【災害時】「子どもの心のケア」4つのポイントをユニセフが公開

【災害時】「子どもの心のケア」4つのポイントをユニセフが公開

<情報PICKUP>能登半島地震で被災された皆様、心よりお見舞い申し上げます。避難所で小さなお子様を抱えた方、今も登園できない子どもたち。突然環境や状況が変わり、大人でさえ戸惑うことばかりですが、子どもたちも同じです。子どもの心をケアするために、大人ができることには何があるのでしょうか。(保育ライター ヨシコ)

「あらゆる自然災害で、最も困難な状況に置かれてしまうのは子どもたち」――と、世界各地で子どもたちのために活動を続けるユニセフ(国連児童基金)は指摘しています。

このたびの能登半島地震のような災害が発生した際には、日常が一変するなか、「助けて」と言わなくても、普段通りに過ごしているように見えても、子どもたちは身近なおとなの助けを必要としている場合があります。普段から子どもの身近にいる方々にこそ実践していただける、「災害時の子どもの心のケア」を行う際の4つのポイントをご紹介します。

災害時の子どもの心のケア 4つのポイント

  1. 「安心感」を与える
  2. 「日常」を取り戻すことを助ける
  3. 被災地の映像を繰り返し見せない
  4. 子どもは自ら回復する力があることを理解し、見守る

災害は一瞬にして「日常」を奪い、私たちを不安に陥れます。おとなでさえ自分たちのことで手一杯になってしまいがちな状況のなか、子どもたちが抱える不安の大きさは想像に難くありません。

被災地だけではありません。被災地の状況がテレビで繰り返し、そして長時間にわたって伝えられた2011年3月の東日本大震災では、多くの専門家が、画面を通じて子どもたちが受ける影響を指摘しました。

子どもの心に落ち着きを与え、トラウマ(心的外傷)の傷口を最小限にするため、専門家やボランティアではなく、普段から一番身近にいるあなたにしかできないことがあります。

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1. 「安心感」を与えてください

子どもたちに寄り添ってください。いつもよりも少し意識して、親や周りのおとなが一緒にいる時間やスキンシップを増やしてください。可能なら、家族で一緒に楽しく遊ぶ時間を持ってください。

子どもの不安を笑ったりせず、子どもたちの言うことに耳を傾け、疑問や心配に思うことには、安心感を与えながら、簡単な言葉で、穏やかに、そして正直に答えてください。

「今はもう大丈夫だよ」「ここは大丈夫で安全だよ」「みんなで守ってあげるから大丈夫だよ」ということをしっかり伝えながら、質問や疑問には、できるだけ簡潔に説明してください。もし答えが分からなくても、「分からない、けれど、様子を見てみましょう」でもいいのです。子どもが、心に抱く恐怖を言葉にすること、そして、それを誰かがちゃんと聞くことは、子どもたちの質問に答えることと同じくらい重要なことです。

こんな風に語りかけても良いでしょう。「大丈夫。○○ちゃんを助けるために、日本中の、そして世界中のみんなが頑張ってくれているから」と。

まだ言葉を発していなかったり、言葉によるコミュニケーションができない子どもたちにも、同じように声をかけてください。みなさんの表情や仕草が、子どもたちに安心感を与えます。

子どもの話(訴え)を途中で止めさせたり、子どもたちが置かれている状況を一方的に判断しないでください。

子どもたちを安心させられるようなことなら、どんなことでもやってみてください。子どもの隣に座って、ふたりだけの静かな時間を過ごすことでも助けになるかもしれません。

2. 「日常」を取り戻すことを助けてください

どんな些細なことでも、可能な限り「普段の習慣」を保つようにしましょう。食事、歯磨き、着替え、睡眠時間を普段通りに保つことは、子どもたちを安心させる手助けになります。

「遊び」は子どもたちの大切な「日常」です。家、避難所、テント、体育館、教室、広場など、「安全」が確保できれば、どんな場所でも結構です。おもちゃや遊び道具として使えるものを用意し、子どもたちが苦しい状況を忘れられるよう、子どもたちの相手をしてください。小さな子には、もし可能なら、その子のお気に入りのおもちゃを、それがなければ、代わりになりそうなおもちゃや遊び道具を与えましょう。手遊び歌や指相撲など、道具を使わない何気ない遊びや自然とスキンシップが取れる遊びも楽しさや安らぎにつながります。もし忙しくて相手をすることができないのであれば、子どもに「おもちゃを大切にしてね」とか、「おもちゃに話しかけたりしてね」と伝えましょう。

避難所のように多くの方々が集まる場所なら、子どもが安心して遊べるスペース(「子どもにやさしい空間」)をつくることも、子どもたちはもちろん、忙しいおとなにとっても有効な方法です。

「子どもにやさしい空間」の詳細やガイドブックはこちらをご覧ください。
https://www.unicef.or.jp/news/2015/0355.html

3. 被災地の映像を繰り返し見せないでください

乳幼児は、おとなのように言葉での理解ができないので、映像や画像が伝える事実を十分に把握できません。おとな以上に映像や画像から大きな衝撃を受ける可能性があります。時間の感覚がまだ発達していない子は、過去の出来事を録画再生したものを「今この瞬間に起きている」と思ってしまいます。自分を中心に世界や物事を捉えるので、見たものや聞いたものが自分と無関係とは思いにくく、「同じようなことが自分の近くでも直ぐに起きるのではないか?」とか、「自分のせいでこの災害が起こってしまったんじゃないか?」といったことを思ってしまいがちです。

ニュースやインターネットの情報を自発的に得ることができる子どもたち(小学校3〜4年生より上の年齢)も、感受性が豊かであるために、被災地の映像に触れる時間があまり増えると、コントロールできない程、感情移入をしてしまう恐れがあります。

日ごろよく見ていたテレビ番組やお気に入りのDVDなどがあったら、できるだけそうしたものを見せてください。

4. 子どもは、自分で回復する力を持っています

災害を経験したり、被災地の映像を繰り返し見た子どもたちには、次のような様子が見られます。

  • いつもよりも元気がない
  • イライラしたり、興奮しやすくなる
  • 日頃していた好きなことをしなくなる
  • 災害のことばかり気にしている
  • 怖い夢を見る
  • 眠れない
  • ご飯やおやつを食べない
  • 頭が痛い、おなかが痛いなどの体の不調が現れる
  • 保育園や幼稚園、学校に行きたがらない
  • お母さんやお父さんから離れたがらず、甘えん坊になる

「病気になるのでは?」「治療が必要?」と不安になりますが、子どもが一時的にこうした行動や様子を示すことは、いたって自然で正常なことです。むしろ、こうした行動や様子を一時的に示すことで、子どもは、自分を守ってくれる大事なおとなとの信頼関係や、自分の生活の安定を確認します。信頼できる身近なおとなに働きかけて、自らの心の状態を回復しようとしているのです。「安心感」を与え、「日常」を取り戻すためのヒントをうまく使いながら、見守ってください。

子どもが地震や避難の絵を描いたり、人や町が被災した場面の「ごっこ遊び」も、遊びを使って気持ちを整理したり表現したりするために必要なこと。子どもが自ら回復しようとしている過程なのです。やめさせたりせず、見守りましょう。

※注意すること
上記のような行動や様子、「ごっこ遊び」が数週間続くようなら、子どもがうまく気持ちの処理をできていない可能性があります。専門家の助けを求めてみましょう。

カウンセリングや、絵画・運動・遊びを通したセラピーなど、専門家による「心のケア支援」は、信頼できるおとながそばにいて、子どもたちが安心できる状態が確保できて、はじめて提供できる支援です。

カウンセリングや、絵画・運動・遊びを通したセラピーなどの支援には、専門的な知識や研修が必要です。専門的な知識が不十分、あるいは、研修を受けていない方々によるこれらの「支援」は、子どもたちの心の傷を広げる可能性があります。絶対に避けてください。

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PR TIMES

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