脳科学者・中野信子先生の子ども悩み相談 #01 ~子どもたちの「生きづらい」を考える~

脳科学者・中野信子先生の子ども悩み相談 #01 ~子どもたちの「生きづらい」を考える~

脳科学者でベストセラー著者としても知られる中野信子先生が、幼少期から思春期の子どもが抱きがちな悩みに対して、脳科学の見地からアドバイスを送ります。子どもたちの悩みやイヤな気持ちを上手に汲み取って、保育の現場でぜひ活用してください。

連載第1回目は、「友だちとのつき合い方」について。子どもにとっての友だちは、家族以外ではじめて親しくつきあう存在です。一緒に楽しく遊びながら関係を深めていくことで、人との関わり方を学びます。

しかし、それもすべては相手あってのこと。いつも自分の思いどおりにはいきません。傷ついて、気持ちとは裏腹な態度を取ってしまうこともあると思います。仲良くしたいのにどうしていいのかわからないジレンマからくる、モヤモヤした気持ち——。その解決の糸口は、脳の仕組みに隠されています。

Q:子どもの悩み

遊ぶ約束をしていた友だちが、
ほかの子に誘われてどこかに行ってしまった。
「裏切られた」と思い無視しています

中野信子先生からのアドバイス

中野信子先生

友だちがどこかに行ってしまった理由は本人でないとわかりませんが、いずれにせよ、いまあなたは友だちの状況がわからなくて困っている状態ですよね。友だちはなぜどこかに行ってしまったのか? まずそれを聞かなければ、裏切られたかどうかもわかりません。ほかの子に強くいわれて断れなかったのかもしれない。または、なんらかの借りがあったのかもしれないし、ただうっかりしてあなたとの約束を忘れていただけかもしれません。必ずそこには、なんらかの理由があるはずです。

でも、理由がわからないうちから「裏切られた」と思って無視してしまうと、それは逆に、友だちに対する裏切りになりませんか?

「相手の状況を理解しようとする」役割は、脳の前頭前野にある「眼窩前頭皮質」という場所が行っています。たとえば、相手が考えていることに共感したり、悲しそうな人を見たら自分も悲しい気持ちになったりする働きです。また、「あの人が好き」「この人は嫌い」といった「好み」も担当している部分です。ただし眼窩前頭皮質は、子どものうちはまだ十分には発達していません。

あなたは、すごく友だちのことが好きなのですよね。でも、意外と友だちのことを本当は考えていないのかもしれません。友だちには、友だちの事情があります。相手が期待通りに動かないことを、まずあなたが納得する必要があるのです。そうしなければ、また別の人とも同じことを繰り返してしまうでしょう。もし、本当に仲直りしたいなら、素直な気持ちになって「どうしてそんなことをしたの?」と聞くのがいちばんいいと思います。

もうひとつあなたに伝えたいのは、無理に仲直りしなくて構わないということです。仲直りできないあなたが、決しておかしいわけではありません。その友だちと、これからもずっと親友のままでいたいですか? それとも、適度に浅い付き合いでのんびりと接していきたいですか?

あなたは、自由に決めていいのです。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 協力/長野真弓 写真/川しまゆうこ

※この連載は、『中野信子のこども脳科学 「イヤな気持ち」をエネルギーに変える!』(フレーベル館)をアレンジして掲載しています。

中野信子のこども脳科学「イヤな気持ち」をエネルギーに変える!

著者名:中野信子
出版社:フレーベル館
2021年8月発売

なかの・のぶこ
脳科学者・医学博士・認知科学者。1975年、東京都に生まれる。
東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学などで教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。
著書には、『サイコパス』『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『空気を読む脳』『ペルソナ』(ともに講談社)、『脳を整える 感情に振り回されない生き方』(プレジデント社)などがある。
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