「正しい食」でウイルスから身を守ろう!名医がおすすめする免疫力を高める「食事の習慣」 順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生インタビュー【第3回】

「正しい食」でウイルスから身を守ろう!名医がおすすめする免疫力を高める「食事の習慣」 順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生インタビュー【第3回】

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新型コロナウイルス感染拡大の第3波が押し寄せるなか、園児を預かる保育士のみなさんも日々、いろいろな取り組みをしていると思います。ウイルスから身を守るためには免疫力アップがカギを握りますが、そのためには、腸内環境や自律神経を整えることが欠かせません。今回は、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生に聞いた、免疫力を上げる「食事の習慣」についてご紹介します。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 写真/川しまゆうこ

※この記事は、『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』(プレジデント社 著者:小林弘幸 監修:玉谷卓也)より引用しアレンジしたものです。

免疫力を高める「食事の習慣」① ゆっくり嚙んで、食事を楽しむ

よく「早食いは肥満のもと」といわれますが、これは医学的に見ても確かなことです。なぜなら早食いは、満腹中枢が反応する前に、たくさんの量を食べてしまうからです。

また、食べ物を嚙んだり、飲み込んだりする機能は交感神経がつかさどっているため、早食いは交感神経を急激に高め、消化・吸収の働きを弱めてしまいます。そしてこのことは、自律神経のバランスや腸内環境に悪影響であるだけでなく、血糖値が急激に高まったり、エネルギーをうまく吸収できずに脂肪として蓄えてしまったりということにもつながります。

若いうちは自律神経が元気なので早食いをしてもカバーできますが、男性は30代、女性は40代を過ぎると副交感神経の働きがガクンと低下するため、肥満になりやすくなります。

食事はよく嚙んで、ゆっくりととるように心がけましょう。ちなみに、よく噛むことや、ゆっくりと食事をすることには、次のようなメリットがあります。

  • 副交感神経の働きを高め、消化や吸収が良くなる
  • 満腹中枢が働き、食べ過ぎを防ぐことができる
  • 血糖値の上昇をゆるやかにし、内臓や血管の負担を減らす
  • その結果、肥満の防止にもつながる

このように、食べるスピード一つで、自律神経、腸内環境、肥満防止、そして血液を通じた全身の健康状態にまで影響が及びます。くれぐれも「たかが早食い」と思ってあなどらないようにしてください。そして、免疫力を高めるためにも、じっくりと料理を味わい、リラックスして楽しんでください。

免疫力を高める「食事の習慣」② 発酵食品を2種類以上食べて、善玉菌を取り入れる

腸内環境を整えるためには、善玉菌・悪玉菌・日和見菌——いわゆる腸内細菌のバランスを整えることが大切です。そして、そのバランス争いの中心になってほしいのが、子どもの頃に抱え込んだ腸内細菌たち。昔からずっと腸に住んでいる善玉菌をサポートし、繁殖を助けてあげることが腸内環境の改善につながるのです。

そのためには、「助っ人」として食事で善玉菌を送り込み、腸に定住している善玉菌たちをサポートしてあげることが大切です。

助っ人となる善玉菌は、ヨーグルト、みそ、納豆、しょうゆ、チーズ、ぬか漬け、キムチなど、さまざまな発酵食品で摂取することが可能で、これらの発酵食品には、乳酸菌や麹菌、納豆菌、そのほかさまざまな酵母がいます。それらの善玉菌が、腸のなかで短鎖脂肪酸を産生し、腸内を弱酸性に保つことで悪玉菌を減少・抑制。もともといる善玉菌を活性化させるのです。

ただし、助っ人の善玉菌は腸内に定着せず排泄されてしまうので、毎日摂取することが大事です。定番の「マイ発酵食」を決めたうえで、プラス2~3種類の発酵食品を意識的に変えながら食べるようにしましょう。

ちなみに、「意識的に変えながら食べる」のが大事な理由は次のとおりです。

納豆には納豆菌がいるように、発酵食品はそれぞれ生息する菌が異なります。また、同じ納豆でも、メーカーや産地が違えば納豆菌の種類が細かく異なっています。加えて、腸内細菌の多様性や性質はまだまだ解明しきれておらず、人によって定着している腸内細菌との相性の良し悪しや、発揮する効果の具合が異なるとされています。それらをふまえて考えると、「いろいろな発酵食品を食べる」ことが大事になるわけです。

ワインのおつまみひとつとっても、サラミ、アンチョビ、塩辛、ピクルスなど、発酵食品のバリエーションを持たせてみましょう。

免疫力を高める「食事の習慣」③ 大さじ1杯のアマニ油で腸を整える

「油」に対して健康に悪そうなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、適度な油は身体に欠かせないもの。腸内環境においても、脂っこい食事は悪玉菌を優勢にして腸内環境を乱しますが、質のいい油を適量摂取することは、排便をうながし、便秘を解消することに役立ちます。

わたしがおすすめするのは、毎日大さじ1杯のアマニ油をとること。アマニ油に含まれる「オレイン酸」は胃や腸で吸収されることなく大腸まで届くので、油が大腸を刺激してぜん動運動を促進してくれます。

また、大腸は水分を吸収して便を固形に整える器官であるため、便秘になって詰まると、便の水分がどんどん吸収されて固まってしまいます。しかし、そこに油分が届けば、固まった便をコーティングし、動かす役目を果たしてくれます。あわせて、排便時の肛門の痛みの緩和にもつながるでしょう。

アマニ油と同じく、オレイン酸の豊富なオリーブオイルもおすすめですが、油は加熱すると酸化しやすい性質があるので、その点には注意が必要。酸化すると、体内で悪玉コレステロールを増やして、腸内環境と自律神経を乱す原因になってしまいます。マーガリンやショートニングなどに含まれる「トランス脂肪酸」も同様の作用をするため要注意です。

上手なとり方は、そのまま飲むか、ドレッシングとしてサラダにかけたり、パンやヨーグルトにかけたりして、生のまま摂取すること。カロリーが気になる人もいると思いますが、大さじ1杯ぐらいなら、100キロカロリー程度です。どうしても気になる場合は、エネルギー代謝のいい朝に摂取するのがいいでしょう。カロリーを気にして摂取量が少なくなると、期待する効果が得られなくなってしまうので注意してください。

免疫力を高める「食事の習慣」④ むやみに薬に頼らない

「食事」ではありませんが、「口にするもの」の習慣として、もうひとつ大切なことをお伝えします。それは「むやみに薬に頼らない」ということです。

何度もお伝えしてきたとおり、自律神経のバランスと腸内環境を整えれば、免疫力は高まり、健康な身体を保つことができます。そして、自律神経と腸内環境は、みなさんの日々の生活習慣と食事によって支えられています。

だからといって、その過程を一足飛びにする「便利なアイテム」として薬に頼るのは、けっして健康的な判断とはいえません。たとえば、便秘だからといって対症療法で市販の下剤を服用すれば、排便はできても腸内環境は改善しません。それどころか、常用して腸を無理に刺激することで、粘膜が弱まったり、刺激に慣れて便意を感じない腸になったりする危険性もあります。

薬はあくまで緊急時に使うもので、腰が痛いから痛み止め、風邪をひいたから風邪薬と、不調のたびに飲むものではないことを理解しておきましょう。

また、過去に処方された抗生物質をとっておいて、風邪をひいたときに飲むというのもよく聞く話ですが、それは最悪の例。抗生物質は細菌にきくもので、ウイルスには効果を発揮しません。そして、腸内の善玉菌までやっつけてしまい、腸内環境のバランスを劇的に崩す危険さえあります。

そのほかの薬やサプリメントにも、腸内環境に悪影響を与えかねないものが存在するので、不調や不安を感じたときは、むやみに市販薬に頼るのではなく、医療機関の受診をおすすめします。そのうえで、病気や不調の原因となる生活習慣を見つめ直してみましょう。

こばやし・ひろゆき
順天堂大学医学部教授 日本体育協会公認スポーツドクター
1960年、埼玉県に生まれる。順天堂大学医学部卒業後、1992 年に同大学大学院医学研究科修了。
ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。国内における自律神経研究の第一人者として、アーティスト、プロスポーツ選手、文化人へのコンディショニングやパフォーマンス向上指導を行う。著書には、『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、『不摂生でも病気にならない人の習慣 なぜ自律神経の名医は超こってりラーメンを食べ続けても健康なのか?』(小学館)、『最後の日まで笑って歩ける ため息スクワット』(集英社)などがある。
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