小規模保育園とは?特徴・仕事内容・向いている人も!

小規模保育園とは?特徴・仕事内容・向いている人も!

小規模保育園は、「子ども・子育て支援新制度」に基づき新設された保育施設です。
各自治体で保育基準を決めることができるため、地域の保育ニーズに合う質の高いサービスを提供することができます。

当記事では、保育士視点で小規模保育園とはどのような施設なのかを解説した上で、小規模保育園の勤務環境や仕事内容について詳しく説明します。
小規模保育園が向いている人の特徴も紹介するため、小規模保育園を就職先の候補に入れようか迷っている場合はぜひ参考にしてください。

小規模保育園とは?施設の特徴を3つ紹介

小規模保育園とは、0~2歳児までの子どもを対象にした、定員6~19人の少人数制認可保育施設です。

これまで認可保育所の定員は原則20人以上でしたが、2015年にスタートした「子ども・子育て支援新制度」で基準が緩和されたことにより、定員19人以下も認可事業に位置づけられました。

そのため、小規模保育園も補助金や支援の対象となる認可保育所の一種です。

ここからは、幼稚園や通常の保育所とは異なる小規模保育園の特徴を解説します。

1. 満2歳未満の乳児を保育する

小規模保育園における保育対象は、通常の保育所では乳児クラスに該当する3歳になるまでの0~2歳児です。3歳になると連携施設へ引き継ぎます。


一般的な認可保育園では、0歳から年度中に6歳となる5歳児までの乳児保育・幼児保育を行います。一方で、小規模保育園では乳児保育がメインです。
小規模保育園が乳児保育のみを行う背景には、待機児童問題があります。

以下は、厚生労働省が公表した年齢別の待機児童数をまとめた表です。

利用児童数待機児童数
0歳児151,362人1,227人
1・2歳児958,288人9,603人
3歳児以上11,627,709人1,609人
全年齢児計2,737,359人12,439人
(出典:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(全体版)」/https://www.mhlw.go.jp/content/11922000/000678692.pdf

上記を見ると、待機児童数の約87.9%を0~2歳児が占めていることがわかります。
低年齢児の待機児童が多いことから「子ども・子育て支援新制度」が施行され、0~2歳児の乳児保育に限定した小規模保育園が誕生しました。

2. 家庭環境に近い環境で保育する

小規模保育園における子どもの保育定員は、6~19人までと決められています。また、小規模保育園の保育士の配置基準は「一般的な保育所の保育士配置基準+1名」もしくは「子ども3人に対して職員1名」です。

保育士と子どもが関わる時間が長いため、小規模保育園では家庭環境に近い状態で、子どもの性格・発達や保護者の子育て方針に応じた質の高い保育を行うことが可能です。

また、保育スペースが一般的な保育所よりも小さく、子ども一人ひとりに目が届きやすい環境であることも小規模保育園の特徴です。通常の保育所よりも職員の人数が多いため、アットホームな雰囲気の中で子どもと信頼関係を築けるでしょう。

3. 地域のニーズに合わせた保育を展開している

小規模保育園は、地域型保育の小規模保育に位置づけられ、地域のニーズに合わせた保育を展開しています。

小規模保育園の種類は「A型」「B型」「C型」の3種類です。各施設の設置基準は、国が定める認可基準に沿って各自治体が決定しています。

「A型」「B型」「C型」それぞれの違いは下記の通りです。

A型B型C型
利用定員6~19名6~19名6~10名
職員の配置(※)保育所の配置基準+1名保育所の配置基準+1名0~2歳児3名につき職員1名※補助者を置く場合は0~2歳児5名につき職員1名
職員の資格保育士※保健師または看護師の特例あり半分以上は保育士※保健師または看護師の特例あり※保育士以外には研修実施家庭的保育者※市町村長による研修を修了した保育士、または保育士と同等以上の知識・経験があると認められた人
施設の面積0〜1歳児:3.30m2/人2歳児:1.98m2/人0〜1歳児:3.30m2/人2歳児:1.98m2/人0~2歳児3.30m2/人
※保育所の職員配置基準:0歳児3名につき職員1名、1~2歳児6名につき職員1名
(出典:内閣府「子育て支援事業者の方向け情報:子ども・子育て本部」
/​https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/jigyousya.html​)

A型は職員全員保育士資格が必要ですが、B型は半数以上が保育士であれば運営可能です。C型のみ保育士資格保有者の配置が必須ではなく、市町村長に保育士と同等の保育スキルと経験があると認められた家庭的保育者のみでも保育することができます。

小規模保育園における仕事内容

小規模保育園は少人数保育になるものの、基本的な保育内容は一般的な保育所と同じです。

食事や着替え、トイレのお世話などの生活習慣の指導、成長に必要な遊びやイベント活動・プログラムを通して、子どもの心身の成長と発育をサポートします。

1. 小規模保育園で勤務する際の一日の流れ

施設によって保育方針や年間カリキュラム、月案・週案などの指導案は異なりますが、基本的な一日の流れは通常の保育所とほとんど変わりません。

一般的には以下のようなスケジュールで、子どもの生活リズムを整えながらお世話をします。

時間仕事内容
8:00・登園
・児童の受け入れ
・健康観察
9:00・排泄サポート
・おむつ替え
・遊び
11:30・昼食
13:00・午睡
・交代で休憩
15:00・おやつ
16:00・遊び
17:00・順次降園
18:00・延長保育

0~2歳児はまだ自立できていないことが多く、遊んでいるときや食事のときなど、常に寄り添ったサポートが求められます。子どもたちの昼寝中に交代で休憩を取るケースがほとんどですが、子どもが寝ている間に事務作業を行うこともあります。
保護者のお迎えが来るまでの間は、忙しい一日を送ることが多いでしょう。

小規模保育園の給料・待遇

小規模保育園は、福利厚生が充実している施設が多く、給料も比較的高い傾向にあります。

以下は、2019年に内閣府が行った調査結果をもとに、私立の保育所と私立の小規模保育園における保育士の給与月額をまとめた表です。

職種常勤の給与月額(賞与込み)非常勤の給与月額(賞与込み)
私立保育所保育士301,823円187,816円
保育補助者(無資格者)223,584円168,561円
A型保育士268,755円172,324円
保育補助者(無資格者)235,183円170,387円
B型保育士269,617円192,001円
保育補助者(無資格者)231,115円161,931円
C型家庭的保育者291,775円208,911円
家庭的保育補助者250,117円

(出典:内閣府「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】/https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/data/pdf/chousa/kekka.pdf


小規模保育園の場合、常勤保育士の給与はC型がもっとも高く、A型とB型の給与差はほとんどありません。

私立の保育所で働く保育士の給与と比べると、小規模保育園で働く保育士の給与がやや低めな理由は、小規模保育園は勤続年数が短いためだと考えられます。保育所の保育士の平均勤続年数は11.2年ですが、小規模保育園の保育士の平均勤続年数は約8年です。

また、小規模保育園では大きな行事が少なく、一般的な保育所に比べると残業や持ち帰りの仕事が発生しにくいことも、給与に差が生じている原因のひとつでしょう。
私立の保育所よりは給与が低いものの、通常の保育所とは変わらない待遇で無理なく働ける環境が整っていることは、小規模保育園の魅力だと言えます。

1. 小規模保育園の求人の特徴

小規模保育園の求人には、さまざまな特徴が見られます。そのため、小規模保育園を就職先の候補に入れる場合は特徴を正しく把握した上で、自分に合う求人を探すことが大切です。

以下は、マイナビ保育士に掲載されている小規模保育園の求人に見られる主な特徴を示します。

・地域による求人の特徴
小規模保育園は敷地面積の基準が緩いため、広い保育施設用地の確保が難しい都市部を中心に増加しています。そのため、小規模保育園の求人は東京都・神奈川県などに集中しており、電車通勤できる職場を探すことが容易です。

なお、小規模保育園は全国の待機児童問題を解消する目的で創設された施設であるため、人口の少ない都道府県においても一定数の求人が見られます。今後さらに小規模保育園が増加する可能性もあることから、自分自身の希望する地域の求人を探すことが可能です。

・雇用形態の特徴
小規模保育園の求人の多くは、雇用期間を定めない正社員の募集です。そのため、10年や20年という長期的なスパンで、安定的なキャリアを築きたい保育士に適した求人を探せます。

ただし、一部の小規模保育園では非常勤・パート職員を募集し、短時間勤務を希望する人材を受け入れるため、ワークライフバランスを重視した働き方を叶えることも可能です。家庭と仕事を無理なく両立したい人は、非常勤・パート職員の求人を探しましょう。

・施設形態の特徴
小規模保育園の施設形態は、院内保育所・企業内保育所などの種類があります。院内保育所とは医療従事者のニーズに対応し、医師や看護師の子どもを預かる施設です。企業内保育所では、一般企業に勤務する従業員の子どもを主に預かります。

大規模な病院の運営する院内保育所・大手企業の運営する企業内保育所は充実した福利厚生制度を約束することも多く、安心して働ける環境です。

小規模保育園の仕事の魅力・働きやすさ

小規模保育園は一般的な保育所とは異なる特徴を持つ施設であるため、特有の仕事の魅力や保育士にとってのメリットが存在します。小規模保育園の仕事の魅力や他の施設と比較したときの働きやすさを正しく把握し、自分に合う就職先であるかどうかを見極めましょう。

1. 子ども一人ひとりにきめ細やかな保育ができる

小規模保育園は少人数制の保育施設であることから、子どもたち一人ひとりと丁寧に関わり、きめ細やかな個別支援を実践できます。そのため、子どもたちや保護者と真摯に向き合い、家庭的な保育を実践したい保育士にとっては、働きやすい環境でしょう。

また、小規模保育園の人員配置基準は一般的な保育所と比較し、職員に対して良心的な設定です。そのため、小規模保育園では余裕のある人員配置で働ける可能性が高く、質の高い保育を実践しやすい環境です。

2. 体力的な負担が小さい傾向にある

小規模保育園で預かる子どもは低年齢児に限定されることから、大きな遊具を使用したり激しい動きを伴ったりする外遊びを提供しません。そのため、一般的な保育所から小規模保育園に転職することにより、体力面の負担を軽減できる可能性があります。

ただし、まったく体力が必要ないとは言えず、乳児を抱き上げたり、保育用具を運んだりすることがあります。無理なく業務をこなすためには、日頃から身体を動かす習慣をつけて、体力作りに励みましょう。

3. 行事や残業が少ない

小規模保育園では一般的な保育所ほど頻繁に、大規模な行事やイベントを実施しません。そのため、行事などの準備を進めるための残業が発生しにくく、安定的に働けます。

小規模保育園で実施する行事などのねらいは、一般的に保護者と子どもが楽しく参加し、思い出を作ることです。一般的な保育所のように連日の準備や練習を必要とする行事を実施することは少なく、保育士の負担も軽減されます。

4. 他の職員や保護者と連携を取りやすい

小規模保育園は一般的な保育所と比較し、少人数の職員で運営されます。そのため、他の職員と比較的容易に、コミュニケーションをとることが可能です。下表は、一般的な保育所と小規模保育園の平均職員数を示します。

平日土曜日
一般的な保育所25人12.2人
小規模保育園8.5人3.0人
(出典:内閣府「保育所等の運営実態に関する調査結果<速報>」
/https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kodomo_kosodate/k_41/pdf/s8.pdf

小規模保育園で働く職員の人数は平日・土曜日ともに、一般的な保育所で働く職員の人数を大幅に下回ります。職員の人数が少ない分、人間関係のトラブルに巻き込まれるリスクも低く、心理的な負担が軽減されるでしょう。

また、小規模保育園では保護者対応の時間を、比較的多く確保できます。そのため、保護者と密に連携し、子どもの心身の発達を助けることが可能です。

小規模保育園の大変な点・注意点

小規模保育園は多くの魅力ややりがいを伴う職場であるものの、働く上での注意点も存在します。小規模保育園に就職・転職する際にはデメリットを正しく把握した上で、応募することが大切です。

以下では、小規模保育園に就職・転職する人が注意したいデメリットを解説します。

1. 在籍する保育士数が少ない

小規模保育園は、在籍する保育士が少なく、職員一人ひとりの裁量が大きいと言えます。0〜2歳児は心身の成長・発達が著しい時期の子どもです。そのため、小規模保育園で働く保育士は保護者とともに子どもの一生を左右するほど、重大な責任を負います。

乳児保育では些細な気のゆるみが思わぬケガや事故につながるケースも多く、あらゆる事態を想定した上で細心の注意を払い、保育業務にあたることが大切です。小規模保育園に就職・転職する際には保育士としての責任感や慎重さなどをアピールするとよいでしょう。

2. 保育士によってスキルが異なる

小規模保育園には、さまざまな職員が在籍しており、中にはこれまで乳児保育を経験していない人もいます。また、小規模保育園のB型・C型では、保育士資格を持つ人以外も職員として在籍し、働くことが可能です。職員によって保育スキルに差が見られるため、小規模保育園では保育士資格を持つ人や経験者が、他の職員をフォローすることも必要です。

保育士資格を持たない人が小規模保育園に就職・転職する際には、所定の研修を受講する必要があります。しかし、研修を受講してもなお、経験豊富な保育士ほど臨機応変な対応をとれない可能性は高く、職員同士の助け合いが不可欠です。

3. 設備が整っていないことがある

小規模保育園の中には、都心のビル内に設置されるタイプの施設もあります。ビル内に設置されるタイプの施設には広い園庭がなく、活動内容が制限されるケースもあるでしょう。

狭い空間で子どもたちを楽しませるためには、職員の工夫が必要です。小規模保育園で働く際には、子どもたちに充実した保育環境を提供するための工夫を怠らず、日々の業務にあたりましょう。

4. 幅広い経験を積みにくい

小規模保育園では、乳児保育に特化した保育スキルが必要です。低年齢児クラスの担当経験が少ない保育士は保育内容を覚えるために、一定の努力が必要でしょう。

また小規模保育園では、幼児クラスを担当したり幼児教育に携わったりすることが困難です。そのため、保育士としての将来的なキャリアプランが制限されることもあります。その分、小規模保育園では、乳児保育の専門知識を身につけることが可能です。

小規模保育園で働くことが向いている人

小規模保育園は、低年齢児を対象とした保育施設であるため、乳児保育に興味がある人にとって働きやすい施設です。アットホームな雰囲気で運営されている施設が多く、家庭的な保育環境で働きたい人にもおすすめです。

低年齢児を保育する際は、子ども一人ひとりとじっくり向き合い、自立に必要となる基本的な生活習慣を繰り返し教えることが大切です。

そのため、子どもと根気よく接するだけでなく、小さな変化を感じ取りながら成長を喜べる人も小規模保育園が向いています。

また、小規模保育園では保育従事者1人に対する子どもの人数が少なく、定員数が多いほど1クラスあたりの職員数が増えるため、複数担任となります。保育士や職員同士の連携が必要となることから、コミュニケーション能力が高い人も向いている職場と言えるでしょう。

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まとめ

小規模保育園とは、小規模ならではの特性を生かしたきめ細かな保育サービスを提供している施設です。福利厚生が充実しており、給与面での待遇もよく、残業や持ち帰りの仕事が少ないという特徴があります。

小規模保育園では0~2歳までの低年齢児が保育対象となっており、乳児保育に興味がある人や家庭的な環境で働きたい人に向いています。

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