「保育日誌の書き方で迷う…」全年齢で使えるポイントをご紹介【ぽん先生 保育のお悩み相談室】

保育日誌と言えば、新人保育士のうちは苦手意識を持ちやすいものです。何を書いて良いのか迷った経験も多くあるのではないでしょうか。また、新人保育士ではない方も「私はしっかり書けています」と自信を持って言える方はそう多くないように思います。
保育日誌の書き方について調べてみると、「子どもの姿をありのままに書く」「一日の流れではなく特定の場面について書くようにする」「否定的なことばかりでなく肯定的なことも書く」など、様々なポイントを目にしますね。しかし、具体的にはどのように書けば良いか迷ってしまうもの。子どもの姿をどのように捉え、どのように書くのが良いのでしょうか。
今回は、日誌を書く上で年齢に関係なく使える書き方のポイントをご紹介します。
全年齢に使える書き方のポイント
まずは「子どもの姿」について考えてみましょう。
ここでポイントとなるのは
最初の子どもの姿 → そこに保育士がどう関わったか → それによって子どもの姿がどう変わったか
という流れです。
食事について2つの例を挙げてみましょう。
「スプーンを使って1人でご飯を食べられなかったものの、保育士がご飯をスプーンにのせてあげると1人で口まで運んで食べることができた」
「バナナの皮を1人だとむけなかったが、保育士が皮の端をむくと残りは1人でむくことができた」
このような内容を、具体的に細かく書くと良いでしょう。
また幼児クラスになれば、友達同士のやり取りに対して保育士の関わりを書くことが多くなります。
例えば、「A君とB君がトラブルになり、A君はB君を叩こうとしたものの、『何が嫌だったの?』と保育士が聞くと『ぶつかったのが嫌だったよ』と言葉で伝えることができた」というような関わりです。
年齢に応じて保育士が援助する内容は変わりますが、日誌に書くべき流れは変わりません。この流れを意識すると、書き方で迷うことはなくなるでしょう。
保育士の関わりが大切なその理由
なぜ保育日誌はこのような書き方が大切なのでしょうか。これはヴィゴツキーの提唱した「発達の最近接領域」と大きくかかわっています。
ヴィゴツキーは子どもが1人でできることとできないことの間に、「他者からの援助があればできること」の領域を発見しました。「保育士が関わったことで子どもの姿がどう変わったか」という視点はここに着目したものであり、この領域への援助によって子どもの発達を促すことができるのです。
また、書く内容については「今週は食事面について」「来週は運動面について」など、予め決めておくことが大切です。日誌の内容に連続性を持たせることで、小さな変化に気付くことができるため、より丁寧に子どもを捉えて日誌を書くことができます。そうすることで保育の流れが見えてきて、子どもの発達を見直す上で日誌がいつでも活用できる記録となるのです。
失敗も含めて書こう
ここで注意していただきたいのが、成功したことだけを記入するのが保育日誌ではないということです。
例えば、「バナナの皮がむけず、保育士が手伝おうとしたら怒ってバナナを投げてしまった」ということも考えられます。
保育士も完璧ではありません。しっかりと考えた上で子どもを援助していても、上手くいかないことは当然あります。しかし、失敗することは悪いことではないのです。失敗も保育の大切な過程の1つであり、その子を捉えるための1つの視点です。ここで感じたことを「評価・反省」へ書くようにしましょう。
「上手くいかなかったので次はこんなことをしてみたい」
「今日は上手くいかなかったものの、しばらく同じように関わりながら様子を見ようと思う」
このように、「子どもの姿」を見て保育士が感じたことや保育の改善点、時には保育士の願いを書いても良いのです。失敗を踏まえて、次に向けてどのような関わりを考えるのかは保育そのものです。後に見返した時に役立つように、ありのままの事実を書くようにしましょう。もちろん、上手くできた時には喜びの思いも書いてくださいね。