保育士に必要なパソコンスキルは?身に付ける方法も!

保育士に必要なパソコンスキルは?身に付ける方法も!

現代社会ではIT企業に限らず、多くの業種・職種でパソコンやタブレットなどを活用しています。保育士もさまざまな事務作業があり、年々デジタルツールを使いこなせる人材が求められつつある仕事のひとつです。

しかし、いざパソコンを勉強しようと思っても、どのようなスキルが求められているか分からないと悩む方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、保育士が最低限覚えておきたいパソコンスキルについて、メリットも交えて紹介します。

保育士にパソコンスキルは必須?

保育現場では、子どもたちと関わる日常保育業務以外にも多くの仕事が発生します。日案や保育指導案作成などを効率的に進めるためには、パソコン操作の基本スキルや文字入力スキルが必要です。

また、保育業界では国と自治体主導で保育園のシステム導入を促し、ICT化(日々の業務にデジタルツールを使用できる環境の整備)を進める動きも見られます。

(出典:厚生労働省子ども家庭局保育課「令和3年度 保育関係予算概算要求の概要」/https://www.mhlw.go.jp/content/000677014.pdf

保育園のICT化が進行すれば、パソコンスキルを持つ保育士の必要性が高まり、より一層重宝される人材として歓迎される可能性もあるでしょう。

【最低限】保育士が覚えたいパソコンスキル

業務を円滑に進めるためには、作業上で活用する機会の多いパソコンスキルを中心に身に付けることが重要です。インターネット検索など基本操作ができる程度では、情報収集に役立つのみで、書類作成など事務作業全体の効率アップにつながりません。

保育士の仕事で役立てることを目的とする場合は、最低限覚えておきたいパソコンスキルとして下記の5点が挙げられます。

1. 【タイピング】スムーズにキーボード入力ができる

パソコンで業務効率アップを狙う方は、まずキーボード入力スキルを身に付けることをおすすめします。ブラインドタッチができるようになれば、手書きよりも早く書類を作成できるでしょう。

スムーズなキーボード入力は文章作成スキルの基礎であり、下記のような事務作業全般に役立ちます。

  • 園からのお知らせ・お便りの作成
  • 保育計画・指導案の作成
  • 保育日誌など報告書の作成
  • 連絡帳・共有事項の記入

ブラインドタッチを身に付けるコツは、最初にキーボードに置く指の位置を覚えることです。左の人差し指は「F」、右の人差し指は「J」の位置に置き、正確に両手でキーボード入力できるよう意識しましょう。

2. 【フォルダ管理】フォルダの作成・整理ができる

保育計画や日々の保育日誌、過去のお知らせ・お便りなど、パソコンで作成できる書類は多種多様です。しかし、作成・保管する書類の種類が多ければ多いほど、目的のものを見つけるまでに時間を要します。

ほしい書類を素早く見つけるためには、フォルダ管理が重要です。混同されることの多いファイルとフォルダは、下記のとおり根本的に異なります。

  • ファイル…画像・動画・音声・文章などのデータ
  • フォルダ…ファイルを保管する場所

フォルダは、自由に新規作成で増やしたり名前を付けたりできる「入れ物」の役割を担うものです。たとえば、フォルダに「保育日誌(〇〇年度分)」と名前を付け、該当年度分のファイルを保存すると、確認したい年度分の書類が見つけやすくなります。

3. 【メール】新規作成や送受信ができる

メールの新規作成や送受信もある程度の知識を要する作業です。業者や各機関との連絡時にパソコンのメール機能を活用できるスキルがあれば、業務効率がアップするでしょう。

たとえば、下記のような電話ではなくメールでの連絡が適している場面で活用できます。

  • 内容を記録に残しておきたいとき(発注や契約関連など)
  • 画像や資料を共有したいとき
  • 複数の相手に同じ内容の連絡事項を伝えたいとき

最低限、メールの新規作成・送受信・返信・ファイルの添付などの操作方法を覚える必要があります。また、宛先を間違えるとメールの内容によっては、重大な情報漏洩となるリスクがあることも十分に理解したうえでメール機能を利用することも大切です。

4. 【Word】各種書類の作成・編集ができる

各種書類の作成・編集は、パソコンの専用ソフトを使用します。文章作成ソフトは表やグラフ、画像を挿入することができ、フルカラー書類の作成にも対応しているため、下記のような場面で役立ちます。

  • 保育計画・指導案など各種書類の作成
  • お知らせなど保護者向けの配布物作成
  • お遊戯会・お祭りなどイベントチラシの作成
  • 親子行事のしおり作成

事務作業は手書きでもできますが、効率的とは言えません。パソコンの文章作成ソフトを活用すれば短時間で作成できるうえ、誤字や修正が生じたとしても一から書き直す必要はなく、該当箇所のみを手軽に編集することができます。

ただし、一度保存すると修正前の状態に戻すことが困難となる場合もある点に注意が必要です。

5. 【Excel】数値データの集計・分析ができる

文章作成ソフトとあわせて活用する機会の多いものが、表計算ソフトです。その名のとおり表を作成したり、入力した数値を計算したりする場合に役立ちます。

表計算ソフトは、一般企業で使用するソフトというイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、保育士の業務においても表作成や計算が必要となることは少なくありません。

  • 職員のシフト作成
  • 給料計算
  • 備品などの管理
  • 保育料の計算

たとえば、上記の業務は表計算ソフトを活用することで、計算ミスのリスクを軽減できるでしょう。電卓を用いて手動で計算できるものが大半ですが、項目が多いほどヒューマンエラーは起こりやすくなります。表計算ソフトは計算式の指定を間違えなければ、不自然な数値が出ることはありません。

また、表計算ソフトは項目ごとに分けて計算したりデータを保管したりできるため、情報管理の手間が軽減される点もメリットです。

6. 【印刷】文書作成ソフト・表計算ソフトの内容を印刷できる

データ形式の資料を紙面に印刷する作業を行うためにも、パソコンスキルが必要です。パソコンに苦手意識を持つ保育士はまず、基本の印刷方法を覚えましょう。可能であれば差し込み印刷のやり方や、表計算ソフト内で範囲を指定し、印刷する方法を覚えてください。

差し込み印刷とは、表計算ソフトで管理している郵便番号・住所・氏名などの情報をラベルシートなどへ自動的に差し込んで、複数枚の葉書や名札を効率的に印刷することです。差し込み印刷のやり方を覚えると、複数の保護者に配布する領収書や封筒をスムーズに作成できます。

7. 【セキュリティ対策】ウイルスからパソコンを守れる

ウイルスに感染しているパソコンでメールを送信すると、受信する相手に迷惑をかけてしまうリスクがあります。下記のようなセキュリティ対策を徹底し、パソコンをウイルスから守りましょう。

  • OS(パソコンを使用するための基本ソフト)やアプリのアップデートを怠らない
  • ウイルス対策ソフトを導入する
  • 不審なホームページにアクセスしない
  • 知らないメールアドレスの受信メールは不用意に開かない

保育園には、保護者や子どもの個人情報を適切に扱い、プライバシーを守る責任があります。保育士の不注意によって個人情報を漏洩させないためにも、十分なセキュリティ対策を行うことが大切です。

保育士がパソコンスキルを習得するメリット

保育士がパソコンスキルを習得すると、手書きによる業務の負担やミスを減らすことが可能です。また、パソコンで作成された情報は他の保育士と共有しやすく、日常的な業務の作業効率が高まります。

保育士がパソコンスキルを習得するメリットを確認して、スキルアップへのモチベーションを高めましょう。

1. 業務負担が軽減される

保育に関わる記録や保護者との連絡事項など、手書きで共有する場合は膨大な作業時間が必要です。場合によっては、複数個所に同じ内容を繰り返し記入しなければなりません。

パソコンスキルを身に付けると端末上で手軽に管理・編集できるため、作業効率がアップします同じ内容はコピー・ペースト機能で瞬時に複数個所へ転記できます。

2. 情報共有がしやすい

紙の書類で情報共有する場合、書類の保管場所をあらかじめ決めておくか、人数分コピーしなければなりません。パソコン上で書類を作成・保管する方式であれば、メールに添付するなど手軽に複数名へ情報共有できます。

パソコン上で情報ごとにフォルダで分けたり、更新時間や名前ごとに書類ファイルを並び替えたりと整理しやすいため、必要書類も容易に見つかるでしょう。

3. 確認ミス・計算ミスを防げる

お便り作成時に宛名を手書きすることは、氏名や住所の記入ミス・作成漏れを招く原因です。パソコンの差し込み印刷機能を活用すれば個人情報リストから自動的に氏名や住所を写すことができ、作業の正確性が高まるでしょう。

また、保育士は数字を扱う業務も担当します。たとえば、延長保育料計算や子どもの成長記録作成などが、数字を扱う業務です。数字を扱う業務を手計算で行うことは、計算ミスを引き起こす原因となります。パソコンの表計算ソフトを利用すれば、計算ミスを回避することが可能です。

4. 就職や転職に有利になる

就職や転職時の面接でパソコンスキルをアピールすると、有利に働くことがあります。パソコンスキルを証明できる資格を保有している方は履歴書に記載すると、良い評価を得られることもあるでしょう。

近年では、就職・転職活動でパソコンを使用することが多くあります。たとえば、採用担当者にインターネットを介して連絡する場合には、パソコンでメール作成・送信することが必要です。スムーズに就職・転職活動を進めるために、基本的なパソコンスキルを身に付けましょう。

保育士がパソコンスキルを身に付ける方法

忙しい保育士であっても、パソコンスキルを身に付けることは可能です。お金を出して専門教室に通う方法もありますが、行事前の準備などで残業することもある勤務先の場合は効率的とは言えません。

自分に合ったタイミングで、なおかつコストを最小限に抑えてパソコンスキルを身に付ける方法には、下記の3つが挙げられます。

〇タイピングの練習サイトを使う
インターネット上では、会員登録の手間なく無料で利用できるタイピング用の練習サイトが数多く公開されています。ランダムに表示される見本の文章を入力し、正確さやタイムを自動判定してくれるものです。サイトによってはランクや称号が設定されており、練習して上達するごとにランクアップしていく手応えを感じることができます。

パソコンスキルの基本とも言えるブラインドタッチや、タイピングのスピードアップなどの練習におすすめです。

〇パソコン関連の書籍を読む
パソコン関連の書籍を読むことも、コストを抑えつつ基礎をしっかりと学ぶ方法のひとつです。初心者向けのものから上級者向けのもの、文章作成や表計算など各ソフト専用まで、さまざまな書籍が発売されています。

自分のレベルに合ったものを数冊持っていると、困ったときに即座に調べることができて便利です。

〇パソコンに関する勉強会を開く
パソコンスキルの習得を職場全体の課題としている場合は、職員同士で勉強会を開く方法も検討してはいかがでしょうか。

一部の保育士のみがパソコンスキルを磨くと、退職や休職時に業務効率が低下する可能性が考えられます。複数の職員で同様の業務ができるよう勉強会を開くことで職場のデジタル化が進み、業務が滞る心配もありません。

【保育士向け】自分に合うパソコンの選び方

パソコンに対する苦手意識を払拭するためには、自分専用のパソコンを購入し、基本的な練習を繰り返すことがおすすめです。目的・用途に応じた適切なパソコンを購入して、少しずつ練習しましょう。

ここでは、保育士の方が使いやすいパソコンを選ぶためのポイントを5つ紹介します。

1. 【OS】こだわりがなければWindowsでOK

パソコンの主なOSは、WindowsとMacの2種類です。特にこだわりがない保育士の方は多くの職場のパソコンに搭載されている、Windowsを選択しましょう。下記は、WindowsとMacの主要な特徴の違いを示したものです。

WindowsMac
・多くのパソコンメーカーの機器に搭載されている
・ビジネス用ソフトの対応種類が多い
・Apple社が製造・販売する機器のみに搭載されている
・写真編集ソフトや、イラスト作成ソフトなどのデザインツールが快適に動作する

Windows用のソフトを、Macで使用することは不可能です。Windows・Macのいずれを選択するにしても、長く使用することを前提として、OSを決めましょう。

2. 【Officeソフトの有無】WordやExcelを頻繁に使うか

市販のパソコンの中には、WordやExcelなどがあらかじめ搭載されている商品もあります。Officeソフトを頻繁に使用する方はあらかじめ搭載されている商品を購入すると、初期費用を抑えることが可能です。どの程度、WordやExcelを使用する機会があるのかによって、Officeソフトの有無を判断しましょう。

Excelに数値入力する機会が多い方は、テンキー付きのパソコンを選択する方法をおすすめできます。ただし、テンキー付きのパソコンは重量がかさむことがあるため、ノートパソコンの場合は、使いやすさと携帯性のバランスを考えましょう。

3. 【メモリの大きさ】8GB以上がおすすめ

パソコンのメモリとは、使用中にデータを一時的に保存する部品を指します。パソコンのメモリの容量が大きいほど、作業する際の動作がスムーズです。パソコンを使用中、快適に作業するためには、8GB以上のメモリを選択しましょう。購入したパソコンをプライベートで活用し、オンラインゲームを楽しむ可能性がある場合は、16GB以上のメモリが安心です。

ノートパソコンの中には購入後に、メモリを増設したり交換したりすることができないパソコンもあります。購入後の後悔を防止するためにもパソコンを使用して行う作業の内容をあらかじめ明確化し、用途に合うものを選択することがおすすめです。

4. 【ストレージの種類】価格と性能のどちらを重視するか

ストレージとは、パソコンにダウンロードした画像などを長期間保存する部品のことです。パソコンのストレージは、「HDD(ハードディスクドライブ)」と「SSD(ソリッドステートドライブ)」の2種類に分類できます。下記は、HDDとSSDの特徴を比較したものです。

HDDSSD
データ容量大きい少ない
読み書き速度遅い早い
価格安い高い
消費電力大きい少ない

一般論としてHDDは、性能よりも価格やコストパフォーマンスを重視する方におすすめです。価格が多少高くても性能のよい商品を希望する方は、SSDを選択しましょう。スピードなどの性能を選ぶか、コストパフォーマンスを選ぶかで、両者を比較してください。

5. 【重量】持ち歩くなら軽量タイプが便利

パソコンを持ち歩く可能性がある場合は、軽量タイプのパソコンが便利です。下記は、パソコンの重量と用途・特徴の対応を示したものとなります。

重量用途・特徴
〜1kg・軽量で持ち運びに適している反面、高性能のパソコンが少ない
・タブレット端末のように、使用できるパソコンもある
1〜2kg・比較的軽量で、事務作業用としては十分な性能を持つパソコンが多い
・長時間持ち運ぶと、重量が気になることもある
2kg〜・バッグに入れて持ち運ぶと、重さでストレスを感じることがある
・オンラインゲームを楽しめるほど、高性能なパソコンもある

なお、保育士がパソコンで作業する際には、個人情報の漏洩に注意する必要があります。保護者や子どもの個人情報が含まれるデータは、原則的に保育園外に持ち出さないようにしましょう。

まとめ

最低限のパソコンスキルを身に付ける程度でも、保育士の仕事は大幅に効率がアップします。業務時間の短縮に加えて紙の消費を抑えたり書類を手軽に整理できたりするなど、さまざまなメリットがあります。現時点で、パソコンスキルに不安がある方も、基本的な操作からパソコンについて学んでいきましょう。

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