家庭的保育とは?働くメリット・収入相場や保育者になるための方法も

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保育の形態やサービスは多様化が進んできており、保護者のニーズに合わせて新しい保育のあり方が次々と登場しています。2010年に児童福祉法の保育事業の一環として位置づけられた「家庭的保育事業」もその一つです。

従来の集団保育とは異なる家庭的保育に興味・関心のある人や、家庭的保育で働いてみたい人もいるでしょう。

そこで今回は、家庭的保育の概要から、家庭的保育者として働くメリット・デメリット、収入相場や家庭的保育者のなり方までを解説します。家庭的保育についての理解を深め、適性や働き方について検討したい人は、ぜひ参考にしてください。

家庭的保育とは

家庭的保育とは、保育者の自宅などで行われる、少人数を対象としたきめ細やかな保育サービスのことです。正式名称は「家庭的保育事業」で、家庭的保育を提供する保育者を「家庭的保育者」と言います。家庭的保育事業は、通称「保育ママ制度」とも呼ばれます。

家庭的保育事業においては、1人またはごく少人数の家庭的保育者が、特定の保育施設に雇用されるのではなく、個人事業主として保育事業を営みます。

家庭的保育事業は、2010年に児童福祉法により定められた保育事業の一環として、「待機児童問題の解消」や「地域の保育基盤の充実」を目的にスタートしました。

2015年に施行された子ども・子育て支援新制度では、地域型保育給付の対象事業にも含まれています。家庭的保育事業は、地域型保育事業の一環として、地域の保育ニーズに対応した事業として重要な役割を担っている制度です。

家庭的保育の経営基準

家庭的保育事業を営むためには、健全な保育を提供できるように、下記の経営基準が定められています。

■家庭的保育事業の経営基準・子どもの年齢/0~2歳・子どもの人数/1~5人・保育時間/原則8時間・保育場所/家庭的保育者の居宅やマンション・保育場所の条件/3人まで:9.9平方メートル(3人以降は1人につき3.3平方メートルを加算)・設備/一定以上の採光・照明・換気設備・一定の広さの庭

家庭的保育事業を営む場合の多くは、家庭的保育者の自宅が利用されることが一般的です。しかし、一定の経営基準を満たすために、自宅の改装やリフォームが必要となる場合もあります。

また、自治体によっては一定の条件を満たせば、開設準備費や事業を継続的に運営するための補助金を受けることができます。

家庭的保育者として働くメリット・デメリット

家庭的保育者として働く場合は、保育所などの保育施設で働く場合とは大きく異なるメリット・デメリットが存在します。

ここでは、家庭的保育者として働くメリット・デメリットについて、それぞれ解説します。家庭的保育者として働きたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

メリット1:家庭的な雰囲気の中で働ける

家庭的保育者として働く場合は、自宅もしくは準ずる施設で事業を営むこととなるため、家庭的な雰囲気の中で保育を実践できることがメリットです。

保育所や保育施設で行う大人数を対象とした保育とは異なり、1人の子どもとじっくり向き合うことができるでしょう。家庭的で温かな雰囲気の中できめ細やかな保育を実践したい人にとっては、非常に魅力的な働き方と言えます。

メリット2:保護者とのコミュニケーションが取りやすい

家庭的保育者は、子どもだけではなく保護者とのコミュニケーションも取りやすいことがメリットです。

マンツーマンに近いきめ細やかな保育を提供するという特性上、子どもの些細な変化にも気付くことができるため、保護者に日々の子どもの様子を詳細に伝えることができます。また、信頼関係も構築しやすいことから、保護者側も安心して相談したり保育を任せたりすることが可能です。

少人数保育ならではの密接なコミュニケーションを行えることも、家庭的保育者として働くメリットと言えるでしょう。

デメリット1:お弁当の持参が必要となるケースもある

お弁当の持参など、通常の保育所に比べて、家庭的保育事業では保護者に負担を与えてしまう可能性のあることがデメリットです。

保育ママ制度が定められた当初はお弁当持参での運営が行われていましたが、2015年に施行された新制度では、自園で調理した食事を提供することが基本とされています。

しかし、自治体が独自の制度で運営している場合は、現在においてもお弁当やおやつを持参するケースが見られます。お弁当持参の家庭的保育事業所では、保護者が毎日お弁当を作る必要があります。そのため、家庭的保育事業では、通常の保育所に比べて保護者に負担をかけてしまう可能性があることを考慮しなければなりません。

デメリット2:保護者の事情により延長保育を行う場合がある

家庭的保育は多くの保育士が在籍する保育所とは異なり、1人または2人で行われる保育事業であるため、保育日や保育時間を融通することが難しいことがデメリットです。

保育日や保育時間は保護者と家庭的保育者の交渉で決められることが多く、保護者の家庭や仕事の事情を考慮すると、延長保育や土曜日の保育を求められる場合があります。融通の利かない家庭的保育所となると評判に関わる場合もあり、保護者の事情に合わせすぎると保育者の負担が重くなるため、バランスを取ることが難しい事業形態と言えます。

家庭的保育者は稼げる?収入相場を徹底解説!

ここでは、家庭的保育者の収入相場について、保育士平均収入を併せて解説します。下記は、マイナビ保育士に掲載されている家庭的保育を実践している事業所の求人情報を参考に導き出した、収入データ(推定値)となります。

■家庭的保育者の平均収入(推定値)
平均月収(賞与含めず)平均年収
約17万~約28万円約272万~約448万円

(出典:マイナビ保育士/https://hoiku.mynavi.jp/

下記は、厚生労働省の統計調査を参考に、保育士の収入を示したデータです。

■全国における保育士の平均収入
平均月収(賞与含めず)平均年収
約24万円約363万円

(出典:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/index.html

家庭的保育事業は個人事業主として活動することとなるため、収入は経営の実力により大きく左右されることが特徴です。月収・年収ともに保育士の収入を上回る場合もあれば、下回る場合もあります。

また、収入を得る仕組みが根本的に異なるため、年間を通して安定的に収入を得ることができるとは限りません。家庭的保育者として働く場合は、収入についてはすべて自分次第であることを認識しておきましょう。

家庭的保育者になるためには?

家庭的保育者になるためには、自治体から家庭的保育事業を行うための認定を受けることが必須です。

認定を受けるためには、基本的に保育士・幼稚園教諭・看護師などの保育に関連する資格が必要となります。ただし、自治体によっては規定の研修を受講して認定を受ければ、家庭的保育者となることができる地域もあります。

家庭的保育者として認定されるためには、一般的には下記のような条件が定められています。

■家庭的保育者の認定条件
・25歳以上60歳未満(65歳未満)であり、かつ未就学児童がいないこと・同居人に介護を必要とする人がいないこと・子育ての経験があること(資格を保持していない場合)・自治体により定められた研修を修了していること

認定条件は自治体により異なるため、家庭的保育者となりたい人は、該当する自治体が定める認定条件を事前にチェックしておくことが必要です。

まとめ

家庭的保育者は、アットホームな環境下できめ細やかな保育を提供できる、新しい保育サービスの形態です。きめ細やかで質の高い保育を求める保護者は増えており、家庭的保育者に対するニーズは今後も増え続けると考えられています。

家庭的保育者として働いてみたい人は、家庭的保育事業の特性について理解を深めたうえで、働き方の一つとして検討してみることをおすすめします。

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