製作で友だちのまねをする子にはどんな声かけが必要?その子らしさを引き出す関わりとは【ぽん先生 保育のお悩み相談室】

みなさんは、製作活動で友だちのまねをよくする子の対応に、困った経験はありませんか。「好きに作っていんだよ」と言葉をかけてみるものの、やはり友だちのまねをしてしまう。そんな場面に出会うと、どうやって個性を伸ばしてあげればよいか、迷うこともあると思います。
しかし、まねすることは悪いことではありません。今回は、友だちのまねをして製作する子の「個性を引き出す関わり」について、解説していきたいと思います。

この記事の執筆者
ぽん先生(保育士)
東京都で働く現役の保育士。自身の子育てや育休の経験を通して家庭保育の大変さを痛感し、子育て支援のための活動を始めた。「少しでも楽しく子育てを!」をモットーに育児の楽しさを伝える活動を精力的に行っている。
模倣は学びの入り口
実は、「模倣」は自己形成の第一歩です。例えば、子どもたちは身近な大人の姿を観察し、それをまねするなかで、人との関わりや社会のルールを覚えていきます。つまり模倣を通じて、自分なりの考え方、やり方が身に付くのです。
それは製作活動についても同じです。子どもなりに「こんなことをやってみたい」という思いで模倣し始め、「自分にもできた」という達成感を味わいながら、自己が形成されていくのです。そうした流れは、自分なりの表現を創造するための土台にもなります。
まねするという行為そのものだけに捉われてしまうと、もっと個性を出してほしいと思うかもしれません。しかし、発達段階のにおいて模倣が持つ意味を知っていれば、人間として自然な行為だと受け止められるでしょう。
自分なりの表現を伸ばすには?
では、友だちの作品をまねする子どもがいた場合、どのように関わるとよいのでしょうか。大切なのは、模倣した作品との違いを探すことです。
例えば、同じ風景をみんなで描いたとしても、同じ作品は1つとしてありません。そして、そこに表れる違いこそが、それぞれの個性です。製作活動も同じで、友だちのまねをして作ったとしても、必ず違う部分が出てきます。
ですから、保育士はそういった違いに対して、「あなたはここをこんなふうに作ったのね」「こんなふうに描くなんて面白いね」と受け止めてあげてはどうでしょう。最初は友だちのまねをしていたはずが、保育士の言葉かけによってオリジナルの作品になっていたことを知る。それは、子どもにとって大きな気付きになるはずです。
このように、個性というのは意図して表現されるものではなく、知らず知らずのうちにまわりとのズレとして表出されるものです。そうやって表れた個性を認めてもらったり、面白がってもらったりする経験が、その子の創造力を伸ばしていくのではないでしょうか。
成長のチャンスを見逃さないで
「友だちのまねをしようとする」という行為は、「どうすれば作れるのか」「どうやって描いたらよいのか」と細かな部分まで観察し始めた何よりの証拠です。そもそも作品を作ることに興味がなければ、「終わらせること」だけが目的となり、いい加減な作品になってしまいます。
また、製作活動に対する意欲だけではなく、「あの子みたいになりたい」という気持ちが、模倣の動機になっているケースもあります。そのような場合は、製作活動を通して友だちと思いを共有し、友人関係を深めるチャンスにもなるでしょう。
まねをするという行為は、自分の思いを表現する楽しさに気付き、創作意欲が湧いてきた証でもあります。「まねするのはおかしいよ」と注意してしまっては、創造性の芽を摘んでしまうことになりかねません。そうならないためにも、友だちをまねすることもその子の個性だと保育士が受け入れ、面白がってあげることが大切でしょう。


