自分の名前が絵本に登場!世界にひとつの特別な絵本で読書習慣の第一歩を

自分の名前が絵本に登場!世界にひとつの特別な絵本で読書習慣の第一歩を

「子どもが夢中になれて、知育にも役立つ絵本はないかな?」

そんなふうに思ったことがある方には、NTT印刷株式会社が制作する「パーソナルちいくえほん」シリーズがおすすめです。パーソナルちいくえほんは、主人公を子どもたち自身の名前にしたり、子どもが「好きなもの」や「名前の文字を使ったしかけ遊び」ができるとてもユニークな1冊。内容も子どもの発達段階に合わせて展開されるため、子どもたちは絵本の世界にぐいぐい引き込まれていきます。

今回は、NTT印刷株式会社でパーソナルちいくえほんの制作に携わる髙橋詩織梨さんと、広報担当の若松里奈さん、坪野雄さんに、開発秘話や絵本に施された工夫、実際の活用事例などをうかがいました。

\お話をうかがった方/
NTT印刷株式会社
髙橋 詩織梨さん データビジネス部 サービス開発担当 
若松 里奈さん 経営企画部 企画担当 
坪野 雄さん 経営企画部 企画担当 主査

左からNTT印刷株式会社の坪野さん、髙橋さん、若松さん。

自分が絵本の主人公になれる⁉世界にひとつだけのパーソナルちいくえほん

——パーソナルちいくえほんとは、どのような絵本なのでしょうか。

髙橋:ひと言であらわすなら、お子さまにとっての「世界にひとつだけの絵本」です。Webでお子さまの名前や好きなものなどを入力すると、お子さま自身がストーリーの主人公になった絵本が作れるんです。

対象年齢は0歳から6歳程度までで、タイトルは全部で7冊。内容はNTTコミュニケーション科学基礎研究所の研究データに基づいており、成長ステージに合わせて「ファーストブックシリーズ」、「すきなもの」、「なまええほんシリーズ」、「たくさんのきもち」という4つのシリーズが用意されています。

坪野:「NTTが絵本を作っているの?」と意外に思われるかもしれませんが、パーソナルちいくえほんは、NTTの技術やデータがあってこそのもの。請求書発行で培ったお客さまに合わせて印刷内容を変更する「バリアブル印刷」の技術と、NTTコミュニケーション科学基礎研究所における言語発達や感情発達の研究が融合して、パーソナルちいくえほんが完成したんです。

成長に合わせて最適なタイトルが選べる、パーソナルちいくえほんシリーズ(全7冊)。2021年1月から、一般発売をスタートさせています。

子どもも大人も満足できる「最高の1冊」を開発したい

——パーソナルちいくえほんのアイデアは、どこから生まれたのでしょうか。

若松:ある育児休暇中の男性社員が「大人が子どもに読んでほしい絵本と、赤ちゃんが好きな絵本にギャップがある」という事実に気付いたのがきっかけでした。当然といえば当然なのですが、でもそれなら、子どもが興味や愛着を持つことができ、なおかつ知育にもなる絵本——。つまり、子どもも大人も満足できる「最高の1冊」を開発してみようと思い立ち、プロジェクトを立ち上げることになったんです。

髙橋: 2019年に米シカゴ大学が発表した研究によると、1~2歳における絵本の読み聞かせ量が、小学校2~3年時の国語と算数の学力に大きく影響しているのだそうです。この時期に、楽しい読み聞かせの機会を豊富に作ることで「読書は楽しい」と感じるようになり、将来の学力向上に結びつくのでしょうね。

そのことを知った瞬間、「これは良質な絵本を作らなくてはいけない!」と制作チームの目の色が変わり、まずは0~2歳の赤ちゃん絵本から開発を進めることになりました。

※Demir-Lira, E., Applebaum, L.R., Goldin-Meadow, S., Levine. S.C. (2019). Parents‘ early book reading to children: Relation to children’s later language and literacy outcomes controlling for other parent language input. Developmental Science, 19(4), 673-685. 

パーソナルちいくえほんの元になっているのは、幼児の言語発達研究

——絵本制作に、NTTコミュニケーション科学基礎研究所のデータを活用しているというお話がありましたが、どのような研究が生かされているのでしょう。

髙橋:NTTコミュニケーション科学基礎研究所では、赤ちゃんがことばを習得していく仕組みの解明をめざし、言語習得の仕組みや名詞・動詞の学習メカニズム、言語発達の遅れなどを科学的に調査している研究チームがあります。私たちはそうした中でも、特に1~2歳頃に起きる「語彙爆発(※)」の現象に注目。この時期の子どもたちの好奇心を育みながら、成長段階ごとにスムーズに言葉を習得できるような絵本ができないか、検討を進めました。

※ 非常に短い時間で言葉を覚え、急速に語彙数を増やしていく時期のこと。この時期の子どもたちは、「面白い」と感じたことをどんどん吸収していくと言われています。

例えば、0~1歳の絵本「ファーストブックシリーズ」は、先の調査で明らかとなった赤ちゃんが早く理解する言葉群と、自分の名前を呼びかけるシーンをたくさん盛り込んだお話です。また、1~2歳におすすめの「すきなもの」には、子どもの好きなものを実際に絵本に登場させることができるだけでなく、語彙を増やすことを目的に、注文時に現段階で発話できる言葉などを選択することで、次に話せそうな言葉がたくさん登場する仕組みになっています。

また2~4歳の「なまええほんシリーズ」では、お子さまが興味を持ちやすい自分の名前の文字そのものに着目。自分の名前のひらがなやカタカナを探したり、「め」と「ぬ」など類似度の高い文字で遊んだりすることで、楽しく文字に触れる機会を提供しています。

——子どもたちの「いま」にぴったりな内容になっているわけですね。

髙橋:その通りです。ちなみに、3~6歳の「たくさんのきもち」では、「うれしい」「おどろく」「がっくり」などの感情語(気持ちを表す言葉)を数多く取り上げています。気持ちを相手に伝えることは、自分の意見をはっきり言うための第一歩。気持ちを言語化することで、周囲の人とのコミュニケーションが円滑になりますし、子どもたちのストレスも軽減されるはずです。

パーソナルちいくえほんでは、そんなふうにNTTコミュニケーション科学基礎研究所のデータをエビデンスにして、さまざまな成長段階の子どもたちにぴったりな絵本を提供しています。

自分の名前や大好きなものがたくさん登場するパーソナルちいくえほんに、子どもたちは興味津々です。

——絵柄やデザインについては、どのような工夫をされていますか。

髙橋:まだいろんなものや色がはっきり見えていない赤ちゃんでも分かりやすいように、コントラストがはっきりした色使いや、目や口が大きい絵柄を意識してもらいました。まさに絵本を描いてくださった、かしわらあきおさんが得意とするイラストそのものだと思います。

そんなこともあって、かしわらあきおさんには、すべての絵本の企画段階からチームに入っていただきました。7冊のなかでいちばん悩んだのは、3~6歳の絵本「たくさんのきもち」ですね。感情語を習得するというコンセプトはあったものの、それをどう表現するかがとても難しかったんです。

そして、かしわらさんや編集さん、研究者と議論を重ねた結果、前半は文字のない絵本、後半は感情語の図鑑という少し変わった構成の絵本となりました。前半はあえて文字を入れない構成にして、「主人公がどんな気持ちなのか」を話し合うきっかけを提供する。後半は前半と共通の絵柄を使った「感情語の図鑑」にすることで、読んだときの納得感につなげようと考えたのです。

かしわらあきおさんのかわいらしい絵が、ストーリーの楽しさを引き立ててくれます。

パーソナルちいくえほんは、子どもにとっての「うれしいサプライズ」

——開発段階において、子どもたちの反応をモニタリングするような機会はあったのでしょうか。

坪野:近隣の保育園に協力してもらい、モニター親子にサンプルの読み聞かせをしてもらいました。電子書籍をタブレット配信する形も考えましたが、特に赤ちゃんの時期は「紙の絵本を読みたい」という声が多く、私たちとしてもめくる感触や動作を五感で味わってもらいたかったので、最初から一貫して紙の本を制作しています。

——発売後の反響で、印象的だった声があれば教えてください。

髙橋:「子どもが夢中になってくれた」「お気に入りの1冊になっている」といった声をたくさんいただいています。そうしたなかで特に面白かったのは、子どもの「どうして本屋さんが私のことを知っているの?」という反応ですね。自分の名前や好きなものが本に出てくることが「普通ではない」と気付いて、サプライズに大興奮してくれました。

若松:保護者の方には、絵本にお子さまのプロフィールを印刷できる点が好評です。名前の由来や初めてしゃべった言葉、親から子どもへのメッセージなどをお入れしているのですが、「大人になったときのよい記念になる」と喜ばれています。

お子さまのプロフィール情報が載せられるページは保護者の方に大好評。

検診参加率向上や図書館の利用促進のために、絵本を活用する自治体も!

——個人での申し込み以外に、自治体をはじめとする団体での購入もあるそうですね。

坪野:対象年齢のお子さまへのプレゼントとして、全国27の自治体で導入していただいています。出生祝い品や子どもの更なる読書推進を目的に採用いただくケースが多いですが、なかには、乳幼児検診の受診率向上を目指して、検診時のおみやげに活用している自治体もありますよ。

また、自治体によっては、パーソナルちいくえほんの受け取り場所を街の図書館や子育て支援センターにすることで、図書館の利用促進や子育て世代とのタッチポイント創出を図ってくれています。パーソナルちいくえほんをきっかけに、子どもたちが図書館に親しむようになり、より多くの絵本に触れてくれたらうれしいですね。

「パーソナルちいくえほん」のきょうだいシリーズが書店販売をスタート

パーソナルちいくえほんは、Web限定の商品ですが、きょうだいシリーズの「おかおをポン!」と「おたすけハッピー」の2冊は書店でも購入可能です。

——新たな事業展開や、今後の事業方針についてもお聞かせください。

髙橋:より多くの方に楽しんでもらうために、2023年9月からは書店で「すくすく☆こころえほん」シリーズの販売を始めました。現在は、感情語を学べる「おかおをポン!」「おたすけハッピー」の2冊が書店に並んでいます。名前や内容をカスタマイズする要素はありませんが、「パーソナルちいくえほん」と同様に、NTTコミュニケーション科学基礎研究所のデータをもとにつくった絵本です。弊社の絵本を書店等で気軽に手に取っていただけるようになったのは、とてもうれしいです。

坪野:読書習慣は、親子のコミュニケーションを深めることや、読書の原風景を心に残すことにとても役立つと思います。これからも、「より多くの子どもたちに笑顔を届ける!」という気持ちで、開発を続けていきたいですね。

「るんびにこどもえん」では、園の名前がついた「るんびにちゃん」の絵本が大人気です。

——最後に、全国の保育士にメッセージをお願いします。

髙橋:園児にプレゼントとしてパーソナルちいくえほんを配ったり、保育園の名前を使って絵本を作ったりしてくださる園もあります。例えば、福岡県糸島市の「るんびにこどもえん」では「るんびにくん」「るんびにちゃん」の絵本を作り、読み聞かせの時間に使っていただいた上で、毎年クリスマスプレゼントとして園児1人ひとりに自分だけのパーソナルちいくえほんを配ってくださっています。その他にも、卒園や進級のプレゼントとして採用してくださっている保育園もあります。

私たちの絵本が、子どもたちにいつも寄り添っている保育士さんのお役にも立てたら、とても幸せです。

◆パーソナル知育絵本:https://ehon.nttprint.com/

取材・文/二階堂ねこ 編集/イージーゴー

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