改善する必要があります。それぞれの保育園が取り組むべき対策は、以下の通りです。

保護者からの要望に園全体で取り組む

保育士の業務として、保護者対応は重要な業務です。 しかし、保護者の中には、本来は家庭で行うべきことを保育園で実施するように要求するなど、無理な要求をする人がいます。 こうした保護者対応の全てを担任の保育士に任せていると、精神的負担が重くなってしまうため、園全体で取り組むように体制改善を行う必要があります。

適切な人事評価制度を作る

保育士のモチベーションを高めるためには、仕事内容を適切かつ公平に評価することが大切です。モチベーションアップは、離職率の低下に繋がります。モチベーションアップのためには、透明性が高く、分かりやすい評価制度が必要です。

勤務時間を減らす

長時間勤務や土日祝日の出勤は、保育士にとって大きなストレスとなります。 保育園である以上、イレギュラーの対応が必要となることは仕方のない部分があります。しかし、休日出勤を行った場合は代休を取得できるようにしたり、業務負担を軽減するために他の職員で分担できるようにしたりするなど、体制を整えることが大切です。

給料を上げる

行政の施策により保育士の給料には改善の傾向が見られますが、業務量や責任の重さを考えると、まだ十分とはいえない職場が多くあります。行政の支援施策だけではなく、各保育園で給料アップに向けた取り組みが求められます。

まとめ

今回は、保育士の人数が不足している原因や配置基準のルール、保育士不足を解消するための対策について紹介しました。

保育士の人数が不足する原因として、「仕事の責任が重い」「労働環境が悪い」といったことが挙げられます。また、法律や市町村の条例で決まっている保育士の配備数による問題もあります。

保育士不足対策をするためには、行政と保育園の両方での取り組みが大切です。保育士不足に悩んでいる人は、現状を把握し、待遇面や環境面の改善といった保育士に就職しやすくするための取り組みを行いましょう。

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