【レポート&インタビュー】角野栄子さん作家デビュー50周年記念♪ おばけのアッチとお祝いパーティー

【レポート&インタビュー】角野栄子さん作家デビュー50周年記念♪ おばけのアッチとお祝いパーティー

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「魔女の宅急便」シリーズや「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ」シリーズで知られる作家・角野栄子さんは、昨年で作家デビュー50周年。それを記念して、この3月にオンラインイベント「おばけのアッチとお祝いパーティ」が開催されました。パーティでは、角野さんご本人による『おばけのアッチ パン・パン・パンケーキ』の読み聞かせや、アッチがつくるお料理にまつわるクイズ大会などを実施。オンライン形式ながらも、角野さん&お祝いするために集まった100組の参加者が一体となって、楽しくもあたたかい時間を過ごしました。今回は、パーティの様子をくわしくレポートするとともに、角野さんからいただいた「ほいくらし」読者向けのメッセージも紹介します!

祝・作家生活50周年! 読者をますます魅了し続ける“角野栄子ワールド”

角野さんは、1970年に『イルジンニョ少年 ブラジルをたずねて』で作家デビューを果たし、その後も『魔女の宅急便』や『アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ』シリーズなど250冊を超える作品を生み出してきた児童文学作家です。2018年には国際アンデルセン賞・作家賞を受賞し、国内外で高い評価を獲得。86歳になる現在も、精力的に活動されています。

なかでも、角野先生のライフワークとして毎年新刊が発表されている『アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ』シリーズは、40年以上にわたって読み継がれてきた不動のロングセラー。「子どものころに何度も読んだ」という方や、「私と娘、2代にわたって大ファン」という方も多いのではないでしょうか。

2020年11月に発売された、シリーズ43巻目となる最新刊『おばけのアッチとコロッケとうさん』でも、アッチと愉快な仲間たちが大活躍! いつの時代も色褪せることなく、世界中の子どもたちに愛される作品を作り続ける角野さんが描く不思議な世界——。パーティでは、そんな“角野栄子ワールド”を存分に体感することができました。

おはなし会にクイズ大会と、盛りだくさんの1時間!

今回のイベントには、事前に申し込みをした親子約100組が参加しました。参加者は、アッチがはたらく「レストラン・ヒバリ」のオープンテラスの絵を、リモート画面の“バーチャル背景”に設定して準備万端。画面の向こうには特別ゲストのアッチも登場し、お祝いムードが高まります。ここからは、パーティの様子を順に紹介していくので、参加しているつもりで読んでみてくださいね!

角野栄子さんごあいさつ

いよいよパーティーの幕が上がります。オンラインということで、待機中はみんな少し緊張した表情をしていましたが、角野さんが登場したとたん、全員がパッと笑顔に! 角野さんは画面に映る参加者に向かって、次のようなメッセージを送ってくれました。

「みなさんこんにちは。角野栄子です。いつも私の本を読んでくれてありがとう。アッチを書き続けて40年。長い間、たくさんの方に読んでいただいて、本当にありがたいと感じています。みなさん、本はとっても楽しいものです。これからもどんどん読んでくださいね」

角野さんのご友人からビデオメッセージ

次に、角野さんにゆかりのあるご友人の方々から送られたお祝いのビデオメッセージが流されます。『かいけつゾロリ』の作者である原ゆたかさん・原京子さんご夫妻、下関にある児童書専門店「こどもの広場」代表の横山眞佐子さん、そして元読者で仏蘭西料理Nの料理長・中原崇暢シェフからのサプライズメッセージに、角野さんもとても感激されていました。

中原シェフ特製・苺のショートケーキをプレゼント

1年生の時に『おばけのアッチ ハンバーグをつくろうよ』を読んで料理の道に進んだという中原シェフは、角野先生に感謝の気持ちを込めて、特製の苺ショートケーキをプレゼント。おいしそうなケーキを前に、思わず顔がほころぶ角野さんを見て、参加者たちも笑顔になりました。

参加者の子どもたちによる「ごちそうイラスト」をプレゼント!

続いては、参加者の子どもたちが角野さんをお祝いします。“アッチになったつもり”で角野さんにごちそうしたいお料理やスイーツを事前に描いてもらい、その絵をプレゼントするというこの企画。「びっくりするほど面白くて、おいしいものを考えてね! アッチのお話のお料理のように、ちゃんと食べられるものをお願いね」という角野さんの注文どおり、個性的でおいしそうなごちそうがずらりと並びます。角野さんも「すごく素敵! みんな欲しい!」と大満足の様子でした。

角野さんによるおはなし会

パーティでは、『おばけのアッチ パン・パン・パンケーキ』を一冊まるごと角野さんが読み聞かせてくれるという、なんとも贅沢なおはなし会も開催! 「じゅっ、ぽん、ぱーん」「ひょん、ぱん!」と軽快なリズムが楽しいこのおはなしを聞いて、参加者のみなさんも思わずパンケーキが食べたくなったのではないでしょうか。

アッチとクイズ大会!

おはなし会のあとは、参加者全員が共有できる投票機能を使ったクイズ大会のスタート。これまで刊行された43巻の中から、アッチが作ってきたお料理にまつわるクイズが5問出題されます。正解発表後に、角野さんからその料理にまつわるエピソードをこっそり教えてもらえて、ちょっと得した気分になりました。

参加者に向けて角野さんからメッセージ

楽しかったパーティーも、あっという間に終わりの時間に……。最後に角野さんから参加者の方たちに向けて、素敵なメッセージが贈られました。その方法は、なんとホワイトボード機能を使って、その場で直筆のイラストと言葉を描いてくれるというもの。角野さんの言葉は、みなさんの心にしっかりと刻まれたことでしょう。

保育士のみなさんは、子どもが何を求めているかわかっているはず——角野栄子さんインタビュー

無事にイベントが終わり、ほっと一息ついた角野さん。「ほいくらし」読者に向けてメッセージをいただきました!

——本日はお疲れさまでした! とても楽しいパーティーで、参加者のみなさんの素敵な笑顔が印象的でした。

角野さん:本来だったら直接お会いして、目の前で握手したりサインしたりするのがいいんでしょうけど、こういった方法でも、楽しく開催できることがわかりました。今日はお天気が悪かったし、実際に会場に集まることになっていたら、みなさんにお越しいただくのも大変だったでしょうから、(オンライン形式で)よかったんじゃないかしら。

——コロナの影響で世の中が大きく変わりました。でも、オンラインでのイベントにもオンラインなりのよさがあります。その点では、「悪いことばかりじゃない」とポジティブに考えることもできますね。

角野さん:直接会えないのは物足りないけれど、「こういう新しい手段を手に入れたんだ!」って思えるのはいいことよね。「どんなことがあっても、ただでは起きない!」ってね(笑)。

——イベント全体を通して、とくに印象的だったことはありますか?

角野さん:参加してくれた子どもたちのいきいきとした表情が印象的でした。そして子どもたちが一生懸命考えて描いてくれたお料理の数々……。やっぱり子どもの想像力って無限大よね。もう、私もかなわない。子どもたちはもっともっと自信をもっていいと思うわ。

——「おばけのアッチ」シリーズでも、想像力を刺激するような料理がたくさん登場します。角野さんは物語を通じて、子どもたちにどのようなメッセージを伝えたいと考えていらっしゃいますか?

角野さん:私、伝えたいことを物語に乗せたりは一切しないの。押しつけがましくなってしまうから。押しつけてしまうと、本を嫌いになってしまうもの。だからね、「これを読んでこういう子になりなさい」と感じ取れることは書きません。
本の読み方って自由でいいんですよ。自由に読んで楽しいと思えば、そこからその人なりの物語が生まれてくるんです。たとえばね、アッチを読んで「今度は自分でアッチが思いつかないような料理を作ってやるぞ!」って思ってくれたらしめたもの。イマジネーションがはたらいて、何かを作り出すクリエイションにつながっていくはずです。その力を引き出すためにも、子どもには押しつけちゃいけないんです。

——その言葉は、保育士さんが子どもたちに接するときの参考にもなると思います。

角野さん:子どもってね、大人が「こうなってほしい」と思っていることにすぐ気づいちゃうの。だからこそ「勉強しなさい」とか「お行儀よくしなさい」とか押しつけようとするのは絶対にダメ。もちろん保育園の先生は、よくご存知だと思います。

——角野さんの著書の中で、保育園で読み聞かせをするのに一番のおすすめはどの物語でしょう?

角野さん:もう、すべてぴったりです。アッチのほかにも「リンゴちゃん」というシリーズもあるのだけれど、それも全部おすすめ。どれを選んでくださってもいいですよ。私が保証します(笑)。
幼稚園や保育園に通っているくらいのお子さんは、とっても正直な読者です。面白くなかったら、「面白くない」って率直にいう。遠慮なんかしないでね。「面白くなーい!」って外に出て行っちゃう。そういうピュアな気持ちを持った読者を相手にして、私は書いているわけです。だからこそ、絶対に自分が「楽しい!」と思うものしか書かないし、どれも子どもたちに喜んでもらえると思っているの。

——読み聞かせをしてくださった『おばけのアッチ パン・パン・パンケーキ』も、言葉のリズムが楽しく、最後まで集中して聞き入ってしまいました。読み聞かせが苦手で悩んでいる保育士さんに、なにかアドバイスをいただけますか。

角野さん:アドバイスはたったひとつ。それは「保育士さん自身がそのお話を好きかどうか」です。義務で読むのはダメ。「自分が好きだから読んであげたい」っていう気持ち、それが一番大事なの。だから自分が嫌いだと思うお話は読まないこと。その気持ちは、子どもに絶対に伝わります。

***

自分自身が夢中になれる本なら、楽しく読み聞かせができますね。
今回のイベントで角野さんが身につけていたのは、アッチのイラストがプリントされた真っ赤なワンピース。おしゃれで穏やかで、そしてユーモアたっぷり——。まるでご自身が生み出す物語のイメージそのままでした。また、子どもたちに向けた言葉とまなざしが、とても温かかったのも印象的。保育士として働くみなさんと同じように、子どもたちの気持ちに寄り添い、愛情を注いでいることが伝わってきました。

角野さんによると、すでに次回作の原稿が完成しているとのこと。小さなおばけの新しい物語が今から待ちきれませんね!

文:保育ライター 野口 燈

童話作家
東京生まれ。早稲田大学教育学部英語英文科卒業。
『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』(ポプラ社)でデビュー。
『魔女の宅急便』(福音館書店)で野間児童文学賞と小学館文学賞を受賞し、
これまでの業績に対して、巌谷小波文芸賞、東燃ゼネラル児童文化賞を受賞。
2014年旭日小綬章を受章。2018年に、国際アンデルセン賞・作家賞を受賞する。
『スパゲッティがたべたいよう』に始まる「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ」
シリーズなどロングセラーは数多い。
令和5年7月の開設に向けて、「(仮称)江戸川区角野栄子児童文学館」の建設が進行中。
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