夜間保育とは?夜間保育士の仕事内容とメリット・デメリット

夜間保育とは?夜間保育士の仕事内容とメリット・デメリット

現職の保育士の方及び復帰を考えている潜在保育士の方で、日中に働く通常の保育所ではなく、夜間保育所で働くことを検討している方もいるでしょう。

通常の保育所とは業務特性や勤務時間帯が大きく異なる夜間保育所では、仕事の適性やライフスタイルとのバランス、メリット・デメリットをよく検討して働くことが重要です。

今回は、夜間保育の概要や仕事内容から、夜間保育士として働くメリット・デメリット、需要や将来性までを解説します。夜間保育士として活躍したい方は、ぜひ参考にして下さい。

夜間保育とは

夜間保育とは、保護者が夜間まで働く必要があるなどの事情で家庭での保育ができない場合に、夕方から夜間まで子どもを預かるサービスのことです。夜間保育を提供している保育所のことを、「夜間保育所」と言います。

厚生労働省の資料によると、原則として夜間保育所の開所時間は11時間と定めています。
(出典:厚生労働省「夜間保育所の設置認可等について」/https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9201&dataType=1&pageNo=1

夜間保育所の開所時間は園によって異なり、認可保育所である場合は夜10時まで開所している園が多く、認可外保育所である場合は深夜時間帯まで開所している園もあります。

夜間まで保育を行う保育サービスには、延長保育や24時間保育といったサービスもあります。

延長保育とは、日中保育を行っている保育所が18時以降も保育時間を延長して保育を行うことです。24時間保育とは、24時間対応している保育サービスのことで、保育時間の制限がない認可外保育所で実施されています。

1. 夜間保育所の設置基準

夜間保育はどの保育所でも行ってよいわけではなく、一定の設置認可基準を満たしている必要があります。ここでは、夜間保育所の設置基準について解説します。

〇施設形態
夜間保育の実施にあたっては、夜間保育を専門として行っている保育所であることを原則としています。厚生労働省によると、下記のように定められています。

夜間保育を行う保育所は、夜間保育のみを行う夜間保育専門の保育所及び既存の施設(保育所、乳児院、母子生活支援施設等)に併設された保育所を原則とするが、これ以外に例えば既設の保育所において、当該施設の認可定員の範囲内で、通常の保育と夜間保育とを行うもの等であっても差し支えないこと。

(引用:厚生労働省「夜間保育所の設置認可等の取扱いについて」/https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9205&dataType=1&pageNo=1

また、保育所・乳児院・母子生活支援施設などに併設された保育所であることも原則として定められています。

〇対象児童
夜間保育の対象となる児童は、夜間時間帯に保護者の就労などの事情により家庭での保育が困難であり、自治体が保育の実施を行う必要がある児童となります。
(出典:厚生労働省「夜間保育所の設置認可等について」/https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9201&dataType=1&pageNo=1

〇定員
夜間保育所では、預かることができる子どもの定員は20人以上とされています。
(出典:厚生労働省「夜間保育所の設置認可等について」/https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9201&dataType=1&pageNo=1

〇職員配置基準
夜間保育所においては、児童福祉施設最低基準に準拠した職員を配置しなければなりません。厚生労働省の資料によると、下記のように員配置基準は児童の年齢により細かく定められています。

  • 0歳児 3人につき1人
  • 1歳児~2歳児 6人につき1人
  • 3歳児 20人につき1人
  • 4歳児以上 30人につき1人

(出典:厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」/https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82069000&dataType=0

乳幼児の場合は安全上の理由からも、特に厳しい基準が設けられていることが特徴です。

〇設備及び備品
夜間保育を提供するためには、業務特性に合わせた設備・備品を設置するように定められています。厚生労働省による設備基準は下記の通りです。

①仮眠のための設備及びその他夜間保育のために必要な設備、備品を備えていること。
②既存の施設に夜間の保育所を併設する場合にあっては、直接児童の保育の用に供する設備については専用でなければならないが、管理部門等については運営に支障を生じない範囲で既存の施設の設備と共用することも差し支えないこと。
③地域の実情に応じて、分園(平成一〇年四月九日児発第三〇二号「保育所分園の設置運営について」に定める分園をいう。)を設置することができる。

(引用:厚生労働省「夜間保育所の設置認可等について」/https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9201&dataType=1&pageNo=1

通常の保育所とは異なり、特に仮眠のための寝具や入浴設備の充実が重視されています。

〇保育の方法

おおむね開所時間は11時間として、夜11時とすることが定められています。
(出典:厚生労働省「夜間保育所の設置認可等の取扱いについて」/https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9205&dataType=1&pageNo=1

夜間保育における保育士の仕事内容

ここでは、夜間保育士の仕事内容について解説します。日中に働く保育士とはどのような違いがあるのかを確認しておきましょう。

■夜間保育士の仕事内容
・登園対応
・食事(夕食)対応
・入浴
・シャワーのサポート
・トイレサポート
・おむつ交換
・寝かしつけ
・就寝後の見回り
・行事の準備
・開催
・事務作業(帳簿記入など)
・お迎え対応

夜間保育士の業務内容は、日勤の保育士と共通する部分もありますが食事(夕食)・入浴・就寝といった、家庭生活で夕方以降に行われることが業務の中心となることが特徴です。

子どもたちが家庭と同じように安心して過ごせるような保育を行うことが、夜間保育士の重要な役割であると言えるでしょう。

夜間保育士として働くメリット・デメリット

夜間保育で働く保育士の方は、日中に働く通常の保育士とはメリット・デメリットも大きく異なります。これから夜間保育所で働くことを検討している方は、満足度の高い働き方をするためにも、メリット・デメリットの両側面を把握しておくことが重要です。

夜間保育で働く保育士のメリット・デメリットについて、以下に解説します。

1. メリット(1)夜間特有の業務を通してスキルアップできる

夜間保育は夕方から深夜の時間帯に子どもを預かる特性上、通常の保育所とは業務内容が大きく異なることが特徴です。

夜間保育所の保育士の業務は、食事・入浴・睡眠サポートが中心となり、子どもたちの就寝後は帳簿を付けながら見守りやお迎え対応を行ないます。遊びに関しても外で元気に遊んだりすることはなく、室内での遊びや絵本の読み聞かせなど静かな遊びとなります。

子どもの生活リズムや情緒安定を保つため、なるべく一般の子育て家庭と同じ生活リズムで食事・入浴・睡眠を提供することが夜間保育所に求められる重要な役割です。

夜間保育所においては特殊な事情を考慮した保育を提供する必要があるため、保育の専門性やスキルを磨くことができます。

2. メリット(2)夜勤手当によって給与が高くなる

夜間保育で働く保育士は、基本的に勤務時間が深夜時間帯に及ぶため、深夜割増料金の適用により日勤の保育士よりも高い給与を得ることができます。また、園によっては夜間保育で働いてくれる保育士を確保するために、深夜割増料金に加えて夜間手当を支給している場合もあります。

22時~翌朝5時までの間は、基本時給に対して25%の割増賃金が上乗せされるため、勤務時間帯によっては大幅に給与をアップさせることができます。

高い給与を得られることは、夜間保育で働く保育士にとって大きなメリットと言えるでしょう。高収入を期待して夜間保育を選択する保育士の方も多くいます。

3. メリット(3)日中は別の仕事をするなどWワークが可能

夜間保育は勤務時間が夕方から深夜であるため、日中の時間は自由に活用することができます。また、人手不足の夜間保育所が多いため、パートタイムでの勤務も可能な園も多くあります。

日中の時間を活用してWワークを行ないたい方や、資格の勉強の時間に充てたい方にはおすすめと言えるでしょう。

4. デメリット(1)生活が不規則になりやすい

夜間保育で働く保育士は、夕方から深夜のシフトでの勤務となるため、夜型の不規則な生活となることが否めません。そのため、体調管理や長期的な勤務が難しいというデメリットがあります。

保育士が夜間保育で働く際には、夜型の不規則な生活習慣に適応できるかをよく検討しましょう。

このような事情から夜間保育所では保育士の確保が難しく、処遇改善のための財源確保が多くの園での課題となっています。

夜間保育士は需要と将来性もある仕事

近年では、女性の社会進出や共働きの増加、家計を支えるために深夜まで働く必要がある方が増えていることから、夜間保育所に対する需要は高まっています。

それに伴い、夜間保育の担い手である夜間保育士も多方面から求められています。夜間保育の保育環境や業務特性を理解して、専門性を発揮して保育の質を担保できる保育士は、非常に重宝されるでしょう。

夜間保育士は需要も将来性もあるお仕事です。興味のある方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

女性の社会進出や働き方の多様化により、夜間保育を必要としている方は増えています。ところが、夜間保育所の数は不足しており、夜間保育所の設置及び夜間保育士は多くの方から求められています。

業務特性や働き方を理解すれば、夜間保育士として働くメリットは多くあります。夜間保育士に対する需要は今後も増え続けると考えられるため、将来性についても期待できるでしょう。

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