保育士に向いてないと感じる…原因と前向きになれる方法を知ろう

保育士に向いてないと感じる…原因と前向きになれる方法を知ろう

忙しくて子どもたちへの責任もある保育士は大変なお仕事、「私は向いてないかも」と悩む人も多いようです。今回はそんな気持ちになってしまう原因や前向きになれる対処法をご紹介します。

保育士に向いてないと思う人の特徴

「自分は保育士に向いてないかも」と思う人は下記のような悩みを抱えているようです。

  • 子どもとの接し方が分からない
  • 保護者と上手く話せない
  • 人前で話すのが苦痛
  • 仕事が遅い・同時進行が難しい
  • 遊びのアイデアがでない
  • 制作や演奏が苦手
  • 体力に自信がない
  • 人間関係が上手くいかない
  • 汚れたくないと思ってしまう

どれも保育士としてやっていくには重要な要素、落ち込むのも無理はありません。

ただし、「全て完璧にこなせる保育士はほとんどいない」ということも覚えておきましょう。

どんなに仕事ができる保育士さんも同じように何かに苦しみ、上手く折り合いをつけたり、克服する努力をして今があります。実は今もこっそり悩んでいるかもしれません。

まずは「自分だけではない」と理解すると気持ちが少し楽になりますよ。

保育士に向いてないと感じる原因

多くの保育士さんが何かに悩んでいると伝えましたが、「向いてない」と強く感じてしまう人は以下のような原因がないか確認してみましょう。

経験不足

現場経験が少ない人は不安も負担も大きいものです。実際、厚生労働省が行った保育士試験合格者に対する調査(※)では、実務経験の有無に関わらず73%の人が「実習や研修の必要がある」と答えています。

研修が必要だと思う理由をみてみると、「保育現場での経験がなく不安」が70.5%、「業務内容を理解したい」が62.7%、「園の生活と流れを理解したい」が57.3%と、真剣な思いなどが伝わってきます。

不安が強く理想が高い、経験の浅い保育士さんほど「向いていない」と感じやすいのです。

※出典:「保育士試験合格者の就職状況等に関する調査研究研究報告書」(子ども・子育て支援推進調査研究事業(厚生労働省))

心身の疲れ

心身が疲れていると気持ちが落ち込みやすいので要注意です。東京都福祉保健局の調査(※)によると、保育士の退職理由は「仕事量が多い」「労働時間が長い」「健康上の理由」が上位にあげられます。

保育士は常に忙しく、子どもたちの安全を背負う気を張る仕事でもあります。きちんと休みが取れているか、つらい時に気持ちの切り替えができているか、生活を見直してみましょう。

※出典:「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」(東京都福祉局)

責任感が強い・完璧主義

責任感が強い人、完璧主義の人も「自分は向いてない」と思いがちです。「これは自分の責任」「ここまでは仕上げたい」という考えは素晴らしいものですが、勤務時間中にこなせることは限られます。

高すぎるハードルを設定しているだけなのに、自分の能力が足りないと誤解してる可能性はないか考えてみましょう。

自分と他の人を比べてしまう

他の人と自分を比べてしまう人はうまくやっている人をみて「自分は同じようにできない」と落ち込んでしまいます。

たとえ同期でも、それぞれ得意・不得意が違うのであなたよりできる分野はあるでしょう。反対に、あなたの方が上手にできることもあるはずですが、人と比べてしまうタイプの人は自分の良い点を見つけるのが苦手なようです。

過去の経験から自信がもてない

過去に強い叱責を受けたり、頻繁にダメ出しをされた経験がある人は自信を持てなくなっているのかもしれません。

保育士は子どもの安全に関わる仕事なだけに、指導する側が熱くなりすぎるケースも珍しくありません。また職場によっては少し合わないだけで理不尽な言動をとる人もいます。

過去の経験のせいで自己評価を下げすぎていないか冷静に考えてみましょう。

仕事に前向きになれる10個の対処法

保育士に向いてないかもと思う人の特徴や原因をふまえて、前向きになるための対処法をご紹介します。自分に合ったものを見つけて試してみましょう。

休暇をとってリフレッシュする

仕事への暗い気持ちは職場から離れて、切り変えることが大切です。まとまった休みをとって、好きなことを思い切りやってみましょう。

友人と遊ぶ、旅行にいく、ご褒美エステやショッピングなど仕事を忘れるほど楽しいことをやりましょう。

保育士あるあるに共感する

「自分だけじゃない」と知ることはとても効果的です。保育士あるあるで検索するとたくさんの悩みや面白い事例が出てきます。共感しながら「みんな悩みながら頑張っている」と思うと前向きになれるかもしれません。

▶保育士あるある漫画

自分の長所から理想の姿を考える

全てを完璧にこなすのは誰でも難しいものです。できないことよりも長所に目を向けて、自分らしい「理想の保育士」を改めて考えてみましょう。〇〇が得意な保育士という肩書はあなたに自信をくれるはずです。

プライベートでも練習や研究をする

苦手なことをそのままにすると、ずっと「この仕事に向いてない」から抜け出せません。プライベートの時間を使ってでも練習や研究をして、克服する努力をしましょう。特に演奏や制作は練習が大切です。

子どもへの接し方や知識不足は、保育士向けのキャリアアップ研修や講座に参加するのもおすすめです。

仕事の効率化を考える

事務仕事をこなせない人は改めて効率化を考えましょう。先輩が書いた書類を読んでみる、いつやっているか観察する、ネットで仕事術を検索するなど、ポイントを押さえつつ手数を減らす方法を探してみましょう。

▶保育士が作成する書類を解説!書くポイントや負担軽減の方法も

子どもは気持ちに寄り添うことから始める

子どもとうまく接することができないという人は、子どもとあなたの信頼関係がまだ築けていないのでしょう。

信頼関係の構築には時間がかかるため、その子の話を聞いて気持ちに寄り添うことから始めましょう。目を合わせて相槌をうつだけでも印象がよくなるはずです。

子どもたちの注目を集めたい場合はハンドベルやおもちゃ、イラストを使うのもおすすめです。

保護者には顔をあげて笑顔で話す

保護者の対応が苦手な保育士さんは、顔をあげて笑顔でハキハキ話すことを心がけましょう。また、お子さんの保育園ならでは様子や印象深かった出来事などを具体的に伝えると「よくみていてくれるんだな」と信頼が得られます。

クレーム対応やトラブル報告は保護者の気持ちに共感しながら真摯に相手の話を聞くことと、事実を正確に伝えることが大切です。

人間関係は挨拶やマナーから

保育士の職場は挨拶やマナーを重視するところが多いようです。人間関係が上手くいっていない人は下記の点を見直してみましょう。

  • おはようございます。お疲れ様です。の挨拶をきちんとする
  • お礼と謝罪はこまめに伝える
  • 言動は先輩や上司を立てる
  • 誰かの悪口や仕事の愚痴は控える
  • 保育所にふさわしい服装や清潔感を心がける
  • 共有スペースはキレイに使う など

先輩に仕事のコツや悩みを相談する

保育士の悩みは保育士に聞くのが一番です。声をかけやすい先輩がいたら悩みを相談してみましょう。きっと共感や改善点、その職場ならではのコツも教えてくれるでしょう。長く働いている先輩を味方につければ仕事も人間関係も安心です。

自分に合う職場や仕事に転職する

色々な対処法を試してもダメなら相性の良い職場に転職しましょう。保育園は園によって方針も雰囲気も全く違います。自分に合う職場が見つかれば保育士を諦めなくても気持ちよく働けるでしょう。

また保育士資格所有者は保育所以外の施設でも求められています。幅広い視野で職場を探すのもポイントです。

保育士資格が活かせる仕事

保育士の知識とスキルは様々な仕事で役立ちます。少数の子と向き合う仕事、障がいのある子のサポート、家庭まで丸ごと支援する仕事など自分にあった働き方を探してみましょう。

下記は、保育士資格を活かせる仕事の一例です。

施設の種類特徴
保育園(保育所)家庭での保育が難しい未就学児(0~6歳)を対象に養護と教育を軸にした保育を行う。
認定こども園未就学児(0~6歳)を対象に教育と保育を一体的に行う施設。幼稚園と保育園の機能を併せ持つ。
企業内保育所従業員の子どもを預かる保育施設。仕事内容は保育園とほぼ同じだが、小規模でアットホームなところが多い。
病児保育室病気やケガで通園・通学ができない子ども(0~12歳)を一時的に預かる施設。看護師と一緒に看護を行う。
院内保育所病院内にある保育室などで入院している子どもに保育を行う。メンタルケアや生活のサポートが主な仕事。
ベビーシッター自宅や仕事場などで保護者に代わって子どものお世話をする。看病や習い事の送迎、家事手伝いなども行う。
保育ママ(家庭的保育事業者)家庭福祉員として保護者に代わり保育する。自らの自宅やグループ保育室で0~2歳の子どもを1~5人程度預かる。
学童保育・児童館小学生以上の子に学童保育指導員として学校の放課後や休業日に子どもの遊び場を提供し、健全な育成や自立を支援する。
障害児施設・療育センター・児童発達支援センター・放課後デイサービス・障害児入所施設 など障がいのある子の発達支援や生活サポートなどを行う施設。施設の種類によって子どもの年齢や障がいの程度、支援内容が異なる。
乳児院・児童養護施設保護者と暮らせない乳幼児や18歳までの少年を入所させて保育や自立支援を行う施設。生活全般のサポートの他、学習指導や保護者の支援なども行う。
母子生活支援施設配偶者と暮らせない母と子を保護する施設。支援員は0~18歳の子どもの保育や生活、学習支援などの他、母の自立もサポートする。
保育関連企業のスタッフ保育園などを運営する企業の本部スタッフ。保育士の資格や経験を活かし、より良い保育施設の運営を目指す。
習い事の先生ピアノや歌の技術を活かした音楽教室、保育スキルを活かしたスポーツや塾の講師など

気持ちよく働ける職場を見つけるポイント

職場があなたのスキルや希望にマッチしていないと「保育士に向いてない」と思う原因になってしまいます。転職を考える時は以下のポイントを押さえましょう。

  • 学びたいことや得意な分野にマッチする
  • 休日や仕事量、給与に納得できる
  • 保育方針や職場の雰囲気に共感できる

自信が持てる環境で心身ともに元気でいられる職場はきっとあります。大事なのは事前に正確な情報を掴むことです。

保育士資格が役立つ転職を考える時は、業界に詳しいキャリアアドバイザーに相談しましょう。悩みも希望も親身に聞きながら、安心できる転職をサポートをしてくれますよ。

まとめ

「保育士に向いてない」と感じる人は子どもとの接し方や人間関係、仕事量など保育士にとって避けられない悩みに直面している人が多いようです。

しかしそれは、心身の疲れや責任感の強さ、過去の経験から自信を失っているのかも知れません。気持ちのリフレッシュや長所の見直し、スキルアップなどの対処法を試してみましょう。職場とのミスマッチが原因なら転職もおすすめです。

職場ごとに雰囲気が変わる保育士の転職は事前の情報収集が大切です。業界に詳しいキャリアアドバイザーに相談してより良い職場を見つけましょう!

<参考>
「保育士試験合格者の就職状況等に関する調査研究研究報告書」(子ども・子育て支援推進調査研究事業(厚生労働省))
「保育士の現状と主な取組」(厚生労働省)
「【アンケートまとめ】保育士1年目の悩み、実際に聞いてみました。」(手ぶら登園)
「ベビーシッターとは?利用法や料金体系」(miraxsシッター)
「療育センターとはどんな施設?対象者、料金、利用方法を解説します【専門家監修】」(LITALICO発達ナビ)

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