【保育サービス】保育園と連携して子連れ多拠点居住をサポート!「n’estate with kids」がめざす新しいくらしとは?

【保育サービス】保育園と連携して子連れ多拠点居住をサポート!「n’estate with kids」がめざす新しいくらしとは?

テレワークや時短勤務が浸透して働き方が多様化する現在、生活拠点を複数持つ「多拠点居住」というライフスタイルが注目を集めています。そうしたなか、三井不動産レジデンシャル株式会社は、2022年から多拠点居住サービス「n’estate(ネステート)」の提供を開始。さらに、2023年5月には、未就学の子どもを近隣の保育園に通わせられる保育サービス付きプラン「n’estate with kids」をスタートさせました。本記事では、プロジェクトメンバーの1人である三井不動産レジデンシャル株式会社の横山達也さんに、サービスが生まれた経緯や利用するメリットをうかがいました。

\お話を伺った方/
横山達也さん 三井不動産レジデンシャル株式会社

多拠点居住で住まいにとらわれない生活を実現してほしい

——「n’estate」について教えてください。

横山:2022年9月末に始めた「n’estate」は、現在の住居を持ったまま、別の生活空間での暮らしを実現できる多拠点居住サービスです。そのときどきのライフステージや気分、用途に合わせて、他の拠点を自由に選択できるのが特徴で、複数の拠点を組み合わせながら、最適な暮らし方や住まい方を探索していただけます。言葉を変えるなら、「住の自由化」といったところでしょうか。ご利用いただく際のハードルをできるだけ下げられるように、拠点の手配や段取りなどの煩雑な作業は少なくしています。

——「n’estate」多拠点居住サービスが生まれたきっかけとは?

横山:きっかけの1つは、コロナ禍以前から本プロジェクトのリーダー・櫻井を中心に、個々に抱いていた、住まいの理想と現実の乖離に対する気持ちです。当時は、毎日通勤するのが当たり前でしたから、「本当は自然がたくさんある郊外に住みたい。けれど住まいが職場から遠いのは大変だから、つらくない程度の距離に妥協して住むしかない」という、なかば諦めに近い感覚を持っていました。おそらく、世間にも同じような感覚の方が多かったのではないでしょうか。

けれど、2020年に新型コロナウイルスが流行し、テレワークが急速に普及したことで働き方が一変しました。同時に、テレワークで仕事がこなせるなら、どこに住まいがあってもいいという考え方も、少しずつ広がっていきました。そうした状況をうけて、「気分や用途に合わせて拠点を選べるサービスがあれば、住まいに対して妥協しなくてもいいんじゃないか」と発想し、誕生したのが「n’estate」です。

「n’estate with kids」の活用で大人も子どもも充実した時間を過ごせる

——保育サービス付きのプランは、どういった理由から導入されたのでしょう。

横山:多拠点居住にはさまざまな課題があります。また、ご家族ごとに抱える課題も違ってきます。例えば、1つの拠点を維持したまま、別の拠点の生活を整えるのは意外に手間ですし、家族全員の希望や時間を合わせるのもなかなか大変です。

——特に子育て世代には、ハードルが高いかもしれません。

おっしゃる通りです。平日は子どもが保育園や幼稚園、学校に通っているので、まとまった期間を自宅と違う場所で過ごすのはハードルが高いですよね。また、子どもを見ながらの生活だと、日中に親が仕事に集中できない状況も考えられます。そうした課題を解消する方法として生まれたのが、「n’estate」に保育サービスを付けた「n’estate with kids」というプランなんです。

山形県庄内エリアの滞在施設「スイデンテラス 」
長崎県五島エリアの滞在施設「カラリト五島列島」

——「n’estate with kids」の具体的な保育サービス内容とは?

横山:拠点施設の滞在期間中は、n’estate with kidsの考え方に共鳴してくれた地域の保育園の一時預かり保育を利用できます。滞在拠点ごとに、お子様を預け入れる保育園を個別にご案内するため、保育園を探す手間もありません。「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE(スイデンテラス)」(山形県鶴岡市)では4つ、「カラリト五島列島」(長崎県五島市)では3つの保育園と連携しており、滞在前には園とのオンライン面談も実施しています。わからないことや不安な点などを登園前に聞いておけば、滞在中の不安も解消できるのではないでしょうか。

加えて、五島には「カラリトスタッフ」と呼ばれる現地での滞在をサポートするスタッフもいますし、庄内では児童教育施設である「キッズドームソライ」と連携しています。子育てファミリー層にも安心してご活用いただけるように、今後もサービスを充実させていきたいですね。

現地での滞在をサポートするカラリトスタッフ。

——子どもたちは、滞在先の園でどのように過ごしているのでしょう。

横山:基本的には、現地の子どもたちと同じように過ごします。園のいつもの時間を一緒に過ごすことで、子どもたちなりにその土地の価値や文化を感じてもらえたらと思っています。そうしたなかで新しい友だちができたり、新しい経験ができたりすれば、子どもたちの成長にもつながるのではないでしょうか。

観光ではできない、地に足のついた経験をしてほしい!

——これまでの受け入れで、印象深いエピソードはありますか?

横山:サービス利用開始前ですが、事前のトライアルで、私の2歳の娘と、本プロジェクトのリーダー櫻井の3歳の娘が1週間滞在したのですが、そのときの娘の様子がとても新鮮でした。

櫻井の娘はすぐ園になじんで、初日のお迎えのときも「もっといたい!」と楽しそうな様子を見せていたそうですが、私の娘は普段小規模な保育園に通っているせいか、新しい環境に初日ではなじめず。1日目と2日目の半日までは私が付き添いました。それでも、保育士さんがマンツーマンで遊んでくださったり、ほかの子どもとの間に入ってくれたりしたおかげで、だんだんとお友だちもできていき、最終的にはとても楽しそうにしていました。子どもが新しい環境でどういう反応を示し、どう成長していくのかを間近で見られたのは、親としてとてもいい経験でしたね。

山形県鶴岡市の「十坂こども園」は、連携保育園のひとつ。

——多拠点居住は、娘さんにとってもいい経験になったわけですね。

横山:生まれて初めてカエルを触ったり、タンポポが都会より大きいことに気付いたり、田んぼ沿いのあぜ道を散歩したり……。都会での暮らしや観光旅行ではなかなか味わえない、貴重な体験を持ち帰ることができたと思います。子どもたちは、急に環境が変わってとまどう部分もあるかもしれませんが、それを乗り越えたところに価値のある多彩な経験が待っています。それもまた、多拠点居住のよさではないでしょうか。

——こうした取り組みは、受け入れる側にもメリットがあるのでしょうか?

横山:トライアルでは、園側にも新しい発見があったようです。私たちは、子どもが園でどのように過ごしていたか専属の保育士さんからフィードバックを受けていたのですが、トライアルを機に「普段からお預かりしている子どもたちに対しても一時預かりのようにじっくりと向き合いやりたいこと、興味があることを見てあげる。その気付きを親御さんにも、フィードバックしてあげる」という考えが生まれ、それがオペレーションの改善につながったと聞きました。受け入れる側にもメリットを生み出せたのは、うれしいですね。

ニーズを掘り起こして、さらにサービスを広げていきたい

——多拠点居住は、社会的にどのような意味を持つとお考えですか?

横山:住まいの自由度が高まれば、自分や家族の人生を能動的に選べるようになります。また、多拠点居住を通じて、すばらしい自然や文化と触れ合うことは、ご家族の「Well-being(ウェルビーイング)」にもつながると思います。そうやって、一人ひとりが心身の豊かさを実感できるようになれば、社会的にも充実した状態を保てるのではないでしょうか。

——今後の展望についてもお聞かせください。

横山:一度きりの人生のなかで、いろいろなものに興味を持ち、いろいろな体験をしたい。あるいは、自由度の高いくらし方で、時間を充実させたい。そんなふうに思っている方は、とても多いと思います。だからこそ、多様な過ごし方ができる滞在拠点を増やして、少しでも多くの方が人生を能動的に選べる環境を整備したいと思っています。

——最後に、「ほいくらし」読者へのメッセージをお願いします。

横山: 現状は単なるアイデアでしかないのですが、今後は「n’estate with kids」が保育士さんと提携し、利用者と一緒に拠点に出かけていただくようなサービス展開も考えられますよね。特に地方エリアでは人手の問題もありますので。また、都市部の保育園と連携し、普段は地方に居住されている方に都市部で保育付きの滞在プランを体験いただくことがあるかもしれません。

現在、提携しているのは2拠点だけですが、優良な資源を抱えている場所は全国にたくさんあります。地域との密接な結び付きを持つことで、お互いにメリットのある新しい関係性づくりを創出し、社会に貢献できる仕組みをめざしていきたいと思っておりますので、保育士さんならでは視点から「n’estate with kids」を応援していただけるとうれしいです。

関連リンク:n’estate by MITSUIFUDOSAN RESIDENTIAL

取材・文/万谷 絵美  編集/イージーゴー

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