高卒で保育士になるためには?資格取得の方法・平均年収も

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保育士資格は国家資格のため、高卒でも取得できるのか不安に思っている人もいるでしょう。

保育士資格は、最終学歴が高卒でも取得できます。一般的には、高校卒業後に保育士養成学校に通って保育士資格を取得する人がほとんどですが、高卒でも所定の条件を満たして保育士試験に合格すれば保育士資格を取得することが可能です。

今回は、高卒の人が保育士資格を取得する方法から実務経験の積み方、効率的な勉強の仕方までを解説します。高卒でも保育士を目指すことはできるため、当記事を参考に保育士資格の取得にぜひ挑戦してください。

最終学歴が高卒の人が保育士になるためには?

保育士として働くためには、保育士資格を取得しなければなりません。保育士資格は、保育に関する仕事に従事する際に必要となる国家資格です。

つまり、最終学歴が高卒でも、保育士資格を取れば、保育士として活躍することが可能です。また、高等学校卒業程度認定試験の合格者(高卒認定)でも、保育士の資格取得を目指せます。保育士資格の取得後は都道府県知事に保育士登録を申請し、保育士証が交付されれば、保育士として働くことができます。

保育士になるためには保育士資格が必要となり、高卒でも保育士資格の取得を目指せることをまず押さえておきましょう。

高卒保育士の平均年収は?

職種にかかわらず、将来就きたい仕事でどの程度の収入を得られるか気になる人は多いでしょう。ここでは、高卒者が保育士になった場合、どの程度の年収が見込まれるかを紹介します。

下記は、サービス職業における20〜24歳の平均年収を学歴別にまとめた表です。

20~24歳の平均年収(サービス職業従事者)

平均約272万円
中卒約227万円
高卒約275万円
専門学校卒約266万円
大学卒約284万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

また、保育士の平均年収は次の通りです。

保育士の平均年収

保育士平均約374万円
経験年数1~4年の保育士約330万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html
多くの企業や職種では高卒と比べて大卒のほうが初任給がよくなる傾向にあり、サービス職でも同様の傾向が見られます。一方、保育士の場合、給料はあまり学歴に左右されません。保育士は、給料が学歴によらず一律な求人や、学歴不問の求人が多く見受けられるため、高卒者も大卒者も同等に活躍する可能性の高い職種です。

高卒の人が保育士の資格を取得する方法

高卒の人が保育士の資格を取得する方法には、次の2種類があります。

・1年に2回行われている保育士試験に合格する
・認可を受けている専門学校・短大・大学を卒業する

保育士養成施設に入学した場合、卒業時に保育士試験を受験しなくても保育士資格の取得が可能です。

ここでは、高卒の人が保育士の資格を取得する方法について説明します。

保育士試験に合格する

保育士試験の受験には年齢制限がないため、何歳でも受験することが可能です。

しかし、保育士試験を受験できるのは、受験要件を満たした人のみです。

平成3年4月1日に保育士試験の受験資格が短大卒業程度に引き上げられため、平成3年3月31日よりも前に高校を卒業している場合は受験資格がありますが、卒業年月日が平成3年4月1日以降の場合は所定の要件を満たす必要があります。

高卒の場合における受験資格の要件は、下記の通りです。

平成3年3月31日以前の卒業受験資格あり
平成8年3月31日以前の卒業高等学校の保育科を卒業している場合は受験資格あり
保育科以外で平成3年4月1日以降の卒業
保育科で平成8年4月1日以降の卒業
児童福祉施設で2年以上・総勤務時間数2,880時間以上の
勤務経験がある場合は受験資格あり

(出典:一般社団法人全国保育士養成協議会「高等学校卒業」/​http://www.hoyokyo.or.jp/exam/qualify/high.html

高卒の場合、卒業時期や学科などによって受験資格の有無が変わるため、要件をよく確認しましょう。

認可を受けている保育士養成学校を卒業する

都道府県知事が指定する保育士養成学校を卒業することでも、保育士資格を取得することが可能です。

保育士養成学校には、専門学校・短期大学・4年制大学などがあります。いずれの学校も高卒であれば、入学資格を有します。2〜4年の養成課程の中で所定の科目を履修し、座学や実技を通して保育士に必要な知識や技術を身に付けます。授業には保育施設での実習もあるため、実践的な経験を積めることが保育士養成学校に通うメリットです。

保育士養成学校を卒業した場合は、保育士試験を受験する必要はありません。

高卒の人が実務経験を積むためには?

高校の保育科以外を平成3年4月1日以降に卒業した人、高校の保育科を平成8年4月1日以降に卒業した人が保育士試験を受験するためには、児童福祉施設で2年以上・総勤務時間数2,880時間以上の勤務経験が原則必要です。

とはいえ、どのように実務経験を積めばよいか分からない人もいるでしょう。

ここでは、高卒の人が実務経験を積む方法を解説します。

児童福祉施設として認可を受けた施設で働く

基本的に、保育士試験の受験資格を得るために必要な実務経験を積める場所は、児童福祉法第7条に児童福祉施設として規定されている施設です。また、受験の際は児童の保護または援護に関する勤務経験が求められることから、事務員などではなく保育補助として2年以上・2,880時間以上働く必要があります。

児童福祉施設は下記のような施設が該当します。

【児童福祉施設】
・保育所
・幼保連携型認定こども園
・助産施設
・乳児院
・母子生活支援施設
・児童厚生施設
・児童養護施設
・障害児入所施設
・児童発達支援センター
・児童心理治療施設
・児童自立支援施設及び児童家庭支援センター

(出典:電子政府の総合窓口e-Govイーガブ「児童福祉法」
/https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000164_20180620_429AC0000000069&openerCode=1#73

しかし、自分が通える範囲内にある上記の施設が人員を募集していないこともあるでしょう。その場合は、下記の施設で実務経験を積むことでも、保育士試験の受験資格認定基準に該当します。

【受験資格認定基準に該当する施設・事業】
・ 認可外保育施設
・ 小規模保育事業
・ 幼稚園型認定こども園
・ 地域裁量型認定こども園
・ 幼稚園
・ 家庭的保育事業
・ 居宅訪問型保育事業
・ 事業所内保育事業
・ 放課後児童健全育成事業
・ 一時預かり事業
・ へき地保育
・ 小規模住居型児童養育事業
・ 障害児通所支援事業
・ 一時保護施設
・ 放課後等デイサービス
・ 院内保育
・ 企業主導型保育事業

(出典:一般社団法人全国保育士養成協議会「高等学校卒業」/http://www.hoyokyo.or.jp/exam/qualify/high.html


ただし、上記の施設で実務経験を積んだ際は知事による受験資格認定が必要です。施設長に確認したうえで必要書類を作成してもらい、受験を希望する都道府県に認定申請を出しましょう。

認定施設でフルタイムとして働いている場合は2年以上勤務する

認定施設でフルタイムで働く場合、週5日の6時間勤務を2年以上続ければ、総勤務時間数2,880時間の規定をクリアできます。しかし、総勤務時間数が2,880時間以上でも、勤務年数が2年未満であれば、保育士試験の受験資格は得られません。勤務年数や総勤務時間も念頭に置いて、無理なく実務経験を積めるようにスケジュールを立てましょう。
ただし、育児の合間などにパートで働く場合は、総勤務時間の基準を満たすために3~4年の月日がかかることもあります。学習した内容を忘れないよう勉強時間も確保しつつ、着実に実務経験を積みましょう。

【実務経験を積める職場】主な職場の概要・特徴

児童福祉施設で勤務し、保育補助の業務に携わることで、保育士試験の受験に必要な実務経験を積むことができます。児童福祉施設は児童福祉法第7条に定められた施設は、次の13施設です。

児童福祉施設

保育所(利用定員20名以上)一般的に、0~2歳の子どもを預かり、保育する施設です。園によっては、小学校入学直前の子どもが在籍していることもあります。
保育所型認定こども園幼稚園と保育所の機能を併せ持つ施設です。認可保育所が保育が必要な子ども以外を受け入れることで、幼稚園的な機能を果たしています。
幼保連携型認定こども園幼稚園に、保育所の機能を持たせた施設です。幼稚園教諭資格と保育士資格を併有した保育教諭を置いています。
児童厚生施設(児童館)地域の子どもたちが集まる施設です。児童に健全な遊びの機会を与えて、心身を健全に育むことを目的としています。
児童養護施設さまざまな事情で、家族から適切な養育を受けられない子どもの健やかな発達・自立を支えるための施設です。一般的に2〜18歳までと、幅広い年齢層の子どもが在籍しています。
助産施設妊産婦に対して助産を行う施設です。保健上必要があるにもかかわらず生活保護を受けているなど、経済的な理由によって出産費用を負担できない人が対象です。
乳児院事情があって家庭での養育が難しい乳児を24時間体制で保護・養育します。乳児の保護・養育以外にも、保護者や里親の支援、地域の子育て支援も行っています。
母子生活支援施設DVなどから母子を守るシェルター的な役割や相談先として、ひとり親家庭を支える事業を幅広く提供する施設です。施設ごとに事業内容が異なり、学童保育などのサービスも提供しているところもあります。
障害児入所施設 身体・知能・精神などに障害を抱える子どものための施設です。食事・排せつ・入浴などの介護からレクリエーション・コミュニケーション支援まで幅広く行います。
児童発達支援センター障害を抱える子どもを通所させ、日常生活における基本的動作の指導・自活に必要な知識や技能の付与、集団生活への適応のための訓練を行います。
児童心理治療施設心理的な問題を抱える子どもを支える施設です。子どもの状況の改善を目的とし、学校とも密に連携しながら、集団生活の中で治療・支援を行います。
児童自立支援施設非行や生活上の問題を抱えた子どものための施設です。対象の子どもを入所もしくは通所させ、学科・職業指導などを行うことによって自立を支援します。
児童家庭支援センター地域の子育て・家庭の問題をサポートする機関です。市区町村の役所と連携することが多く、役所の依頼に応じて乳幼児健診や家庭訪問などの活動を行うこともあります。

児童福祉施設以外だけでなく、「受験資格認定基準」に該当する施設・事業でも保育士資格の受験に必要な実績を積むことが可能です。受験資格認定基準に該当する施設・事業での実務経験があれば、受験を希望する都道府県に申し出て「受験資格認定証」の交付を受けることで受験が可能となります。

以下に、受験資格認定基準に該当する対象施設・事業を抜粋して掲載します。保育士資格の取得に向けた取り組みの参考にしてください。

受験資格認定基準に該当する施設・事業(抜粋)

認可外保育施設施設の広さなどについては国が定める基準は満たしていないものの、自治体独自の基準をクリアした認証保育所もあります。
小規模住居型児童養育事業養育者の家庭の中で、家庭環境を失った子どもを受け入れ、少人数保育を行う事業です。養育者となるには、里親として一定の経験を持つなどの要件を満たす必要があります。
事業所内保育事業企業が行う保育事業です。事業所内や近隣などに設けた保育所で保育を行い、子育て中の従業員をサポートし、企業の計画的な人員確保などを実現します。
一時預かり事業継続的ではなく、一時的に子どもを預かって保育する事業です。事業の形態には、一般型(基幹型加算)・余裕活用型・幼稚園型・訪問型の4種類があります。
院内保育病院内で働く医師・看護師などの子どもを対象とする保育施設です。病院内や近隣に設置されることが多く、預かる子どもの年齢は事業者が決めるため、事業所によって異なります。
家庭的保育事業保育者の居宅などで行われる保育事業です。小規模の異年齢保育で、保育所と連携しつつ地域に密着した保育活動を担っています。
放課後等デイサービス小・中・高校の学齢期にあり、障害を抱えている子どもを支援する事業です。家庭や学校と連携しながら、訓練や指導を通して子どもの自立的な生活をサポートします。

【高卒以外のケース別】保育士になるための方法

厚生労働省の調査によると、保育士は登録者数・社会福祉施設などでの従事者数ともに年々増加しており、保育士に対するニーズは年々高まっています。

保育士はニーズが高いうえに、保育士資格取得もしくは保育士養成施設の卒業をもって、学歴を問わず従事できますが、学歴によって資格取得などの条件が若干異なるため、注意が必要です。
(出典:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」
/https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000661531.pdf

中卒の場合

中卒でも高卒と同様、児童福祉施設などで実務を経験し、保育士試験に合格すれば保育士になることができます。中卒者の場合、保育士試験の受験には「5年以上かつ7,200時間以上」児童福祉施設などで実務を経験する必要があります。

保育士になるためには、厚生労働省認定の保育士養成施設で既定の科目を履修のうえ、卒業する方法もあります。ただし、養成学校入学には高校卒業程度の学歴が必要なため、中卒の場合は、入学のために「高等学校卒業程度認定試験」に合格することが必要です。

大学・短大を中退した場合

大学・短大を中退した場合は、在籍していた学校によって受験資格を得る条件が変わります。2年制の短大の場合、高卒と同様、認定施設などにおいてフルタイムで2年の勤務経験を経ることで受験資格を得られます。大学もしくは3年制の短大の場合は、在学期間が2年以上かつ62単位以上の修得で受験が可能です。在籍していた学部・学科が保育士と無関係でも構いません。

保育士養成施設を通じて保育士になる場合は、既定の科目を履修したうえで卒業することで保育士になれます。

大卒・短大卒の場合

短大を卒業した場合は、認定施設などでフルタイム勤務を2年行うことで保育士試験の受験資格が得られます。大卒の場合は、学部・学科に関係なく卒業するだけで受験資格が得られるため、別途実務を経験する必要はありません。


また、短大卒であれば保育士養成施設を既定の科目を受けて卒業する必要があります。大卒の場合、卒業した大学が厚生労働省に認定されていれば、、在学中に既定の科目を履修するだけで自動的に保育士資格の取得が可能です。

効率的に保育士資格を取得するための勉強法

保育士試験では、9科目あるマークシート式の筆記試験をそれぞれ60%以上正解しなければなりません。筆記試験に合格すれば、次の実技試験に進むことができます。

保育士試験を受験して保育士資格を取得したいと考えている人は、学習期間も考慮して効率的に試験勉強することが重要です。

最後に、筆記試験や実技試験に合格するための効率的な勉強方法、試験対策を紹介します。

参考書や通信教育で勉強する場合は基礎を押さえる

通信講座や独学で勉強する場合は、自分のペースで学習を進められることがメリットです。しかし、保育士試験における科目の出題範囲は広いため、自分で学習計画を立ててしっかりと基礎を学ぶ必要があります。保育士養成学校で使用されている教科書や保育士試験対策の参考書を購入し、必要な基礎知識を身に付けましょう。


基本的に、保育士試験の出題傾向はあまり変わりません。通信教育の講座で入念に学習したり、何度も参考書を読んだりすることで、保育士試験で押さえるべきポイントを把握できるでしょう。

保育士業界の近年のトレンドをチェックしておく

保育関係のニュースなどは、常にチェックしておいてください。前年に発表された法改正や子育て支援制度などの内容は、保育士試験で出題される傾向にあります。

毎年変わる出生率に関しても、保育士試験を受験する人は要チェックです。

保育関連の法案や出生率はニュースでも話題となるため、日頃から保育業界のトレンドを敏感に察知しましょう。

過去問を解いて自分なりの回答方法を見つける

保育士試験の過去問題は必ずチェックし、問題の傾向や選択肢の文章に慣れておきましょう。

保育士試験を統括している一般社団法人全国保育士養成協議会のホームページからは、保育士試験の過去問題と筆記試験の回答を閲覧できます。ホームページの過去問題をダウンロードすれば、自分で解いて答え合わせすることも可能です。


しかし、一般社団法人全国保育士養成協議会のホームページには回答の解説がないため、その選択肢がなぜ正解・不正解なのか知りたいときは、解説が付いている問題集を購入しましょう。過去問題で分からなかった言葉や法律は自分なりに調べてノートにまとめておくと、あとから見直すことで知識を定着させることができます。

まとめ

最終学歴が高卒の人でも、保育士を志すことは可能です。保育士となるためには保育士資格が必要となるため、保育士試験を受験するか、保育士養成学校に通いましょう。

なお、保育士試験には受験資格が存在します。高校の卒業年や学科によっては、受験資格・受験資格認定基準に該当する施設での勤務経験が求められる点に注意してください。保育士試験は比較的難しい国家試験であるため、日頃から保育業界のニュースをチェックし、過去問題を解いて知識を身に付けましょう。

高卒だからといって保育士の夢を諦めず、ぜひ積極的にチャレンジしてください。

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