【プロが教える】人気FPに聞く、「貯め上手」になるための方法「3%賃上げはうれしいけれど、まだまだお金は足りません」|ファイナンシャルプランナー・飯村久美

【プロが教える】人気FPに聞く、「貯め上手」になるための方法「3%賃上げはうれしいけれど、まだまだお金は足りません」|ファイナンシャルプランナー・飯村久美

2021年11月、政府が保育士など福祉職の賃金を3%程度(月額9000円)引き上げる方針を固めたと報じられました。確かに3%のアップはうれしいことですが、保育士の収入の低さは以前からたびたび問題視されてきたこと。いまも収入の低さに悩んでいる人は多く、賃金が3%アップしたからといって、手放しでは喜べないかもしれません。

となれば、日頃から「お金を貯める」という視点を持つことはとても大事です。ここでは、「しっかりとお金を貯めるためにはどうすればいいか?」について、メディア出演も多い、人気のファイナンシャルプランナー・飯村久美先生にアドバイスをいただきました。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)
取材・文/清家茂樹 写真/櫻井健司

「なんとなく」ではなく、貯める金額や時期を明確にする

お金を貯めようとするのなら、当然「節約」することがポイントになります。でも、がまんを強いられる節約は、間違いなく長続きしません。必要なのは、「節約を楽しく続けられる」という状況をつくること。では、どうすれば節約を楽しく続けられるのでしょうか? その一つとして、「貯める金額や時期を明確にする」という方法があげられます。

わたしが以前、相談に乗った女性を例に詳しく説明しましょう。その女性は家計のやりくりに苦労していました。毎月の食費をそれまでより2万円抑えることができれば問題はなくなるのですが、そうするのは嫌だといいます。

そこで、わたしは彼女に「夢」を語ってもらうことにしました。そのときに語られた夢は、「5年後に夫が勤続20年を迎えて長期休暇を取れるので、家族でハワイ旅行に行きたい」というもので、必要な予算は100万円。月に2万円の貯金ができれば、5年後には120万円になります。そのため、「家族みんなが努力をして月に2万円を貯金すれば、5年後にハワイ旅行に行ける」という夢をより明確に持ち、実現させるように提案したところ、月に2万円の節約になんなく成功できました。

わたしたち人間は、誘惑に弱い生き物です。「なんとなく貯めたい」というだけでは、ふだんの無駄遣いをなかなかなくせません。だからこそ、「いつまでにいくら貯めてどんなことに使うのか」ということを明確にするのです。それによって、節約のために行動することが容易になり、結果的に貯金に成功する可能性が高まるでしょう。

銀行口座を「2つ」にわけて、貯蓄は「天引き」にする

それ以外にも、お金を貯めるために大切なことをいくつか紹介しましょう。基本ルールとして覚えておいてほしいのは、次の3つです。

【お金を貯めるための基本ルール】
● 銀行口座を「2つ」にわける
● 貯蓄は「天引き」にする
● 財布のなかをごちゃごちゃにしない

順に解説していきます。まずは、「銀行口座を『2つ』にわける」から。具体的には、「使う口座」と「貯める口座」にわけるということですが、「使う口座」にするのは給料が振り込まれる口座がいいでしょう。そして、家賃や水道光熱費、通信費といった固定費の引き落とし、クレジットカードの支払いなどは「使う口座」から行います。

一方で、給料が振り込まれたら、自分で決めた貯金額を「貯める口座」に入金します。そうやって貯金を確保したうえで、「使う口座」に残ったお金を日々の生活費やお小遣いなどにあてるわけです。そうすれば、お金を使い過ぎてしまって目標の貯金額を残せないといった問題を未然に防ぐことができますよ。

そういう意味では、「貯める口座」の開設先として、自分の生活圏にはない金融機関を選ぶのもおすすめです。いつでもお金をおろせるような状況にあると、せっかく確保したはずの貯金に手をつけてしまうこともあるからです。

いまはコンビニ内に設置されたATMでも簡単にお金を引き出せますが、生活圏のなかで実際に銀行の前を通るのと通らないのでは、「貯金に手をつけるかどうか」その意識は確実に変わってきます。もっというと、「貯める口座」のキャッシュカードは持ち歩かないようにするのがベストでしょう。

続いて、「貯蓄は『天引き』にする」ということについて。「貯める口座」をつくったとしても、その口座に入金するには自分自身の意志の力が必要です。ときには入金を忘れてしまったり、「今月は出費が多そうだから、貯金しなくてもいいか」と考えてしまったりすることがあるかもしれません。そうならないためにも、強制的に貯蓄するようなかたちをとるのです。

おすすめなのは、自動積立定期預金や勤務先の財形貯蓄制度などを使って自動的に天引きされるようにすること。それによって、自分では特別なことをなにもしていないのに、いつの間にかお金が貯まっていくことになります。また、超低金利時代のいまは、定期預金にお金を入れてもほとんど利子はつきませんが、定期預金には普通預金より取り崩しがしにくいというメリットがあります。先にもお伝えしましたが、貯めるお金には絶対に手をつけないということが鉄則なのです。

ごちゃごちゃ財布の人は、お金を貯められない?

3つめの基本ルールは、「財布のなかをごちゃごちゃにしない」というものです。みなさんの財布はどうですか? ごちゃごちゃとたくさんのレシートをため込んで、パンパンにふくらんでいる人はいませんか?

財布の扱い方には、その人のお金に対する考え方や関わり方がしっかりとあらわれます。お金を大事に扱っている人の財布は、レシートでパンパンになることもなくすっきりしていて、入っているお札も種類別に向きがそろえられています。でも、お金の扱いやお金に対する考え方が雑な人の場合は、それこそレシートであふれんばかりになっています。

レシートとは、自分がなににいくらを使ったかの「記録」です。それを振り返ることで、自分が無駄遣いをしていた事実に気づくこともできます。つまり、レシートには、これからの自分が「お金を貯められる体質」になるためのヒントが隠されているということ。レシートをためっぱなしにするのではなく、週に一度でもいいので見返す習慣をつけましょう。

お金の専門家のファイナンシャルプランナーであるわたしも、近所のコンビニに寄ると、ついついスイーツの新商品を買ってしまいます(笑)。でも、レシートを見返してその事実に気づいたなら、「ちょっとコンビニでの出費が多いから、今日はやめておこうかな」というふうに考えられます。お金を無意識に使うのではなく、自分で自分をコントロールしながら、意識的に使うことを忘れないでください。

繰り返しますが、レシートを見ていないのは、自分のお金の流れをまったく把握できていないということです。それこそキャッシュレス化が進むいまは、無意識のうちにお金を使いやすくなっている時代。そのなかで自分のお金の流れを把握するには、レシートを定期的に見返すということがとても重要なのです。

1カ月だけでいいので家計簿をつけてみる

レシートを見返すことにもつながりますが、「1カ月でもいいので家計簿をつけてみる」ということも、ぜひ実践してほしいと思います。家計簿というのは、これからお金を貯められるようになるために、とても大切な習慣だからです。

なかには、「家計簿なんて面倒くさいな」と思う人もいるでしょう。そういう人は、本当にざっくりした項目にわけるだけでもかまいません。たとえば、生活に欠かせない「食費・日用品費」、自分のために使う「お小遣い」、あとは「その他」の3項目でもいいでしょう。

そうやって1カ月だけでも家計簿をつけて、自分自身の行動を振り返ってみてください。きっと、「自分がどんなことにいくらお金を使っているのか」「なにが必要でなにが不要か」がはっきりと把握できるはずです。そこが見えたら、あとは毎月の予算を決めるだけ。たとえば、食費・日用品費は4万円、お小遣いは3万円、その他は6万円と決めたうえで、その予算内に収まるよう自分自身に意識づけをし、実践していきましょう。

その際のポイントは、仮に食費・日用品費が4万円だった場合、週の頭に1万円を財布に入れて、週内はそれ以上使わないようにすることです。そうすれば、予算をオーバーすることがありませんから、もう家計簿はいらなくなります。つまり、1カ月だけ家計簿をつけるというのは、家計簿を使わずともしっかりとお金を残せるようになるための方法でもあるのです。

もちろん、家計簿をつけることが性に合っているという人は、そのまま継続してもいいでしょう。手書きのものでもいいですし、簡単に使える家計簿アプリもたくさんあります。いろいろと試してみて、自分に合っているものを使ってみてください。なかには、収入や住んでいる地域が自分に近い人が、どれくらいの家計で生活しているのかの平均を見られるアプリもありますが、自分と近い立場の人の事例を確認するのは大いに参考になりますよ。

それでは、ここに紹介した基本ルールを参考にして、「貯め上手」な保育士さんを目指してください。

ファイナンシャルプランナー
金融機関在職中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。退職後、自らの経験から、お金の正しい知識を身につけることが「やりたいこと」や「夢」につながるだけでなく、「生活を守る手段」であると痛感。その経験を伝え、ライフプランを通じて家族が夢を持ち、一人ひとりが自分らしく生きるサポートをすることを目的にとして、2006年にFP事務所を開業(https://www.fp-iimura.jp/)。テレビやラジオ出演、セミナー講師など幅広く活躍中。著書に『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください』(アスコム)、『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)などがある。