子どもが主体の保育って何?“主体性”のよくある間違いと年齢別のポイントを解説【ぽん先生 保育のお悩み相談室】

昨今の保育において、“子どもの主体性”が重要視されるようになりました。ところが、どのように関わるべきかといった具体的な方法についてはあまり多くありません。
「やりたいことをやりたいだけやる」というようなスタンスに対して、疑問を抱いている保育士の方も少なくないと思います。果たしてそのような保育は本当に子どもの主体性を尊重しているのでしょうか。今回は「子ども主体の保育」について、解説していきます。

この記事の執筆者
ぽん先生(保育士)
東京都で働く現役の保育士。自身の子育てや育休の経験を通して家庭保育の大変さを痛感し、子育て支援のための活動を始めた。「少しでも楽しく子育てを!」をモットーに育児の楽しさを伝える活動を精力的に行っている。
“子ども主体の保育”によくある間違いとは
結論からいうと、「自分の好きなことを好きなだけやる」だけでは子どもが主体の保育とは言えないでしょう。「自分の好きなことを好きなだけやる」という保育が当たり前になってしまうと、子どもたちにとって友達は「自分のやりたいことをいつも妨げる存在」だと捉えるようになりかねません。そうなれば社会性が身につくどころか、逆に阻害されてしまいます。
「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」には「協同性」「道徳性・規範意識の芽生え」「社会生活との関わり」などが示されています。つまり、子どもの主体性とは「周りとの関わりの中で育つ力」なのです。
このようなことから、子どもの主体性を考える時は「周りとの関わり」を意識して保育を行うことが大切です。ただし、トイレや着替えなどの基本的生活習慣については、個人の自由であることを忘れてはいけません。
年齢別の注意点
保育を行うにあたって具体的にどのような点に注意すると良いのでしょうか。
例として、製作活動について考えてみましょう。3歳児クラスの活動であれば、「みんなハサミで折り紙を切って遊んでいるよ!〇〇くんもやってみない?」といった言葉かけで良いと思います。一方で、5歳児クラスでは「みんなはどんなものを作りたいかな?」と全体に投げかけ、子どもたちが話し合いながら活動を進めることが大切になります。
つまり、3歳児クラスでは「私」が主体でしたが、5歳児クラスでは「私たち」へと主体が移っていく視点を持つことがポイントです。そのためには、子どもたちが自由に意見を出し合い、民主的にまとめていく過程が必要になります。その援助を行うのが保育士の役目だと言えるでしょう。
その中間にあたる4歳児クラスでは、簡単なことを決める話し合いから始めると良いと思います。もちろん、ここで挙げた年齢は目安であり、子どもたちの実際の姿によって保育内容を決めることは忘れないでくださいね。
ただし、全員が好き好きに活動することが必ずしも良くないわけではありません。クラス全体で「それぞれが自分の好きなものを作りたい」と意見が一致したのであれば、その主体は「私たち」です。大切なのは「何が主体になっているか」を意識することだと言えるでしょう。
子ども自身も環境の一要素
主体性を育むうえで「自分の好きなことを好きなだけやる時間」はもちろん大切です。しかし、保育園は集団生活の場であり、幼児期には「自分は集団の一員である」という感覚を育むことも忘れてはなりません。
保育所保育指針の「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」には、「この時期の保育においては、個の成長と集団としての活動の充実が図られるようにしなければならない」と書かれています。つまり、子どもは「自分も環境の一要素である」と感じられるような配慮が求められるのです。
例えば、運動会の競技について話し合う場面で、「綱引きがいい!」「リレーをしたい!」と言えば、その発言によってクラス全体の活動を決めるきっかけになるかもしれません。それと同じように、自分が好き勝手な行動をすれば、良くない方向へクラスの雰囲気に大きく影響が及ぶのです。
そうした経験を通して、子どもたちは「自分の発言や行動が周りに影響を与える」という感覚を身につけていきます。その実感こそが「自己中心的な選択」から「仲間との繋がりの中で自己表現をすること」の土台となるのではないでしょうか。


