保育士の職務分野別リーダーとは?役職に就く条件と目指すメリット

保育士の職務分野別リーダーとは?役職に就く条件と目指すメリット

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保育士としてスキルや給与の向上を目指す際、「職務分野別リーダー」という役職について気になった方も多いではないでしょうか。職務分野別リーダーになれば、保育の現場においてより良い待遇で働くことが可能です。

今回は、職務分野別リーダーの概要や役職が作られた理由から、職務分野別リーダーになるための条件、さらに目指すメリットまで解説します。職務分野別リーダーについて詳しく知りたい保育士の方は、ぜひ参考にしてください。

保育士の職務分野別リーダーとは?

保育士の職務分野別リーダーは、保育士がキャリアアップするための仕組みとして作られた役職です。保育士の職務分野別リーダーは、現場で保育士として業務を行いながら、他の保育士に対する指導やアドバイスをする役割を担います。

また、保育士の職務分野別リーダーがいる保育施設は、処遇改善と呼ばれる手当の支給対象です。「処遇改善等加算Ⅱ」と呼ばれる制度では、職務分野別リーダーの役職を設けている保育施設に対して、月額5,000円が加算対象人数分だけ支給されます。

職務分野別リーダー等へ手当を配分する際は、処遇改善加算の対象人数以上を確保することが条件です。職務分野別リーダーに対する配分には、副主任保育士等に対する配分の一部が含まれる場合もあります。
(出典:内閣府「令和2年度における処遇改善等加算の運用の改善」/https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/r020221/pdf/s2-4.pdf#search=%27%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C+%E5%87%A6%E9%81%87%E6%94%B9%E5%96%84%E7%AD%89%E5%8A%A0%E7%AE%97+%E4%BF%9D%E8%82%B2
(出典:厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000155997.pdf

また、職務分野別リーダーに対する手当は、自治体から保育士へ直接支払われるわけではありません。保育施設から保育士へ支給される配分額は、設置された役職や所属する職員数によって異なります。

職務分野別リーダーの役職が作られた理由

職務分野別リーダーの役職は、厚生労働省の打ち出した「保育士等キャリアアップ研修」という施策の一環として、2017年4月に作られました。保育士等キャリアアップ研修制度では、このほかに専門リーダーや副主任保育士といった役職も新設されています。

職務分野別リーダーをはじめとする、保育士の新たな役職が作られた理由、以下の通りです。

〇保育士の給与待遇を改善するため
職務分野別リーダーなどの役職が作られる以前は、保育士のキャリアパスには園長または主任保育士しか役職が存在しませんでした。保育士がキャリアアップした際の役職が少ないことは、スキルや経験を積んでも給与が上がらない点で問題があります。そこで、キャリアアップ制度によって保育士の新たな役職を作り、給与待遇を向上できる仕組みが整備されました。

〇離職防止のため
保育業界では、離職等による人員不足が問題となっています。給与を高める仕組みにより保育士の離職を防ぐことも、職務分野別リーダーが設立された理由です。

〇保育サービスの品質を高めるため
厚生労働省は、保育士の賃金改善や人員不足の解決だけでなく、提供する保育サービスの質的な向上にも注力しています。保育士等キャリアアップ研修は、保育士に対して専門性の高いスキルを身に付けてもらうことも目的の1つです。
(出典:厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000155997.pdf

保育士が職務分野別リーダーになるためには?

保育士が職務分野別リーダーの役職につくためには、一定以上の経験年数を有することや、所定の研修を受講し修了することなどが条件となります。

また、保育士等キャリアアップ研修の対象施設においてのみ、職務分野別リーダーとなることが可能です。

ここからは、職務分野別リーダーとなるための要件や、必要な手続きを紹介します。

1. 経験年数と研修受講の条件を満たす

職務分野別リーダーとなるためには、保育士として約3年以上の経験年数が必要です。さらに、担当する分野に関するキャリアアップ研修を受講する必要があります。

キャリアアップ研修に含まれる8つの分野は次の通りです。

〇乳児保育
乳児保育の分野では、乳児保育の重要性や乳児との関わり方、乳児保育における指導計画などについて学びます。0歳~2歳の乳幼児を対象とした、保育に関するスキルの習得が可能です。

〇幼児教育
幼児教育の分野では、幼児の発達に合わせた適切な教育方法や、幼児教育における指導計画などについて学びます。3歳以上の子どもを対象とした、実践的な教育スキルの習得が可能です。

〇障害児保育
障害児保育の分野では、障害児保育に関する専門業務や、家庭及び関係機関との連携などについて学びます。障害児保育に求められる、医学・看護領域に近い知識の習得が可能です。

〇食育・アレルギー対応
食育・アレルギー対応の分野では、アレルギー疾患や食育計画、食事提供のガイドラインなどについて学びます。食事や栄養、アレルギーについて適切に扱うスキルの習得が可能です。

〇保健衛生・安全対策
保健衛生・安全対策の分野では、保健計画の作成や活用、感染症対策ガイドラインなどについて学びます。事故によるケガや病気の防止に役立つ、専門スキルの習得が可能です。

〇保護者支援・子育て支援
保護者支援・子育て支援の分野では、保護者への相談支援や虐待予防、地域資源の活用などについて学びます。保護者の子育て支援に関する、実践的なスキルの習得が可能です。

〇マネジメント
マネジメントの分野では、組織の運営や人材育成、働きやすい職場づくりなどについて学びます。保育施設の円滑な運営に役立つ、専門知識とスキルの習得が可能です。

〇保育実践
保育実践の分野では、保育に関する全般的な知識や、身体や音楽を使った遊びなどについて学びます。実際の保育時に役立つ、より具体的な保育手法を学ぶことが可能です。
(出典:厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000155997.pdf

2. 修了証の発行後に発令を受ける

キャリアアップ研修の受講を終え、レポート提出など必要な課題を終えれば、研修修了証が発行されます。ただし、研修修了証を受け取っただけでは職務分野別リーダーとなるための手続きは完了しません。

実際に職務分野別リーダーのポジションにつく際は、勤務先の保育施設で発令を受ける必要があります。そのため、研修修了者は勤務先の担当者に報告をし、必要な手続きを済ませましょう。

保育士が職務分野別リーダーを目指すメリット

保育士が職務分野別リーダーを目指すことには、複数のメリットがあります。職務分野別リーダーになることで得られるメリットを理解すれば、モチベーションを保ちながら業務にあたることができるでしょう。

ここでは、保育士が職務分野別リーダーを目指すメリットについて解説します。

1. 新人保育士でも給与アップの可能性がある

保育士が職務分野別リーダーを目指す1つ目のメリットは、新人保育士であっても給与アップの可能性があることです。

職務分野別リーダーは、約3年以上の経験年数と研修の受講のみが条件となっています。そのため、新人や若手の保育士であっても無理なく給与アップを目指すことが可能です。

また、経験を積んで職務分野別リーダーから専門リーダーへとキャリアップすれば、給与待遇をさらに向上させることもできます。

2. 実務に活かせる専門知識を学べる

保育士が職務分野別リーダーを目指す2つ目のメリットは、保育の現場で活かせる専門的な知識が学べることです。

職務分野別リーダーの研修では、1分野につき15時間以上のカリキュラムを受講します。そのため、保育士資格の取得時に勉強した内容に加えて、さらに専門的な知識やスキルの習得が可能です。

また、職務分野別リーダーの研修内容に含まれる知識は、保育施設で子どもたちと接する際に役立てることができます。

3. 転職や復職でアピールポイントとなる

保育士が職務分野別リーダーを目指す3つ目のメリットは、転職や復職の際にアピールポイントとなることです。

職務分野別リーダーの修了証は、有効期限がありません。また、修了証を取得した自治体以外の都道府県においても、職務分野別リーダーの修了証は有効です。

そのため、職務分野別リーダーの経験者は、転職活動や、育休・介護などのブランク期間を経て復職する際にも有利となります。

まとめ

保育士の職務分野別リーダーとは、高い専門知識とスキルを活かして現場で活躍する役職です。職務分野別リーダーは、保育士の待遇改善や離職の防止、業務の質を高める目的で設立されました。

保育士が職務分野別リーダーになる際は、約3年以上の実務経験と研修の受講が必須条件です。給与アップの可能性があることや、専門知識を学んで現場の仕事に活かせることなどが、職務分野別リーダーを目指すメリットとなっています。

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