なかえよしを先生が語る「ねずみくんのチョッキ展」の見どころ【6月1日オンライン開催も決定】

なかえよしを先生が語る「ねずみくんのチョッキ展」の見どころ【6月1日オンライン開催も決定】

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1年におよぶ延期の末、東京・松屋銀座でついに開催される「ねずみくんのチョッキ展」。開催にあたり、作者であるなかえよしを先生からお話をうかがえる貴重な機会をいただきました。

今回のレポートでは、「ねずみくんの絵本」シリーズへの想いや、制作秘話、またコロナ禍における絵本の役割など、保育者として知っておきたいお話をたっぷりお届けします。

もちろん「ほいくらし」読者である全国の保育士さんに向けたメッセージもいただきましたので、ぜひ最後までお読みください。

【6月1日オンラインにて緊急開催決定!】

名作誕生45周年を記念し、6月2日から14日まで松屋銀座にて開催される「誕生45周年記念 ねずみくんのチョッキ展 なかえよしを・上野紀子の世界」。開催に先立ち、6月1日19:00~本展初の試みとして、オンライン展覧会をライブ配信にて緊急開催決定! 作者のなかえよしを先生とねずみくんが会場を案内してくれます。会場でしか見られない、誕生秘話に関する貴重な動画や原画、スケッチなどをリアルに体感できるほか、先生やキャラクターとふれあえる演出が盛りだくさんです。

【オンライン展覧会開催 概要】
『オンラインでも! ねずみくんのチョッキ展 なかえよしを・上野紀子の世界 』
・開催日時 2021年6月1日(火)19:00~20:00(18:00~開場)
・開催方法:オンライン LIVE 開催
・視聴方法:事前チケット購入制/詳細
・チケット購入詳細はイベントページを御確認ください ・参加料金:800円(税込)
・チケット販売期間:5月20日(木)12:00~6月4日(金)21:00
・アーカイブ配信期間:ライブ配信終了後~6月4日(金)23:59まで
※新型コロナウイルス感染状況の推移等により、急遽開催を延期または中止させていただく場合がございます。
最新の情報はオンライン展覧会イベントページを御確認ください
https://nezumikun45th.zaiko.io/

みんな大好き「ねずみくん」が絵本を飛び出して展覧会で大活躍!

『ねずみくんのチョッキ』(なかえよしを・上野紀子/ポプラ社)

シリーズ累計400万部を超える「ねずみくんの絵本」シリーズの作品は、45年以上にわたり親から子へ、そして孫へと世代を超えて読み継がれています。みなさんの中にも、「子どものころに読んでいて今も大好き!」「子どもに読み聞かせをしているうちに自分も夢中になってしまった」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

絵本作家のなかえよしをさんと、画家である上野紀子さんが夫婦で作り続けた「ねずみくんの絵本」シリーズ。2019年に上野さんがご逝去された後もなお、『ねずみくんはめいたんてい』(2020年刊)、『ねずみくんのピッピッピクニック』(2021年刊)と、新作の刊行が続いています。

これら新作の絵は、なんとなかえ先生ご自身がパソコンを使って、これまで出版されたねずみくんシリーズの絵本データをもとに作成しているそう。しかもそれらの作業のほとんどをなかえ先生ひとりがなさっているというから驚きです。

さて、「ねずみくんの絵本」シリーズといえば、その独特な表現方法が最大の魅力です。誰もがひと目見た瞬間に「あ、ねずみくん!」とわかるほど、無駄なものを極限まで省いたシンプルな鉛筆画は、ねずみくんの魅力を語るうえで欠かせません。

シリーズ1作目である『ねずみくんのチョッキ』から、最新作『ねずみくんのピッピッピクニック』に至るまで、ずっと変わらぬその世界観は、どのように形作られてきたのでしょうか。その秘密を解き明かす「ねずみくんのチョッキ展」が、ついに2021年6月、東京の松屋銀座で開催される運びとなりました。

フォトスポット追加やコラボスイーツなど東京会場ならではの見どころもたっぷり!

2020年9月から巡回中の「ねずみくんのチョッキ展」。これまでに開催された横浜、静岡、大阪の会場では、「親子2代で大ファン!」「大人になった今、改めてねずみくんの世界にハマってしまった」「上野先生の芸術的な作品の数々を間近で観て、圧倒された」など、子ども向けの展覧会とは少し違った感想が多く聞かれました。

そうしたなか、新型コロナウイルス感染拡大を受け、一時開催が危ぶまれたものの、このたび2021年秋までの巡回が決定しました。再開後は6月の東京・松屋銀座会場を皮切りに、兵庫、長野と続く予定です。

ねずみくんの原点を辿りながら、シリーズの根底にあり続けるテーマを深く掘り下げていくという今回の展覧会。ねずみくんの絵本の原画やスケッチはもちろん、『ちいちゃんのかげおくり』の原画、シュルレアリスムの油絵「少女チコ」シリーズの作品など、上野先生の絵の魅力が存分に感じられる展示も。

「東京会場では、今年の春に出た新刊『ねずみくんのピッピッピクニック』のラフが新しく展示されているので、ぜひそちらにご注目ください。また、“会場で写真をたくさん撮りたい”というお声をたくさんいただきましたので、フォトスポットも増やしました」(ポプラ社編集担当より)

カップルやご夫婦で来場されるかたが多いことから、おとなが思わずほしくなるグッズも大幅に増やして販売しているそう。

さらに展覧会期間中は、会場となる松屋銀座の8階MGカフェでコラボメニューが販売されます。楽しくてかわいらしい、そしてとってもおいしそうなメニューがずらり! オリジナルコースターのプレゼント(※数量限定)や、SNSと連動したキャンペーンなどもあるので、会場に足を運んだらぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

【なかえよしを先生インタビュー】「ねずみくんの“余白”は子どもたちの想像力で埋めてください」

ーー「ねずみくんのチョッキ展」の再開、おめでとうございます。展覧会でねずみくんに会えるのを楽しみにしている方に向けて、見どころなどをお教えいただけますか?

なかえ先生:
今回は原画展なので、絵本の絵と原画を見比べていただくとおもしろいかな、と思いますね。ねずみくんは鉛筆画で、上野(上野紀子先生)は鉛筆を濃さによって10本くらい使い分けて描いていたんです。展覧会で原画をじっくりご覧になっていただけると、細かい部分までしっかりと描かれていることがわかると思いますよ。上野は歳をとってだんだん目が悪くなっても、大きな虫眼鏡を覗きながら、ひげ一本一本まで一生懸命描いていたんです。そういった、原画らしい“味”のようなものを感じ取っていただきたいですね。

ーー新刊『ねずみくんのピッピッピクニック』では「大切なものは遠くにでかけなくても身近にあるよ」というメッセージが込められていますが、どのような経緯で制作されたのですか?

『ねずみくんのピッピッピクニック』(なかえよしを・上野紀子/ポプラ社)

なかえ先生:
もともとコロナを意識して作ったわけではなく、コロナ前にラフは決まっていたんです。これまでたくさんのテーマでねずみくんを作ってきましたが、「そういえば春をテーマにしたお話がないぞ」と気づき、パピプペポの語感を取り入れたくて「ピッピッピクニック」に決めました。そしたら今、コロナであまり遠くに出かけられなくなってしまいましたよね。子どもたちが近くで楽しく遊べたらいいな、という願いも込められていたので、偶然ピッタリ合ってしまったというわけです。

毎日行っている近所の公園が、思っている以上に楽しい場所だと気づかされることもある。「どこか遠くへ旅行しなきゃつまんない」ということではなく、よく観察してみると面白いことは身の周りにたくさんあるんです。

ねずみくんのお話というのは、なるべく同じ「繰り返し」を意識して作っています。実際に僕らの生活も毎日同じ繰り返しばかりですよね。その中にあるささいな出来事や、楽しい出来事に感動するものです。ねずみくんでは、そういう視点を大事にしたいと思っています。

ーー45年間ねずみくんを描き続けている先生にとって、絵本を通じて子どもたちに伝えたいことは何でしょうか?

なかえ先生:
ねずみくんの絵本は地味で、そんなに目立つような絵ではないでしょう? 背景はほとんどなく、セリフも少ない。つまり「余白が多い」わけです。その余白というのは、子どもたちの想像力で埋めてもらわなきゃならないんです。

余白というのは余裕や余韻でもあります。たとえばアニメなんかでも、画面全部色で埋め尽くしてカラフルにしてしまったら、その色以外考えられなくなってしまう。子どもたちから想像力を奪ってしまいます。

逆に言えば、ねずみくんほど想像力が求められる絵本もないでしょう。でも、余白があるからこそ色を感じたり心を感じたりできるんです。子どもたちにとってねずみくんがそういう絵本になればいいな、と思っています。

あと、ねずみくんのお話にはたくさんの動物のキャラクターが登場します。ぞうさんやライオンさん、アシカくん、ブタさんなんかはパッと見てその違いがよくわかりますよね。それが“個性”です。個性豊かな友だちと一緒にがんばっているねずみくんを見て、世の中にはいろんな人がいること、そしてお互いの個性を認め合う素晴らしさを感じ取ってもらいたいと願っています。

ーー先生は子どものころ、どのようなお子さまだったのですか?

なかえ先生:
僕が子どものころは、戦時中・戦後といった物が何にもない時代。とにかくいつも野山を駆け回っていて、のびのびと育ちました。勉強は全然ダメで、得意なことといったら運動することと絵を描くこと。絵の道に進もうと中学のときに決めて、美術学校に進んで上野と出会い、あれよあれよという間にふたりで絵本を描くようになりました。

なかえ先生(写真左)、上野先生(写真右)

僕より絵が上手い上野と、話しを考えるのが得意な僕だから、絵本を作ることができた。好きなこと、得意なことをやっているから、どんなにつらくてもつらくない、むしろ悩んでいるときも楽しんでいるんです。

ですから、もし今「勉強が苦手」「みんなができることができない」と悩んでいるお子さんや親御さんがいるのなら、得意なことや好きなことを活かせる環境を整えてあげてください。夢中になれることがひとつでもあれば、それを伸ばしてあげればいいんです。

【ほいくらし読者に向けて】保育士さんは「目に見えないもの」を子どもたちに伝える大切な仕事

ーー保育士さんが子どもたちにねずみくんの絵本を読み聞かせするときに、なにかコツやアドバイスはありますか?

なかえ先生:
そうですね、先ほどもお伝えしたように、ねずみくんの絵本は「余白」を大事にしています。何もない空間に言葉をつけてみると、ぐっと世界が広がります。そのためにも読んで聞かせる方、つまり保育士さんの「想像力」が重要になるわけです。いろいろな言葉を追加しながら、自分なりにねずみくんの余白を語っていただけるといいんじゃないでしょうか。

ほかの絵本を読んだ後でねずみくんの絵本を開くと、「なんて真っ白な本だろう」と感じると思います。それくらい要点を絞って、セリフも本当に最小限にしているんです。背景を描かないことで、見る人によっては景色が見えるかもしれない。だからこそ読む人の想像力で、物語に広がりが生まれるんです。

サン=テグジュペリの『星の王子さま』で「大切なことは目に見えない」というメッセージがあります。逆に「目に見えるもの」というのは、明るくてカラフルで楽しそうで、子どもたちに影響を与えやすくなっていると思いませんか? ついそういうものばかりに目が向いてしまうけど、「今、自分が見ているものは良いものだろうか」と疑問をもつことも大切です。

たとえば「思いやり」なんていうのは目に見えません。小さくて目立たないねずみくんが絵本の中で一生懸命生きている姿を見て、人の「思い」とか「心」というものに、ちゃんと気づくことができるような子になってほしいと願っています。

なかえ先生と上野先生が二人三脚で作り上げてきた「ねずみくんの絵本」シリーズは、45年も前から「子どもたちの想像力」を育む手助けをしてきたのですね。「ねずみくんのチョッキ展」では、上野先生が描く緻密な鉛筆画と余白の存在感を、存分に味わうことができます。保育士のみなさんも、ねずみくんの余白から伝わる“思いやりの心”を、ぜひ感じ取ってくださいね。

文/保育士ライター野口 燈

ねずみくんのチョッキ展公式サイト

絵本作家
1940年、兵庫県に生まれる。日大芸術学部美術科を卒業後、広告会社のデザイナーを経て絵本作家に。
なかえ氏がラフを描きながら展開を決め、絵は妻の上野紀子氏が描くという二人三脚のスタイルで、
200冊以上の絵本づくりを行ってきた。著書の中でも、シリーズ累計400万部を超える
「ねずみくんの絵本」シリーズは45年以上に渡り、世代を超えて読み継がれている。

©なかえよしを・上野紀子/ポプラ

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