自由保育とは?一斉保育との違い・保育士が押さえるべきポイント

自由保育とは?一斉保育との違い・保育士が押さえるべきポイント

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自由保育を行う保育園に就職する際、自由保育の内容や注意すべき点について気になる人は多いでしょう。自由保育は保育園によって実施内容が異なるため、ポイントを把握したうえで園の方針に沿って子どもと接することが大切です。

この記事では、自由保育の概要や一斉保育との違い、自由保育のメリット・デメリット、保育士が押さえるべきポイントについて解説します。自由保育について詳しく知りたい保育士は、ぜひ参考にしてください。

自由保育とは

自由保育とは、子どもの主体性を尊重し、自由度の高い環境作りが重視される保育法です。近年の保育においては、保育士や保育園運営者ではなく、子どもたちを中心として保育の実践を考えることが重要視されています。
(出典:厚生労働省「子どもを中心に保育の実践を考える」/https://www.mhlw.go.jp/content/000521634.pdf

自由保育は子どもの興味や関心に合わせて保育士がサポートを行うため、子どもを中心とした保育が可能です。

1. 一斉保育との違い

自由保育と比較される保育法として「一斉保育」があげられます。一斉保育は、保育士が定めた指導案に従って、子どもたちが一斉に同じ活動に取り組む保育法です。一斉保育と自由保育は、活動内容や保育士の役割が異なります。

一斉保育の活動内容は、外遊びやお絵描き、読み書きの勉強などです。一方、自由保育は活動内容があらかじめ定められていません。自由保育においては、子どもたちが自発的に行う遊びや、子ども同士のコミュニケーションの時間が重視されます。

一斉保育における保育士の役割は、保育の目的に沿った指導計画作りや、遊びの時間に子どもたちに課題を与え、解決できるように支援することです。一方、自由保育においては、子どもの興味や関心に合わせた環境設定や、子どもの興味を引き出すための個別対応などが保育士に求められます。
一斉保育と自由保育は、対照的な保育法です。ただし、保育園によっては活動の時間を区切って、一斉保育と自由保育の両方を取り入れている場合があります。保育園などの施設に就職する際は、就職先がいずれの保育法を重視しているかを確認しましょう。

自由保育のメリット・デメリット

自由保育は、各保育園の特色が出やすい保育法です。自由保育の保育形態には明確な基準がないため、保育園によって様々な活動が行われています。

自由保育にはメリットとデメリットがあるため、保育士は自由保育の特徴について把握することが大切です。ここでは、自由保育のメリットとデメリットについて、2つずつ解説します。

1. メリット(1)想像力・自主性を育むことができる

自由保育を行う1つ目のメリットは、子どもたちの想像力や自主性が育まれることです。

自由保育を取り入れている保育園では、保育園にいる時間を子どもたちが好きな方法で過ごせます。自由保育では既定のカリキュラムに沿う必要がないため、子どもたちが想像力を働かせて自由な発想で活動することが可能です。

また、自由保育においては保育士が子どものやりたいことを実現できるように、一緒になって活動するため、子どもが主体となって遊びや学習に取り組めます。

2. メリット(2)子どもの興味・関心に気付きやすい

自由保育を行う2つ目のメリットは、保育士が子どもの興味や関心に気付きやすいことです。厚生労働省の資料では、自由保育を実施する保育園において、子どもの関心に基づく保育の成功事例が紹介されています。

保育園に通う3歳の園児は、ままごとコーナーで食器のおもちゃを叩いて、周囲に迷惑をかけていました。その際に保育士が行った対応は、園児を頭ごなしに注意することではなく、楽器作りの提案です。

園児が音を出すことに興味があると考えた保育士は、楽器作りを促したところ、園児は活動に没頭します。その後、クラスでの楽器演奏発表や年長児とのセッションを経て、園児は集中力や表現力を身に付けました。
(出典:厚生労働省「保育の見直しとその取り組み」/https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000334896.pdf

子どもの行動を単に否定するのではなく、行動の背後にある興味・関心に目を向けることが自由保育の特徴です。子どもの興味に沿った行動を保育士が提案することで、子どもは意欲的に取り組むことができます。

好きな活動に長時間集中する経験は、集中力の養成や新しい知識の習得に役立つため、子どもの成長にとって重要です。自由保育では、子どもの興味や関心をきっかけとして、子どもの個性を伸ばす機会が与えられます。

3. デメリット(1)放任保育になりやすい

自由保育を行う1つ目のデメリットは、子どもを好き勝手に遊ばせてしまう放任状態に陥りやすいことです。自由保育は子どもの自主性や想像力を高める目的をもって行われるべき保育法であり、無目的に子どもを放置することではありません。

自由保育を行う場合、子どもの主体性を尊重しつつ、保育士が適切な環境作りやサポートに取り組む必要があります。

保育園に通う年齢の子どもはまだ分別がつかないため、意図せず危険な行動を取ってしまうことが一般的です。子どもが身の危険を伴う行動を取った場合には注意するなど、健全な発達に必要な指導は自由保育においても求められます。

4. デメリット(2)遊び・行動に偏りが生まれる恐れがある

自由保育を行う2つ目のデメリットは、子どもの遊びや行動に偏りが生まれる恐れがあることです。自由保育では子どもの興味や関心に合う活動が重視されるため、苦手なことや嫌いなことに取り組む機会が減る可能性があります。

文字の読み書きや基礎的な体力など、小学校以降で必要性の生じる要素を身に付けずに保育園を卒園してしまうことは、保護者にとって心配の種です。特に、何事もまんべんなくこなせる力を重要視している人にとっては、子どものスキルや行動に偏りが生じることはデメリットとなります。

自由保育を行う際に保育士が押さえるべきポイント2つ

自由保育を行う場合においても、保育の目標や教育内容の課題などは全職員で共有することが大切です。保育の方向性について情報を共有することで、自由保育の良さを活かして子どもの成長をサポートできます。

また、自由保育を実施する保育園で保育士として働く際は、ここで紹介する2つのポイントを押さえましょう。

1. 時には保育士から働きかける

自由保育を行う際に保育士が押さえるべき1つ目のポイントは、状況に応じて保育士から子どもに働きかけることです。自発性や積極性の低い子どもには、保育士側から働きかけることが成長のきっかけとなる場合があります。

ただし、子どもが一人だけで遊んでいたり、他の子どもが行っている行動に興味を示さなかったりするケースは、必ずしも悪いことではありません。一人遊びに集中する子どもは、楽しみを自分で見つけられる力の強い点が長所とも捉えられます。

自由保育を実施する保育園の保育士は、子どもの個性に注意を向けながら、興味や関心が広がるような環境作りや声かけを行いましょう。

2. 子ども同士のトラブルに注意する

自由保育を行う際に保育士が押さえるべき2つ目のポイントは、子ども同士のトラブルに注意し、適切な対処を行うことです。

自由保育は子ども同士でコミュニケーションを取る機会が多いため、喧嘩の起きやすい環境となっています。保育園に通う年齢の子どもは、おもちゃの取り合いや順番待ちのトラブルなどで喧嘩することが一般的です。

子ども同士の喧嘩は社会性や人間関係について学習する良い機会となるため、保育士が過度に干渉する必要はありません。ただし、子どもが暴力をふるった場合はすぐに止め、注意を促しましょう。
また、子ども同士で問題を解決できない状況が長く続く場合は、保育士が解決方法の一例を示すことが子どもの成長につながります。

まとめ

自由保育は子どもの興味や関心に基づき、自由度の高い環境で実施される保育の手法です。保育計画に沿って集団生活を送らせる一斉保育と異なり、自由保育では子どもたちの発達段階や個性に合わせた指導が行われます。

自由保育は想像力や自主性が育みやすい反面、放任保育となるリスクがあるため、適切な対応が必要です。子どもたちへの働きかけや、子ども同士のトラブルに注意して保育を行いましょう。

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