【プロが教える】知っておきたい日々の「節約」基本原則「気づかないうちに無駄遣いをしていませんか?」|ファイナンシャルプランナー・飯村久美

【プロが教える】知っておきたい日々の「節約」基本原則「気づかないうちに無駄遣いをしていませんか?」|ファイナンシャルプランナー・飯村久美

どんなに高給を得ている人であっても、稼いだぶんをすべて使い切ってしまったらお金は手元に残りません。お金をしっかり残すために欠かせないのは、「節約」です。給与がなかなか上がらず、ずっと収入面が問題視されてきた保育士であれば、より強く意識したいところではないでしょうか。

今回は、「自分でも気づかないうちに無駄遣いをしているかも」という人に向けて、メディア出演も多い人気のファイナンシャルプランナー飯村久美先生に、いますぐ実践するべき節約法を教えていただきました。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)
取材・文/清家茂樹 写真/櫻井健司

なによりも最初に取り組むべきは、「固定費」の見直し

わたしは、ファイナンシャルプランナーとしてクライアントの相談を受けた際に、必ず取り組んでもらうことがあります。それは「節約」のために、まず「固定費の見直し」をすることです。

固定費というのは、毎年あるいは毎月固定で支払っている支出のことで、住居費などがそれにあたります。ただ、「今月はちょっと家賃を抑えたい」と考えても、そうすることはできませんよね? つまり、固定費が大きければ大きいほど、ふだんからいくら節約していてもお金は残りにくくなるということ。だからこそ、見直しが必要なのです。

固定費としてまずあげられるのは、先に述べた住居費です。賃貸物件に住んでいる人なら毎月の家賃、持ち家の人なら住宅ローンとなるでしょう。わたしがベストだと考える住居費は、収入の25%以下。でも、都心に住む人のなかには、住居費が収入の4割近くになるというケースも珍しくありません。もし、それくらいの割合になっている場合は、引っ越しを考えることをおすすめします。

また、光熱費も見直すべき固定費です。電気事業者やガス事業者を安いところに変更する以外にも、やれることはいろいろあります。電気の場合なら、「契約アンペア数」を見直すのもその1つ。契約アンペア数が大きいほど同時に使える電気量は増えますが、基本料金——つまり、固定費も高くなります。電気料金を知らせてくれる検針票を見れば、自分の契約アンペア数を知ることができるので、一度確認してみましょう。

たとえば、ワンルームマンションでひとり暮らしをしていて、同時にたくさんの電化製品を使うようなことがなければ30A(アンペア)でも十分。にもかかわらず40Aの契約をしていたら、それだけ毎月の固定費が大きくなってしまいます。ほんの数百円の違いですが、「ちりも積もれば山となる」の言葉どおり、無駄な固定費を減らすことが将来的に大きな節約につながっていくのです。

また、いまの時代であればスマホ代などの通信費を見直すことも必須でしょう。2021年4月に、3大キャリアが低料金ブランドを立ち上げましたが、そちらはこれまでの3大キャリアの料金と比べてかなり格安となっています。通信費が高いと感じている人は、検討してみてはいかがでしょう。いまの時代、日常生活に欠かせず絶対に手放せないものだからこそ、スマホ代を抑えることは欠かせませんよ。

加えて、いわゆる「サブスク」関連の料金も見直しが必要です。わたしのクライアントのなかには、自分でも気づかないうちに大手動画配信サービスの料金を3アカウント分支払っていたという人がいました(苦笑)。そこまでのことはなくても、サブスクの場合は「契約していることを忘れたまま支払いを続けていた」というケースが、決して珍しくありません。いま契約しているサブスクサービスが本当に自分に必要なものなのか、あらためて見直してみましょう。

ほしいものが本当に必要なのか、ひと晩寝かせてから冷静に考える

そうして固定費を見直したら、次は日々の生活での節約を心がけましょう。わたしからは、次の4つを節約のルールとして提案します。

【節約のための基本ルール】
● 「ひと晩寝かす」ことで衝動買いをやめる
● お得なサービスを利用してファッション・美容費を抑える
● 「メリハリ」をつけて食費を抑える
● クレジットカードは1枚か2枚に絞る

それぞれ解説していきます。まずは、衝動買いのやめ方です。衝動買いというのは、「これ、かわいい!」「ほしい!」といった一瞬の情熱だけでやってしまうもの。ですから、その一瞬の情熱が冷めるまで待てばいいのです。たとえば、ひと晩寝かして冷静になったところで、「本当に必要なものなのか」と考えてみましょう。そうすると、前日には「ほしい!」という気持ちが盛り上がっていたのに、その気持ちがうそのように冷めていたということも少なくありません。

それでも「本当にほしい」「必要」だというものであれば、買ってOK。そういうものには愛着が生まれますし、長く大事に使うことにもつながります。そして、長く使えば結果的に費用対効果も高くなるはずです。

続いて、ファッション・美容費の抑え方についてアドバイスをしましょう。わたしも女性ですから、ファッションや美容にお金をかけたい気持ちはよくわかります。それこそ、わたしがOLだった頃は、洋服が高くて本当に苦労しました。

でも、いまはリーズナブルな洋服を提供するブランドがどんどん増えていて、それらの支出が抑えやすくなっていますよね。もちろん、たまには「高くても本当にほしい」というものにお金をかけていいのですが、日常的に使うものはリーズナブルなブランドのもので十分だと思います。

また、結婚式など特別な場で使うファッションであれば、レンタルサービスを使うことで出費をかなり抑えられます。ワンピースなどの洋服はもちろん、なかなか買えないようなバッグを借りることもできますから、自分で購入するよりも多彩なファッションを楽しめるのではないでしょうか。

美容費を抑えるなら、「minimo(ミニモ)」というサービスをおすすめします。これは、美容院やネイルサロンなどの予約サービスなのですが、カットモデルやカラーモデル、ネイルのモデルなどの募集も行っているのがポイント。美容師やネイリストが自分の練習のために募集するケースがあるため、料金が1,000円や2,000円ということも珍しくないですし、ときには無料になる場合もあります。ぜひ利用してみてください。

食事には「メリハリ」をつけて、楽しむときはしっかり楽しむ

節約のための3つめの基本ルールは、「『メリハリ』をつけて食費を抑える」というものです。わたしのクライアントにも多いのですが、「節約しよう!」と決心すると、徹底的に食費を抑える人がいます。日常のなかで節約しやすい出費ですから、そういう考え方を持ちやすいのでしょう。ただ、日常生活はあくまでもからだが資本。しっかりと食べなかったために、からだを壊してしまっては元も子もありません。働けなくなったらその時点で家計が成り立たなくなるのですから、節約するところはしっかりと節約しつつも、健康を維持できるような食生活を心がけましょう。

付け加えるなら、おいしい食事はストレス発散にもなりますし、友だちと会食するのは心の衛生上いいことだと思います。

では、そういう楽しみを味わいつつ節約するためには、どうすればいいのでしょう。大切なのは、買った食材を無駄なく使い切って、食品のロスをなくすことです。それを意識するだけで食費は少しずつ抑えることができますし、外食をすると決めたときにしっかりと楽しむこともできます。食費はメリハリが大切——。そのルールを忘れないでください。

さて、節約のための4つめの基本ルールは、「クレジットカードは1枚か2枚に絞る」というものです。さまざまな企業がクレジットカードのサービスを提供しているいまは、放っておくとどんどんクレジットカードが増えてしまいます。ただ、なかには年会費が必要なものもありますよね。その費用分のサービスを享受できていて、それに満足しているのなら構いませんが、先のサブスクサービスと同じように、自分でも忘れたまま年会費を払い続けているというケースは、まさしく無駄です。

また、クレジットカードは「持っているだけで危険なもの」という見方もできます。なぜなら、不正利用や個人情報流出というリスクがともなうからです。無駄な年会費や不正利用などのリスクを避けるためにも、本当に必要なクレジットカードだけを残して、ほかは解約してしまいましょう。

ファイナンシャルプランナー
金融機関在職中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。退職後、自らの経験から、お金の正しい知識を身につけることが「やりたいこと」や「夢」につながるだけでなく、「生活を守る手段」であると痛感。その経験を伝え、ライフプランを通じて家族が夢を持ち、一人ひとりが自分らしく生きるサポートをすることを目的にとして、2006年にFP事務所を開業(https://www.fp-iimura.jp/)。テレビやラジオ出演、セミナー講師など幅広く活躍中。著書に『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください』(アスコム)、『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)などがある。
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