幼児期におすすめ! 今日からできる「自然体験保育」プロ・ナチュラリスト|佐々木洋

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近年、注目度を増している教育手法のひとつが「自然体験保育」です。

自然に触れる活動を通じた保育ということで、専門的な知識が必要だと思う人もいるかもしれません。しかし「プロの自然解説者」であるプロ・ナチュラリストの佐々木洋さんは「今日からすぐにでもできるもの」だといいます。園庭や園児との散歩中でもできる、おすすめの自然体験保育を教えてもらいました。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)
取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

1年を通じてできる自然体験保育4選

自然は当然ながら季節によってまったくその姿を変えていきます。ここでは、まず1年を通じてできる「自然体験保育」を4つ紹介しましょう。

【通年で行える自然体験保育】

視覚生き物のかくれんぼ
聴覚園庭の聞きなし
触覚木の幹で太陽を感じよう
嗅覚草木の匂いあて

自然は五感を使うことを意識して感じることが大切です。そうすることで、ひとつのものでも多角的に感じることができます。

①視覚:かくれんぼしている生き物を探す

ひとつ目は、視覚を使う「生き物のかくれんぼ」です。まずは、園庭でもいいですし、プライベートで山や公園などに出かけたときでもいいので、枝のふりをしているナナフシや、花のなかに隠れているクモなど、かくれんぼをしている生き物を保育士のみなさん自身が探してみてください。そして、見つけたらそれをスマホなどで撮影しましょう。その気になれば1カ月で10枚も20枚も撮影できると思います。

そうしたら、その写真をプリントアウトしてパネルにする、あるいはプロジェクターを使ったスライドショーにして子どもたちに見せてあげるのです。「かくれんぼしている虫を見つけてごらん」と声をかければ、子どもたちは張り切って探しはじめますよ。

もちろん、素材収集は雨の日にもできますから、季節だけではなく天候に左右されることもないというメリットもあります。ふだんから写真をストックしておけば、ずっと長く使えるものになります。

②聴覚:鳥の鳴き声からセリフを自由に想像してもらう

ふたつ目は、聴覚を使う「園庭の聞きなし」です。聞きなしとは、動物、主に鳥の鳴き声を人間の言葉にあてはめて覚えやすくすることをいいます。たとえば、ウグイスの鳴き声を「法華経」という意味のある言葉にすれば覚えやすくなりますよね。

でも、ただ鳴き声の響きを言葉にするだけでは面白くありません。そうではなく、子どもたちに鳥の言葉を自由に想像してもらうのです。鳥の名前なんてわからなくてもかまいません。

園庭から「ピピピ」というふうに鳴き声が聞こえたら、子どもたちに「なんていっていると思う?」と聞く。子どもたちは「お腹すいたっていってる」「お母さんって呼んでるんじゃないかな」というふうに、自由な発想で答えを返してくれるでしょう。

写真提供:佐々木 洋氏

③触覚:木の幹で太陽と季節を感じる

3つ目は、触覚を使う「木の幹で太陽を感じよう」という遊びです。よく晴れた日に、園庭や公園にある太い木の日があたっている部分と日陰の部分をそれぞれ触るのです。毛虫がいないなど安全を確認したら、木に抱きついてもいいでしょう。

すると、日があたっているところは温かいし、日陰は冷たいことがわかる。実際にやってみると、そのちがいは想像以上のものです。冬だったら温かいほうがいいとか、夏だったら日陰がいいといった感想も子どもたちから出てくるでしょう。そうして、太陽の存在や季節の変化を子どもたちに感じさせることもできます。

④嗅覚:葉っぱで警察犬ごっこ

最後の4つ目は、嗅覚を使う「草木の匂いあて」です。園庭にある草木の葉を用意してください。できれば、ミカンやクスノキ、ヨモギ、ノビルというネギのような植物など、なるべく匂いが強くて特徴的なものがいいですね。

そして、それらの葉っぱをこまかくちぎってそれぞれ中身が見えない箱に入れます。その匂いを子どもたちに覚えてもらったら、園庭に出てどの葉っぱの匂いだったのかをあててもらいましょう。

いわばこれは、「警察犬ごっこ」というところでしょうか。先の「生き物のかくれんぼ」にもいえることですが、こういった友だちと競い合えるようなゲーム性が強い遊びは、子どもたちがとっても盛り上がってくれます。

季節ごとにできる自然体験保育4選

写真提供:佐々木 洋氏

今度は、季節ごとにできる4つの自然体験保育も紹介しておきましょう。

【季節ごとの自然体験保育】

春のパレット
夜の園庭探検
葉っぱおばけ探し
冬の虫探し

春:春のパレット

これは、園庭や公園にある草木や土の色を集める遊びです。「花壇の花をちぎるのは駄目だよ」というふうにルールを決めたうえで、たとえば5つの円が描かれた紙を子どもたちに渡して、5つの色を集めてもらう。葉っぱを紙にこすりつければ緑、タンポポの花なら黄色、土なら茶色という具合です。

もちろんこれは、1年を通じてできるものですが、やはり春は草木がみずみずしいですし、花を咲かせる種類も多いですから、他の季節より色鮮やかなパレットができあがります。

なかでもおすすめはカラスノエンドウという植物。いわゆる雑草ですが、鮮やかな赤みのつよいピンクの花を咲かせます。でも、この花がとても面白い。紙にこすりつけると、紫色に変わるのです。サプライズが大好きな子どもたちは、きっとよろこんでくれます。

夏:夜の園庭探検

夏には「夜の園庭探検」がおすすめ。園によっては夏に夕涼み会を行っているところも多いでしょう。それだけでも子どもたちにはスペシャルな体験ですが、夕涼み会のついでに園庭にいる生き物に注目してみてください。

まず見つかるのは、夕暮れの空を飛びまわるコウモリです。それから、セミの抜け殻が見つかる園庭なら、セミの羽化を見ることもできるはずです。

セミの羽化というと、真夜中に行われていると思っている人も多いのですが、じつはそのピークは19時前後。その神秘性が子どもの心を摑むのでしょう。わたしの経験からいえば、セミの羽化の観察ははずれのない永遠の人気イベントです。

秋:葉っぱおばけ探し

秋におすすめするのは「葉っぱおばけ探し」です。秋になると、サクラなどの落葉樹は葉を落とします。落ち葉のなかには、夏のあいだに虫に食われるなどして穴があいているものもありますし、笑った顔や、ハロウィーンにカボチャでつくるジャック・オー・ランタンのように見えるものもあるでしょう。そういった、顔に見える落ち葉を探して集めるのです。

そして、それらを模造紙にずらっと並べて貼りつけましょう。葉っぱおばけの大集合というわけです。そのなかから子どもたちは自分が見つけた葉っぱおばけを見てはよろこんでくれます。いまはハロウィーンを行事にしている園も多いでしょうから、そのなかのひとつのイベントにしてみてはどうでしょうか。

冬:冬の虫探し

冬には「冬の虫探し」をすると興味深いと思います。冬になると虫はいなくなると思っている人もいるかもしれませんが、じつはよく探してみると意外と見つかります。

探すべきポイントは、園舎や物置などの屋根の下側や壁、プランターや植木鉢の下です。壁ならカマキリの卵が見つかったり、植木鉢の下で冬を越そうとしているテントウムシが見つかったりします。夏とちがってレア感がありますから、見つけたときのよろこびもそれだけ大きくなるはずです。

子どもの成長と季節のめぐりを感じられる「定点撮影」

そして、1年を通じたものとしてわたしが最後におすすめするのは、「定点撮影」です。幼稚園や保育所での散歩のコースはだいたい決まっているものですよね。そのなかでいつも見るものを決めてほしいのです。

たとえば、この公園に通りかかったらいつも1本のサクラの木の話をするといった具合です。「花が咲いたね」「葉っぱの色が変わってきたね」というふうに声かけをすれば、子どもたちもそのサクラを通じて季節のめぐりを感じることができます。

そして、月に1回など定期的にその前で子どもたちを撮影してみてください。それこそサクラなどの落葉樹なら季節ごとの変化が鮮やかですから、その変化とともに子どもの成長を感じられるものとして親御さんにもよろこんでもらえます。

1961年9月30日生まれ、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。
公益財団法人日本自然保護協会自然観察指導員、東京都鳥獣保護員など
さまざまな立ち場で自然解説活動をしたあと、「プロ・ナチュラリスト 佐々木 洋事務所」を設立。
25年以上にわたって、自然観察指導、自然に関する執筆・写真撮影、
講演、テレビ・ラジオ番組の出演・企画・監修、エコロジーツアーの企画・ガイド等の活動をおこなう。
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