【知育】ワクワクがいっぱい! 子どもの心を刺激するアート教育(実践編)――今泉 真樹先生インタビュー

【知育】ワクワクがいっぱい! 子どもの心を刺激するアート教育(実践編)――今泉 真樹先生インタビュー

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2018年に改定された「保育所保育方針」では、小学校入学後にも子どもたちがいきいきと学び続けられるよう、「幼児期の終わりまでに育っていてほしい姿」が示されています。今だから保育士が知っておきたい「子どもの可能性を広げる幼児教育」について、保育のスペシャリストたちに学びましょう。今回は実践編として、知育こどもアート教室 アトリエ・ピウを主宰する今泉真樹先生に、すぐに保育現場で取り入れたいアート教育の具体的な創意工夫についてお話を伺います。

0歳からはじまるアートとの出会い

――アート教育というと少し難しいイメージもありますが、何歳くらいから楽しめるものなのでしょうか。

今泉:子どもがアートに興味を持った時、何歳からでも楽しめると思います。私の息子は、0歳のころからアートに親しんでいました。ブルーシートの上におむつだけ履いた息子を座らせて、口に入れても安全な絵の具で、自由に遊ばせたりしました。手で絵の具を混ぜ、その感触を楽しんだり、絵筆でダイナミックに紙へ色を乗せたり……。「触ってみたい」「混ぜてみたい」「塗ってみたい」という人間の本能を邪魔することなく、気が済むまでやらせてあげたのです。大人が何かを教える段階へ進む前に、素材に親しみ、「色を全部混ぜると黒くなる」といったことを、自ら発見させることが大切だと思います。
はさみやカッター、針などの道具も、幼稚園に入る前から使わせてあげました。危ないからとすぐに取り上げたりせず、安全に使う方法を教えて、目を離さず見ていれば、大抵のことは自分で出来るようになります。

アートと難しく捉えず、お料理のお手伝いなど身近なところから始めても構いません。大切なことは、子どもが興味を持った時に、どんどん挑戦させることです。興味を持ったその時にやらないと、挑戦したい気持ちが萎えてしまい、好奇心の芽を摘み取ってしまうことになります。そら豆の皮を剥いたり、卵の殻を割ったり…と簡単なことから挑戦してみてはいかがでしょうか。包丁を使う場合は、まずお豆腐など柔らかい食材から切ると良いと思います。道具を使いこなすことが出来るようになるには時間がかかりますが、手間を惜しまず、長い目で見てあげることが必要だと思います。また、好奇心を育てるために、多少の失敗は目をつぶり、汚れても良いと割り切ることです。

――保育園などで多人数の子どもたちが一緒に楽しめるアート遊びはありますか。

今泉:ビニールプールの中に新聞紙を入れ、子どもたちが中に入って破るという遊びが保育園でも実践しやすいと思います。散らかしても良い環境の中で、新聞紙を思う存分ビリビリ破くことで、子どもたちの「やってみたい」気持ちを満たし、エネルギーの発散にもなります。大勢で楽しく盛り上がったら、最後にゴミ袋の中へ破った新聞紙を入れ、丸く整えて目などを描き「雪だるまづくり」につなげます。身近な材料で出来ますし、事後の掃除も大変ではないため、保育士さんの負担も少なく、おすすめです。

また、屋外でインスタレーションアート(作品を展示してある空間そのものをアートとする表現方法)に挑戦するのもいいですね。当教室でも、桜の散る季節に公園へ行き、拾った枝や花びらを使って、大きな紙の上に桜の樹を創ったことがあります。完成した後に強い風が吹いて、作品上の花びらが花吹雪となって舞い上がり、自然に帰っていく様に触れて、みんなで感動したのを覚えています。桜以外にも秋にはカラフルな落ち葉を使うなど、いろいろと応用できます。紙がなくても、土の上にそのまま石や落ち葉を並べて遊ぶことも出来ます。終わった後は、元の場所に戻しておくだけなので、手軽に楽しむことができます。”屋外での活動”というところもポイントで、道行く人から「素敵ね」などと声をかけてもらうことで自然とコミュニケーションが生まれ、それによって子どもたちも「自分は面白いことをしているんだ!」と再認識し、満足度が高まります。

桜の樹の下でインスタレーションアート。桜や紅葉が綺麗な季節に公園へ出かけてアートを楽しむことも。教室を出て自然とふれあうアート体験で、普段とは違う五感を働かせ、子どもたちの好奇心を刺激します。

“本物”の音楽が子どもたちを刺激する「アートミック」

――今泉先生が力を入れている「アートミック」とはどのようなものですか?

今泉:アートミックは、アートにリトミックを組み込んだ、まったく新しい知育プログラムです。はじめに、ピアノの演奏と元タカラジェンヌのお歌の先生による音楽つき絵本の読み聞かせをして、子どもたちを一気に絵本の世界へ引き込みます。作品のイメージを膨らませた子どもたちは、絵や切り絵などのアートで自由に表現します。個々に楽しんだ後は、みんなで大きな作品を完成させて、その世界観に合わせた音楽を楽しみながらリトミックをするという流れです。
『スイミー』の絵本を選んだときは、作品のテーマにもあるように、みんなで協力し合い、フィンガーペイントなどを用いて大きな紙の上に海の世界を作り上げました。このように、絵本の読み聞かせ・アート・リトミックを同時に楽しむことができ、家族みんなが夢中になれるワークショップです。

アートミックのイベントでは、音楽が流れ始めると子どもたちが自然と楽器のそばへ集まり、目がキラキラしてきます。打楽器奏者でもあるリトミックの先生にご協力いただき、即興で生み出された音楽を聞きながら作品を創ります。”本物”の音は五感を刺激するだけでなく、リラックス効果もあるので、子どもたちの新たな感じ方や表現につながっていると思います。プロによる音楽を聴きながら作品を創るという贅沢な体験は忘れられない思い出となることでしょう。

新宿区子ども未来基金助成活動【アートミック】。音楽つき絵本の読み聞かせをして、絵本のイメージを膨らませます。その後アートで自由に表現したり、親子でリトミックをして楽しむワークショップです。

自らの人生をつかみ取る力を育むために

――アートの活動は、子どもたちにとって、どのような効果をもたらすのでしょうか?

今泉:普通、アートというと内なる表現活動というイメージが強いと思いますが、それだけではありません。アートによる表現活動は、実はエネルギーの発散にもつながります。

エネルギーの発散というと運動が一番にあげられますが、アートによる表現方法を獲得することで、子どもの有り余るエネルギーのアウトプットの幅を広げることができます。
ひらめいたアイデアを形にすることができると、運動とは違ったエネルギーの昇華となるのです。のびのびと絵を描いたり、満足のいくまで工作をした後、子どもたちはすっきりした顔をしています。

もちろん運動をすることも重要だと思います。頭と体の両方をたくさん使い、適度に疲労することで、生活のリズムを整える効果もあります。

――子どもたちが積極的にアートへ取り組むために、保育士や保護者はどのように働きかければよいでしょうか。

作品を創っている子どもに対して、どのような声かけをするかが重要となります。
子どもたちは新しいことをするとき、「どうやるの?」と聞いてきます。
すぐに答えを教えるのではなく「どうやるか、試してみたらどうかな?失敗しても大丈夫よ」
と、子どもがまず自分で挑戦してみるように導きます。すると子どもなりに一生懸命考えて、
何かしら答えを見つけてきます。

仮にそれが大人の考える正解とは違ったとしても否定せず、
「そのアイデア、面白いね!」など、自分で考えた過程を評価します。
自分自身で答えを発見した時の喜びが、達成感へつながり、創作意欲の源となるからです。

アートの分野だけでなく、日々の生活でも同じように接して、考える力を引き出す工夫をしています。
自分で考える習慣を身に付けさせるには、日々の積み重ねが重要だからです。

また、子どもは「上手に創らなければならない」と思い込んでいることが多いため、
むしろ「上手にできなくても大丈夫」というメッセージを伝えるようにしています。
例えば、教室では、子どもたちにピカソの画集などを見せ、個性的な作品を紹介することを
意識しています。写実からかけ離れ、目がたくさんあったり顔が青く塗られたりしている作品
を見て、アートに「正解」はないと自然に理解できるのではないでしょうか。

子どもたちが完成させた作品に対しても、上手や下手といった判断をするのではなく、
「私はこの作品が好き」と表現してあげることで、自己肯定感が大きく向上し、
積極的に挑戦する意欲が生まれてきます。

生徒さんたちの作品。少人数制だからできる個性に寄り添った指導を行います。絵画は1回で描き上げるのではなく、何回かのレッスンに分けて完成させ、密度の濃い作品に仕上げます。

――「子どもたちが常に自分で考え、自分の力で形にする」という【Self dependent Method セルフ ディペンデント メソッド】、このメソッドを受けた子どもたちに、どのように育っていってほしいですか?

今泉:何よりも、創意工夫をして楽しい人生を送って欲しいと考えています。
  アートがそのまま職業につながることはなくても、自由な発想力や思考力があれば、どんな仕事もより楽しくできると思います。将来 たくさんの職種がAIに取って代わられる時代になると予想されていますので、AIに負けないクリエイティブな能力が必要不可欠となるでしょう。

社会に出たら、自分で問題を解決する力が必要とされます。幼児期に【セルフ ディペンデント メソッド】を受けることにより体得したクリエイティブな能力、集中力、持続力、そして自己肯定感があれば、どんな困難にも立ち向かうことができるはずです。また、さまざまな職業で一流をめざせるのではないでしょうか。

子どもたちが力強く、自ら望んだ人生を歩んでいくための基礎力を育むことに、これからも力を尽くしていきたいです。

小さなアーティストによる作品展。毎年3月に1年の集大成として、アトリエで作品展を開催しています。子どもたちは意欲的に取り組み、達成感を味わいます。

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今泉 真樹さん

【プロフィール】
今泉 真樹(いまいずみ・まき)
知育こどもアート教室 アトリエ・ピウ 主宰
保育 絵画指導スペシャリスト
新宿区子ども未来基金助成活動【アートミック】アート担当講師
専門学校 桑沢デザイン研究所を卒業後に渡英し、ローズ・ブルフォード大学を主席で卒業。国内外の有名ブランドや、宝塚歌劇団のジュエリーデザインを手がける。独立し、アトリエ・ピウ(東京都新宿区)を設立。知育こどもアート教室を立ち上げ、子どもの創造力や思考力を伸ばすことに焦点をあてたアートの指導を行う。

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