【プロが教える】「稼げる保育士」になるためのマインドとは? 「稼ぐ力」をつけて、お金をしっかり貯める|ファイナンシャルプランナー・飯村久美

【プロが教える】「稼げる保育士」になるためのマインドとは? 「稼ぐ力」をつけて、お金をしっかり貯める|ファイナンシャルプランナー・飯村久美

保育の現場は慢性的な人手不足であるにもかかわらず、低収入であることが問題視されてきました。そんななか、2021年11月には、政府が保育士など福祉職の賃金を3%程度(月額9000円)引き上げる方針を固めたことが報じられましたが……。それで課題が解決したかといえば、そうではありません。みなさんのなかには「まだ満足する収入には届かないよ」と、お金の悩みを抱える人もいることでしょう。

そんな保育士のみなさんのために、庶民に寄り添ったアドバイスに定評があるファイナンシャルプランナー・飯村久美先生に、「稼ぐ力」を身につける思考について聞きました。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)
取材・文/清家茂樹 写真/櫻井健司

自己投資で自分を高め、将来的な昇給につなげる

保育士に限らず、日本の平均取得給与はここ30年ほど変わっていないといわれており、「お金を貯める」ということ自体が難しくなっています。しかし、たとえそうだとしても、長い人生を考えればどうにかして貯蓄を増やし、安心して老後を迎える必要があります。

では、一体どうすればいいのでしょう。「稼ぐ力」を身につけることが、お金をしっかりと貯めるためのベースになるというのがわたしの考えです。たとえば、いくら節約したとしても元の収入が少なければ、残せるお金には限りがあります。また、投資などでお金を増やそうとして失敗してしまったとき、毎月の収入が少なければ生活が立ち行かなくなることにもなりかねません。そうならないためにも、しっかりと「稼ぐ力」を高めておいてほしいのです。

そのためにはまず、自己投資をすることが欠かせません。関心があるジャンルの本を読むなどして教養を得るのも一つの方法ですし、絵本専門士やリトミック指導者、イングリッシュエキスパート保育士といった資格を取るのもいいでしょう。時間がかかったとしても、少しずつ自分を高めていくことで、将来的な昇給に影響していくはずです。

園によって異なるとは思いますが、園長や主任になるために昇格試験が設けられているケースもあると聞きます。保育士という仕事は昇給しづらい職業ではありますが、肩書を得られれば話は変わります。自分の勤務先にそういう昇格試験が設けられているのなら、積極的に受験してみることも「稼ぐ力」を高めるための方法といえるでしょう。

もちろん、勤務先に昇格試験もなく、昇給の見込みもないという場合もあるかもしれません。そのように勤務先に未来を感じられないのであれば、それこそ転職を検討するのもありだと思います。保育士という仕事は、人手不足が深刻化している職業の1つ。だからこそ、これまでの経験やキャリアが生かせて、しっかりとした収入を保証してくれる勤務先を選ぶことが大切ではないでしょうか。

望まぬ非正規雇用であるなら、正規雇用を目指す

続いては、「稼ぐ力」を伸ばすために大切だと思うことをいくつか紹介していきます。先の転職にも通じることですが、まずは「非正規雇用ではなく正規雇用の正社員を目指す」ということについてお話しましょう。

保育士については、非正規雇用の割合の高さがよく問題視されます。もちろん、非正規雇用が一概によくないというわけではありません。フルタイムよりも時間の融通がきくので、小さい子どもがいる、あるいは親の介護をしなければならないといったふうに、自分の生活環境次第では非正規雇用のほうがいいこともあります。

でもそうではなく、本来なら正社員として働ける人が非正規雇用で収まっているのはもったいないことです。正社員のほうが自身のキャリアアップや昇格のチャンスに恵まれていますし、退職金などの福利厚生の恩恵を受けることもできます。ですから、目指せるのであれば、正社員として長く安定して働ける環境を勝ち取ることを考えましょう

また、正社員として働きたいと考えているものの、現在は非正規雇用だという人に知っておいてほしいのが、2013年4月から施行された「無期転換ルール」です。

無期転換ルールというのは、1年や3年など期間が定められた契約を結んでいる非正規雇用労働者が、「同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換される」というルールのこと。「期間の定めのない契約」ですから、非正規雇用のままで無期労働契約となるケースもありますが、勤務先としっかりと交渉すれば、正社員として雇用されるということもあるはずです。

自分のスキルを生かせる「副業」にチャレンジする

「稼ぐ力」を高めようとするのなら、「副業」にチャレンジするのも一つの手です。かつての日本では、正社員が副業をすることは基本的にNGという会社や施設がほとんどでした。しかし、「副業によって得たスキルや人脈を本業に生かせる」という理由から、いまは副業を推奨する企業も増えていますし、世の中にも副業ブームという流れができています。

もちろん会社員であれ保育士であれ、副業を行う場合は勤務先の就業規則で禁止されていないかをきちんと確認する必要があります。たとえば勤務先が公立の保育園の場合、保育士は地方公務員という扱いになりますから、副業はできません。しかし、勤務先が私立の保育園で副業が禁止されていないのなら、副業を視野に入れてみてはどうでしょうか。

副業の内容については、本業からかけ離れたものではなく、保育士のふだんの業務に関連するものを選ぶのがベストでしょう。なぜなら、副業の経験がスキルアップにつながり、将来的なキャリアアップや昇給につながることもあるからです。

たとえば、ベビーシッターは「子どもとかかわる」という点が保育士と共通しているため、保育士がはじめやすい副業だと思います。子どもを預ける親御さんの視点からすれば、保育士資格を持っているのは大きな安心感につながりますし、信用して子どもを預けられることでしょう。

また、「保育士でありベビーシッター」という立場のなかでさらに人気を獲得し、高給を得ようと思うなら、まわりとの差別化を図りましょう。そのために必要となるのは、みなさんがいままでに獲得してきたスキルです。

英語が話せるのであれば、幼い子どもの早期教育を兼ねることができます。注意欠如多動性障害など発達障害の子どもを多く見てきた人なら、そういう子どもを持つ親御さんにとって非常にありがたい存在です。自分にはどんなことができるのか、どんなことをすれば親御さんがよろこんでくれるのか。そういう視点を持って、経験やスキルを生かした副業にチャレンジするのは、とても意義があることだと思います。そしてその経験は、保育士としての自分の将来にもきっと生きてくるでしょう。

ファイナンシャルプランナー
金融機関在職中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。退職後、自らの経験から、お金の正しい知識を身につけることが「やりたいこと」や「夢」につながるだけでなく、「生活を守る手段」であると痛感。その経験を伝え、ライフプランを通じて家族が夢を持ち、一人ひとりが自分らしく生きるサポートをすることを目的にとして、2006年にFP事務所を開業(https://www.fp-iimura.jp/)。テレビやラジオ出演、セミナー講師など幅広く活躍中。著書に『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください』(アスコム)、『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)などがある。