赤ちゃん絵本『いない いない ばあ』の発行部数が700万部超え

赤ちゃん絵本『いない いない ばあ』の発行部数が700万部超え

1967(昭和42)年に出版されて以来、半世紀以上にわたって「初めて赤ちゃんに読んであげる絵本」として親しまれ続けてきた『いない いない ばあ』(松谷みよ子・ぶん 瀬川康男・え=童心社)が、累計339刷り、日本国内の絵本で発行部数が初めて700万部を超えるというニュースが報じられました。

『いないいないばあ』(松谷みよ子・ぶん 瀬川康男・え=童心社)

ほとんどの人が、まだ記憶すらもない時代に読んだというか、読み聞かされたことがある絵本ではないでしょうか? 

文字はほとんどなく、顔を隠した「にゃあにゃ(猫)」「くまちゃん(熊)」やネズミ、「こんこんぎつね(キツネ)」「のんちゃん(人間)」らが登場しては、次なるページで「ばあ」と正体を明かしていくという、説明だけであればとてもシンプルな内容です。

「いない いない ばあ」そのものは、赤ちゃんをあやすためによく使われる遊びですが、それが擬人化された動物たちによって行われる楽しい絵本です。

単純なように見えますが、自らが赤ちゃんに「読んであげる立場」となって改めて読み直すと、登場する動物らのチョイス、ページの色合い、字体などにも細かい工夫が凝らされていることに驚かされます。

まだ、このような絵本が存在しなかった54年前と現在では、世の中も大きく変化しました。この時代に人気だった小説も音楽も映画もテレビ番組も、もはや「古典」と位置づけられてしまうものがほとんどでしょう。

しかし『いない いない ばあ』は、初版時からほぼ内容に変化がないまま、2021年の現在も古さを感じさせず、現役の絵本として愛され続けているのです。

すでに作者の児童文学作家・松谷みよ子さん(2015年に89歳で死去)も、挿絵を担当した画家・瀬川康男さん(2010年に77歳で死去)も鬼籍に入られてしまいましたが、その作品がこれから22世紀まで生きようという子どもたちにも愛されているというのは素晴らしいことですね。

松谷さんの作品はほかにも『龍の子太郎』『ちいさいモモちゃん』『まえがみ太郎』『オバケちゃん』などあり、数多くの作品が時代を超えて愛され続けています。ですが、その中でも極限まで文字を省いて作られ、赤ちゃんを対象に創作された『いない いない ばあ』が、700万部を突破したことには天国で驚いているかもしれませんね。

株式会社トーハンが累計100万部以上発行された絵本を紹介した小冊子『ミリオンぶっく2020』の統計によると、2020年版での絵本分野の累計発行部数は ①『いない いない ばあ』(682万部=童心社)、②『ぐりとぐら』(523万部=福音館書店)、③『はらぺこあおむし 通常版』(420万部=偕成社)、④『しろくまちゃんのほっとけーき』(319万部=こぐま社)、⑤『てぶくろ』(318万部=福音館書店)がベスト5なのだそうです。

シンプルにして奥が深い、そんな絵本の世界。数十年前に発刊された絵本を改めて見直してみるのも良いかもしれませんね。

文/ほいくらし編集部

【参考】

「いないいないばあ」が700万部突破 日本の絵本で初:朝日新聞デジタル
こころを育てる絵本たち ミリオンぶっく│オンライン書店e-hon