悩める親子に向き合う“児童精神科医”を山崎育三郎が熱演『リエゾン―こどものこころ診療所―』
主演の山崎育三郎(写真中央)、ヒロインの松本穂香(左)に加え、臨床心理士役の栗山千明(右)など、豪華なキャストも見どころの一つ。
文:ナレッジリング(看護師/保健師:朝倉奈津子)
凸凹を抱える子どもたちへのまなざしが光る
1月20日(金)にスタートする医療ドラマ『リエゾン―こどものこころ診療所―』は、児童精神科のクリニックが舞台。発達障害をはじめ、さまざまな「生きづらさ」を抱える子どもやその家族と真っすぐに向き合い、寄り添っていく温かな物語は、保育士のみなさんにとっても見どころ満載です!
『リエゾン―こどものこころ診療所―』
全国テレビ朝日系 毎週金曜よる11:15~0:15放送 ※一部地域で放送時間が異なります
<1月20日(金)スタート>
『リエゾン―こどものこころ診療所―』の原作は、『週刊モーニング』(講談社)で連載中の同名漫画であり(原作・漫画:ヨンチャン、原作:竹村優作)、累計120万部を突破している人気作品です。脚本を手がけるのは、映画『Dr.コトー診療所』をはじめ、映画『涙そうそう』(2006年)、映画『ハナミズキ』(2010年)などの感動作を世に放ってきた脚本家・吉田紀子。ヒューマンドラマの名手が、児童精神科の現場を繊細かつリアルに描き出します。
主演を務めるのは、持ち前の美声とスマートな佇まいで、ミュージカル界のプリンスと称される山崎育三郎。ドラマ『昭和元禄落語心中』で天才落語家役(2018年・NHK)を演じたほか、連続テレビ小説『エール』(2020年・NHK)でも“プリンス”こと佐藤久志役を熱演するなど、ミュージカルの枠を超えて独特の存在感を放っています。『エール』で見せた、甲子園での見事な独唱シーンを覚えている方も、多いのではないでしょうか。 さて、その山崎とコンビを組むのは、映画『君が世界のはじまり』、『みをつくし料理帖』(いずれも2020年)など数々の作品で主演を務め、唯一無二の空気感をまとう女優の松本穂香です。過去にも共演歴のある両者が、今作ではどんなキャラクターを生み出し、どんなコンビネーションを見せてくれるのか、期待が高まりますよね!
「子どもの苦悩」や「家族の思い」に寄り添う姿に感動
本作で山崎が演じる佐山卓は、郊外にある児童精神科クリニックの院長。実家が総合病院でありながら、叔母が営んでいた小さなクリニックを引き継いだため、一族からは「変わり者」のレッテルを貼られています。しかし、彼のそうした生き方には、ある理由がありました。そう、自身も発達障害(ASD:自閉スペクトラム症)を抱え、誰よりもその苦悩を理解していることから、患者である子どもたちやその家族とじっくり向き合える道を選んだのです。
一方の松本が演じる遠野志保は、寝坊や遅刻、忘れ物が日常茶飯事で、業務中もミスを連発してしまう小児科の研修医。研修中に重大な失敗を犯してしまったことで、自身が発達障害(ADHD:注意欠如・多動症)だと知り、一度は医師になる夢をあきらめかけますが……。佐山との出会いによって、児童精神科の道で子どもたちに寄り添うことを決意します。
子どもたち一人ひとりが抱える苦悩や家族の心情、そこに真っ向から向き合う医師たちの姿——。さまざまな思いを乗せた心温まる物語は、感動や涙を誘うだけでなく、児童精神科の医療現場を取り巻く、“社会的な課題”を見つめ直すきっかけにもなりそうです。
ドラマを楽しみつつ、発達障害への向き合い方も吸収できる
ところで、みなさんは本作のタイトルに使われている「リエゾン」という言葉をご存じですか? これはフランス語で「連携」「橋渡し」「つなぐ」という意味です。
本作では、佐山らがリエゾン精神医療に取り組む姿が描かれていますが、この活動はその名の通り、「医師や看護師、臨床心理士をはじめとする精神医療の専門家が他の診療科などと連携しながら、一つのチームとして総合的な医療サービスを行うこと」を指します。ただし、リエゾン精神医療を広い意味でとらえた場合、医療従事者同士が連携するだけでなく、教育や行政、福祉などとの連携が必要になるケースも少なくありません。つまり、リエゾンは保育士のみなさんにとっても関係の深いテーマなのです。 本作に登場するのは、コミュニケーションや集中が苦手だったり、得意なこと・不得意なことの差が大きかったりするがゆえに、時に周囲を困らせてしまう子どもたち。そうした凸凹が生じる発達障害の特性や向き合い方をストーリーの中から自然に吸収できるのも、このドラマの良さかもしれません。また、子どもだけでなく、その家族も物語のキーパーソンとなっているため、保護者に向けるまなざしや接し方についても、保育士として学ぶところがありそうです。
主人公の紹介とキャストのコメント(抜粋)
佐山卓(さやま・たく):山崎育三郎
郊外にある児童精神科「さやま・こどもクリニック」の院長。自身も発達障害(ASD)を抱えており、発達障害を凸凹と
呼んでいる。大病院「さやま記念総合病院」の御曹司でありながら、小さなクリニックで院長を務める道を選んだため、一族の間では変わり者の扱いを受けている。だが、その裏には「患者やその家族と触れ合う時間を大切にしたい」という佐山なりの信念があった。「さやま体操」と呼ばれる風変わりな体操をはじめ、毎朝決まったルーティーンをこなす。チェロが趣味。
「初めて原作を読ませていただいた時、今、自分自身が子育てで感じている想いと重なる部分が多く、涙があふれました。佐山が子どもと向き合う姿を見ていると、人に寄り添うことや話を聞いてあげること、何も言わず抱きしめてあげることの大切さがわかります。そして、そうした姿には、人生を豊かにするヒントが隠されている気がしています。大切な人に会いたくなるような、そんな心温まる作品をお届けしたいと思っています」(山崎育三郎)
遠野志保(とおの・しほ):松本穂香
寝坊、遅刻、忘れ物が日常茶飯事のドジな研修医。子どもが大好きで、子どもたちからも慕われているのだが……。大学病院で小児科の研修を受けていた際、ミスを連発した上に、重大な事故につながりかねない失敗をしてしまい、教授から「医者になることはあきらめろ」と言われてしまう。そんな中、自身が発達障害(ADHD)であることを知り、医者になることをあきらめようとするが、佐山との出会いが背中を押すことに。
「私たちのまわりには、原作で描かれているように、発達障害で悩んでいる親御さんやご家族もたくさんいらっしゃると思います。ですから、初めてお話を聞いた時は、生半可な気持ちでは向き合えない作品だなと感じました。見終わった後に温かい気持ちになるような、また『1人ひとり違っていいんだな』ということをみんなが認めて前に進んでいけるような、そういう強さのある作品になればいいなと思います」(松本穂香) 医療ドラマというと「難しい」「怖い」といったイメージがあるかもしれませんが、本作はメスを持たない医師が主人公という、ある意味とても斬新な作品です。また、子どもの「心」や「発達」が大事なテーマになっていることから、保育士のみなさんにぜひ注目してほしい作品でもあります。
毎週金曜日の夜は、温かなヒューマンドラマ『リエゾン―こどものこころ診療所―』で、心癒される時間を過ごしてみませんか?
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