精霊の日の意味とは?有名な歌人の関係や子どもに伝える方法も解説

精霊の日の意味とは?有名な歌人の関係や子どもに伝える方法も解説

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「精霊の日」があることを知っている人は少ないでしょう。精霊の日は、命に関わる記念日です。精霊の日の意味や由来を理解すれば、子どもに命の大切さを学ぶきっかけを与えられるでしょう。

そこで今回は、精霊の日の意味や由来、精霊の日にゆかりのある人物、子どもと一緒に精霊の日を過ごすアイデアを解説します。日本古来の伝統的行事である「精霊の日」を詳しく知りたい人、子どもに命の尊さを学んでほしい人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

精霊の日とは?精霊の日の意味・由来を解説!

精霊の日とは、有名な歌人の命日にちなんだ、毎年3月18日に来る記念日です。読み方は「せいれい」ではなく「しょうりょう」と読み、死者の霊魂を指します。

3月18日は、歌人として有名な柿本人麻呂・小野小町・和泉式部の3人の命日と考えられています。3人の命日はいつなのか、はっきりとした記録はありません。しかし、3月18日前後には古くから死者の魂を供養するならわしがあり、春の彼岸にも近い日であることから、精霊の日は亡くなった偉大な歌人たちの霊魂を偲ぶ日として伝わっています。

精霊の日に関係する人物(1)柿本人麻呂

柿本人麻呂は、飛鳥時代の代表的な歌人です。7代の天皇に仕え、「万葉集」に優れた歌を多数残しました。主な作品は持統天皇から文武天皇までの時代に詠まれ、その歌才から宮廷歌人としても活躍していたとされています。

中央集権国家が育つ中での儀礼的なシーンを扱った歌は、宮仕えを感じさせます。そのほかにも、恋愛・皇族関係・自然・死などを歌材に、抒情的な作風で名を残しました。雄大で重厚な世界観の歌が特徴であり、現在では「歌聖」と仰がれています。

精霊の日に関係する人物(2)小野小町

小野小町は、平安時代に活躍した女流歌人です。809年、出羽の国(現在の秋田県湯沢市)に生まれました。幼い頃から琴や書道、踊りなどが上手で、相当な美人だったとされています。13歳で都に上り、宮中に仕えるようになった小町は、歌の才能を開花させます。美貌と歌才に恵まれ、宮仕えの女官の中でも抜きん出た存在として、六歌仙・三十六歌仙に数えられています。特に恋愛の歌を得意とし、現代の女性にも通じるような情熱的で美しい恋の歌を多数残しました。

36歳で宮中を退き故郷に戻りましたが、小町を想う深草少将が都から追ってきます。少将は小町への気持ちを示すために毎日1本の芍薬を植えました。しかし、100本目の芍薬を植える日、少将は雨によって橋ごと川に流されて亡くなってしまいます。その死を深く悲しんだ小町は、芍薬に99首の歌を捧げたといわれています。

精霊の日に関係する人物(3)和泉式部

和泉式部は、平安時代中期の女流歌人です。父母ともに縁のあった冷泉天皇皇后昌子(しょうし)のもとに早くから仕えました。恋多き人生を送り、冷泉天皇の皇子である敦道親王との恋愛を140余首の歌で記した「和泉式部日記」の作者として有名です。傑出した歌才から「拾遺集」をはじめとする勅撰集に250首近くの歌を収めました。

波乱に富んだ人生を送った和泉式部にまつわる伝説は、各地の民俗信仰とも結びつき、多数の逸話が伝承されています。

【保育士・保護者向け】子どもと一緒に精霊の日を楽しむアイデア

保育園や子どものいる家庭では、子どもと一緒に精霊の日を楽しんでみましょう。子どもから「精霊の日って何?」と聞かれたら、「有名な歌人にまつわる日」「死者の魂を思う日」をポイントに、精霊の日の意味を説明するとよいでしょう。

ここでは、子どもと一緒に精霊の日を楽しむための具体的なアイデアを紹介します。

「5・7・5」で言葉を並べる

精霊の日には、3人の歌人にちなみ、「5・7・5」で言葉を並べて遊んでみましょう。言葉遊びの一環として俳句に挑戦させ、言葉のリズムを楽しみます。このとき、季語などは気にせずに、自由に言葉を並べてもらうとよいでしょう。

2~5歳頃は、語彙がどんどん増えていく時期です。17文字に収まるように言葉を選ぶことで、子どもたちが日本語に親しむことができ、気持ちや情景を表現する力が身につくでしょう。

春のお彼岸にお墓参りをする

お彼岸とは、春分の日もしくは秋分の日を挟んだ前後3日間、計7日間を指します。煩悩と迷いの世界である「此岸(しがん)」にある者が、修業をすることで、悟りの境地である「彼岸(ひがん)」に達することができるという仏教の教えが由来です。太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さが同じになる彼岸の期間に仏様の供養をすると、極楽浄土に行けると言われています。

春のお彼岸の始まりは3月17日頃で、精霊の日と近いため、お墓参りをして祖霊を偲ぶ過ごし方がおすすめです。お墓参りの際には親族で集まり、先祖のお墓をお参りします。お墓の掃除を行い、季節の花や果物、故人が好きだったものなどを供えましょう

ぼたもちを作る

お彼岸には、江戸時代からぼたもちが行事食として食べられていたという風習があります。現在では「ぼたもち」と「おはぎ」は区別されないこともありますが、もともとは季節によって呼び分けられていました。春のお彼岸の行事食はぼたもちであり、小豆を牡丹の花に見立てて「ぼたんもち」と呼んでいたものが「ぼたもち」になったとされています。一方、おはぎは秋に咲く萩の花と小豆が似ているため、「おはぎもち」と呼ばれていたものが「おはぎ」になったと言われています。

古くから赤い食べ物には邪気を払う力があり先祖の霊を慰めるとして、お彼岸にはぼたもちやおはぎが供えられてきました。ぼたもちは家庭でも簡単に作れるため、精霊の日を機会に親子でぼたもち作りに挑戦してみましょう。ぼたもちの作り方は、以下の通りです。

作り方詳細
(1)中の餅を作る蒸したもち米を半分ほどの粗さに潰し、丸めます。
(2)外側の餡を作る小豆を水で煮込み、火が通ったら、小豆に対して90%の分量の砂糖と塩少々を加えます。水分が飛ぶまで火にかけながらこねます。
(3)餅を餡でつつむラップに餡を薄く広げ、餅を乗せて餡で包みます。

命をテーマにした絵本を読む

精霊の日には、亡くなった人へ思いを馳せる一日として、子どもたちに命をテーマにした絵本を読んでみることもおすすめです。以下では、命に関する絵本の例を挙げます。

「いのちのまつり ヌチヌグスージ」作:草場一寿 絵:平安座資尚
命の連なりの尊さを理解できる一冊です。無数の先祖の姿を描いたポップアップの挿絵が見どころとなっています。先祖に感謝する心を育める絵本です。
「『死』って、なに? ~かんがえよう、命のたいせつさ~」
作・絵:ローリー・ブラウン、マーク・ブラウン 訳:高峰あづさ
自分の命、人の命について考えられる絵本です。「死って何?」という子どもの疑問に優しく答えてくれます。身近な人が亡くなったらどうすればいいか、心のやり場に困ってしまう前に、一緒に読んでおきたい一冊です。
「いのちのおはなし」作:日野原重明 絵:村上康成
95歳の現役医師が、子どもたちに命の大切さを問いかける絵本です。生きている人間に与えられた「時間」の大切さを優しく説いてくれます。大人も自身の命について考えさせられるでしょう。

子どもたちに命の尊さを教えられる機会は、そう多くありません。3月18日の精霊の日には、子どもと一緒に命に向き合ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

3月18日の精霊の日は、あまり広く知られていませんが、日本の文化としてあらためて守っていきたい伝統行事です。美しい歌を歴史に残した歌人を思い、先祖をはじめとする故人に感謝する日として、子どもと一緒に過ごしましょう。

「ほいくらし」では、「精霊の日」のように、生活に根付いた保育・育児のアイデアを学べます。立秋や大晦日といった暦にまつわる日の過ごし方や、「風邪の日」「富士山の日」などのユニークな日の紹介もあり、子どもと過ごす時間が楽しくなる記事が満載です。育児のアイデアを得たいときには、ぜひ「ほいくらし」を参考にしてください。

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