第4回 リーダー研修「子ども主体の保育実現へ」 設計しよう!これまでとこれからのリーダーの本質

第4回 リーダー研修「子ども主体の保育実現へ」 設計しよう!これまでとこれからのリーダーの本質

2023年5月15日に開催された、汐見稔幸先生と井上さく子先生によるリーダー研修では 
「設計しよう!これまでとこれからのリーダーの本質」をテーマに議論。 

リーダーに必要な資質とはなにか、園づくりを進めていく上で大切なこととはなにか、 
これまでのリーダー研修でお話ししてきたことを振り返りながら改めて考える場となりました。 

※第1回「園という組織におけるリーダーの役割とは」の開催レポートはこちら
※第2回「子ども主体の保育実現へ」 ~夢をかたちにするための課題の発見・解決策とは~の開催レポートはこちら
※第3回「知っておくべき「今の」現場の知識!~危機管理・保護者対応etc」の開催レポートはこちら

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ほいぴよ
マイナビ保育士セミナー担当も聴講し、当日の先生方のお話を抜粋してまとめてみました!
ご参加を検討されていた方、今回スケジュールの関係でご参加できなかった方もぜひご確認ください。

一人ひとりの職員の求めていることを感じ取り丁寧に応答する 

汐見:最初にリーダーに必要な資質について考えていきます。

“こんな園長・主任・サブリーダー(以下リーダー)がいると働きやすい” “自分がこの職場に就職してよかった”と言ってもらえる園になっていくために、リーダーが日頃からどのように振舞えばいいのか、今までの経験上で大事だと分かることがいくつかあります。 

一つ目は様々な園を見ていく中で、この園はまとまっていていい園だなと思う特徴はリーダーが、職員が一番必要としていること・求めていることを感じ取る能力が高く、それぞれの先生方のいいところを見つけて伝えてくれる、丁寧に応答してくれる力が高いと思います。 

一人ひとりの職員を深い意味で大事にしてくれる、職員の求めていることを感じ取り、できるだけ満たしていけるように丁寧に応援してくれる、そういう力がリーダーには必要だと思います。

その場の空気感を壊さないように、子どもや大人に目を向ける

井上:自分が主任時代に出会った色々な園長先生の存在を思い出しました。園長先生によってその園が決まると言ってもいい位、リーダーシップの取り方によってはよくも悪くも変化があると振り返っています。

私自身が憧れた園長先生は「現場をよく回って見ている、事務所にじっと座っているのではなく、園長先生も子どもの眼差しに等しく映り、子どもがSOSを出したときには担任はもちろん、その場にいる園長先生も全面的に受け止めてくれる」という方でした。 

一方で主任になった際、別の園長先生には「こうしなさい、それはダメでしょう」と畳みこまれたときには反抗の芽が出てきました。やはり、私たちは誰と向き合う仕事なのかというところが大切であり、子ども向きでどんなに素晴らしい園長先生であっても職員はついていくのかな?と常々思っています。と常々思っています。 

汐見:園長先生による保育の見に行き方は難しい気もします。園長が来たら“私、監視されている”など思う方も。しかし園長としては、保育をみながらどういう良さがあり、どのような課題があるのかを見抜いて適宜アドバイスしてあげるとか、一人ひとりの先生のいいところと課題を上手に見つけるためには、ある程度の距離で保育を行っている現場に接してみることも必要です。さく子先生はどのように工夫していたのでしょうか。 

井上:保育現場を見に行く際には優しいまなざしで、その場の空気を壊さないように意識し、「このタイミングなら入っても大丈夫そう」という瞬間をつかみつつ、さりげなく部屋にお邪魔します。 
◎子どもが心地よく暮らしているか 
◎子どもと現場の先生との関係性は良好か 
◎職員間のチームワークは上手く有効活用されているのか・回っているか 
ということを現場の空気を吸って感じ取り、「お邪魔しました」とさりげなく去っていく、そういう空気感が大切だと思っています。

良い園を作るためには園長が夢を持ち、みんなの願いをかたちにしていく 

汐見:二つ目は保育にどのような夢をもって実践しようとしているのか、親御さんたちがどのように評価してくれるような園づくりをしようとしているのか、みんなにどういうことを期待して保育をしてもらいたいと思っているのか。リーダー、特に園長は、自身の願い・夢を職員に上手に伝える必要があると思います。無理に押し付けるのではなく職員みんなが夢をもって働くにはリーダーが願い・夢を持っているということが大きな条件になると思いますが、いかかでしょうか? 

井上:私が園長になったとしたら「目指せ!実家のような保育園」がビジョンです。そのために保育現場をどんな風にデザインしたらよいか常に考えていました。まずは私自身の願いを伝え、全職員でグループワークを行い、その中で「実家」のイメージを膨らませ、考えを共有。最終的には、「安心の居場所づくり」「安心の人になろう」ということを掲げました。加えて普段から職員間で「どんな子どもになってほしいのか」「目の前の子どもたちはどんな育ちをしているのか」など子どもの育ちを語り合える風土づくりを大切にしてきました。そしてリーダーが言うだけではなく、実践していかないといけないということが大きなポイントだと思います。 

汐見:子どもたちのエピソードを語り合い、大事なことを共有していくという中に実は私たちが願っている子どもの姿、私たちが願っている園の姿が映しだされてくると思います。すべての園で子どものエピソードを楽しく語り合うということはこれからの園づくりにとって不可欠なテーマとして受け止めていいのではと私は思いました。

いろいろな意味での専門性を高めていかないといけない 

汐見:三つ目は保育園・幼稚園・子ども園は専門性を高めないといけないということです。保育士の専門性をどう高めていくかということについて、さく子先生はどう考えてこられましたか? 

井上:保育士だけがその子のことを見ていくのではありません。例えば看護師さんがいらっしゃる場合には「看護師さんからみてどう思いますか?」と相談していきながらお互いの専門性を活かしていけるような保育のまかない方をしていけるとよいと思います。

汐見:専門性といいますが今までは自然にできていたことが環境変化によってできなくなってきた、だとしたら昔できたことを同じようにできるようにするということが現代の専門性としては大切になってきているのかもしれません。 
例えば、子どもたちが泥遊びをしているのに先生は泥んこになれないというギャップを放置したまま、質の高い保育ができるのか、というそのあたりが検討課題になってくると思います。

井上:子どもたちに“こんなふうになってほしい”という前に私たち大人がどれだけ具体的な体験をくぐらしていけるのかということが問われているのかということを思いますね。今あるこの環境でそこに近づけていくために何から始める?という発想が大事になってきます。やはり私たちは専門職・プロとして人間力を確かなものとして培わせていくために、園長先生をトップに創意工夫が必要とされているところにきています。 

遊びの中では大人が提供する玩具や道具だけでなく、子どもたち自ら「やってみたい」「やったら面白かった」という体験を一緒に共有・共感しながら、子どもの姿からヒントをもらい今ある環境を魅力的な環境に整えていくということもひとつの方法だと思っています。 

園長をはじめ、職員の皆さまで子どもたちの表現力をどう引き出し、受け止め、子どもの世界を充実させていくかをぜひ相談していただけたら嬉しいです。 

頑張らないでほしい 

汐見:正解がない時代を生きています。だからこそ職員みんなで子どものことや保育の面白さをたくさん議論し、正解を見つけるのではなく、みんなで共有していく。正解のない園づくりというものをそれぞれの園でどん欲に探究していってほしいというのが私の願いです。

井上:園長先生は園運営のトップではありますが、頑張らないでほしい。頑張りすぎると、その頑張りが現場の先生方にもプレッシャーになってしまいます。園長先生は、現場の先生たちを支えていく役。イラっとすることがあったとしても、背中を押してあげる。そういう立場でいてほしいと願います。

汐見:頑張る必要はないのです。家族のように本音が言えるからたくさんの知恵がでてくる、そういう家族を園という形で作っていくということが大事、というのが今回の結論です。ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。 

全4回で開催した汐見稔幸先生×井上さく子先生による「子ども主体の保育実現へ」。 

汐見先生、さく子先生の考えを聞く中でどう考えたら保育が面白くなるのか、もっと良くなるのか研修を通して学びを深める機会となりました。 

たくさんの参加者の方にご参加いただき、ありがとうございました。 

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