【読み聞かせ①】いまもむかしも変わらぬ最高の子ども教育ツール。「絵本の読み聞かせ」が持つ5つの効果|絵本スタイリスト® 景山聖子

【読み聞かせ①】いまもむかしも変わらぬ最高の子ども教育ツール。「絵本の読み聞かせ」が持つ5つの効果|絵本スタイリスト® 景山聖子

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「絵本の読み聞かせ」は、いくらテクノロジーが発達してもむかしと変わらず幼稚園や保育所で行われる定番の活動です。ただ、その効果をどこまで意識するかは保育士さんそれぞれかもしれません。

定番というからには、定番だからこそのメリットが確実に存在します。しかし、そのメリットを具体的に説明できる人は少ないかもしれません。

今回は保育士資格も持つ「絵本スタイリスト® 」の景山聖子さんに、「絵本が子どもに与える5つの効果」について教えていただきました。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)
取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

読み聞かせによる5つの効果とは?

絵本の読み聞かせが子どもに与える好影響には、数え切れないほど多くのものがあります。まずは、わたしがとくに重要だと考えているものを一覧としてお見せしましょう。

【絵本が子どもに与える5つの効果】
1.子どもの精神状態を落ち着かせる
2.子どもの心にいろいろな「栄養」を与えられる
3.子どもが自主的に他者とのコミュニケーションを学べる
4.さまざまなものに対する子どもの好奇心を高められる
5.親子の絆が深いところで結ばれる

それぞれ解説していきます。

自分のペースで読み進められる絵本で、感受性が育つ

ひとつ目は「子どもの精神状態を落ち着かせる」です。いまはスマホでもアニメや映画を観られるため、子どもたちは物語を楽しめるたくさんの機会に恵まれています。たしかに動画には動画のいいところもあると思いますが、じつは子どもにとってよくない一面も持っています。

それは、アニメや映画などの動画が「つくり手側のペースで一方的に観せられるもの」だということ。なにが起こったのかを理解できない子どもがいても、動画はどんどん先に進んでしまいます。そのため、子どもは置いていかれている感覚や焦りを感じ、精神状態が落ち着かなくなってしまうのです。

でも、絵本ならどうでしょう? 絵本は、子どもそれぞれが自分のペースで読み進めていけるメディアです。読み聞かせる場合にも、読み手が子どもの反応をきちんと見ておけば、子どものペースで読み進めることができます。

つまり 絵本は子どもにとって「落ち着いて物語を楽しめる貴重な機会」なのです。物語に集中できれば、子どもはゆっくりとお話を楽しむことができ、登場人物に感情移入する余裕も生まれます。子どものペースを意識することによって、より感受性を高める読み聞かせができるでしょう。

押しつけではなく、絵本を通じて子ども自身に学ばせる

絵本が子どもに与えるふたつ目の効果は、「子どもの心にいろいろな『栄養』を与えられる」ということです。じつは、8歳くらいまでの子どもは、その発達段階としてまだ現実と空想をしっかりと区別できません。そのため、絵本に描かれた架空のお話も、子どもにとっては紛れもない実体験となります。

すると、絵本によって得た体験のなかから、子どもは自身の人格を形成していくうえで欠かせない栄養を受け取ることになる。たとえば、感情もその栄養のひとつです。絵本の登場人物は、ストーリーによってたくさんの感情を表現します。それらの感情も、子どもたちは体験を通じて栄養として受け取るため、絵本に親しめば親しむほど感情が豊かになるというわけです。

絵本のストーリーをとおして、コミュニケーションの取り方を学ぶ

3つ目は、「子どもが自主的に他者とのコミュニケーションを学べる」というものです。幼い子どもに対しては、親御さんや保育者がいろいろなことを「教えてあげる」ことが必然的に多くなるものです。「友だちに親切にされたときには、ありがとうっていうんだよ」とか「友だちに嫌な思いをさせたときには、ごめんねっていうんだよ」といったふうに、他者とのコミュニケーションの仕方や倫理観に関することもそのように教えてあげることがほとんどでしょう。

たしかに、保育者から教わることで多くの子どもはいわれたとおりに振る舞うでしょう。でも、その子たちはもしかしたら「先生がそういったから」「お父さん、お母さんがそういったから」というふうに、ただ反射的にそう振る舞うようになっただけで、なぜそう振る舞うべきか理解ができていないかもしれません。

そこで、絵本の出番です。絵本のなかには、そのストーリーを通じて、「こういうときはありがとうっていうんだ」「こういうときはごめんねっていうんだ」というふうに、子ども自身に感じ取らせて学ばせるようなものがあります。

たとえば、『ありがとう』(童心社) という絵本もそのひとつ でしょう。この絵本は、「なかまにいれて!」「ドーナツちょうだい!」といったお願いをして相手が応えてくれたときに、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える大切さを描いています。

そういった絵本から自分で感じ取ったことだからこそ、学んだコミュニケーションの仕方や倫理観がしっかりと強く身につくのです。

日々出会うものや出来事に対する好奇心が高まる

絵本が子どもに与える効果の4つ目は、「さまざまなものに対する子どもの好奇心を高められる」です。子どもは日常のなかで多くのはじめてのものやはじめての出来事に出会っていきます。

そのとき、もしそれらのものや出来事について絵本を通じて少しでも知っていたとしたらどうなるでしょう? 自身が経験したそのエピソードがより興味深いこととして厚みを増して子どもの心の奥底に届くはず。そうして、そのものや出来事に対する好奇心が高まるのです。

たとえば、『あめふりくまのこ』(ひさかたチャイルド) もそういった絵本のひとつです。これは、60年ほど前から親しまれている同じタイトルの歌を絵本にしたもの。なかなか降りやまない長雨のなか、子熊の小さな冒険を描いた作品です。そして、雨というものがとても美しく楽しいものだというイメージになるようにつくられています。そのため、この絵本を読んだあとには、子どもは雨に強い興味を持つようになるというわけです。

あるいは、それまでの雨のイメージを覆すようなことも考えられます。たとえば、以前にひどい雨に降られてずぶ濡れになった経験があるため、雨に対して嫌悪感を持ってしまっている子どもも、この絵本によってその嫌悪感を払拭するということもあるでしょう。

それから、こういったたぐいの絵本とはまた別に、「科学絵本」とでも呼ぶべき絵本もあります。これらは、まさに子どもの知的好奇心を育むことを目的としてつくられている絵本です。

わたしからおすすめするのは、『しろいかみのサーカス』(福音館書店) 。この本は、1枚の紙を折ったり切ったり丸めたり破いたりすると、紙が立ったり伸びたり飛び跳ねたりと、いろいろな「サーカス」を見せてくれるという絵本です。

なかには、丸めた紙にいかにも重そうな石を乗せるというものも。もちろん、それらは実際に再現可能な内容です。そのため、サーカスを見た子どもたちは「やってみたい!」と目を輝かせはじめます。それこそ、知的好奇心がその子の心に宿った瞬間です。

「愛情伝達物質」が、親子の絆を強固なものにする

最後の5つ目は、保育士さんたちにとって直接的に関係のあることではないかもしれませんが、わたしからぜひお伝えしておきたいことです。それは、「親子のあいだの深いところで絆が結ばれる」というもの。

家庭で絵本の読み聞かせをするときには、子どもを膝の上に乗せるなど、親子で肌を触れ合わせていることが多いものです。すると、「オキシトシン」というホルモンが親子ともに脳から分泌されるといわれています。

このオキシトシンは、「愛情伝達物質」や「愛情ホルモン」とも呼ばれ、思いやりや愛情といった心の機能を健やかに育むために欠かせないものです。そして、その働きによって、親子は心のいちばん深いところで信頼関係を築き、強い絆を結ぶことができるのです。

その効果については、講演活動を通じてわたしが出会ったたくさんのお母さんたちから報告されています。たとえば、絵本の読み聞かせをする前には、公園で遊んでいて「もう帰るよ」といってもなかなか遊びをやめずにぐずってしまっていたような子どもも、絵本の読み聞かせをはじめてからは素直に従ってくれるようになったといった話もあるほどです。これはまさに親子の信頼関係が深まった証ではないでしょうか。

(社)JAPAN絵本よみきかせ協会 代表理事
絵本スタイリスト®
局アナからテレビ番組などのナレーターへ。一児の母になり絵本に特化。
NHK絵本朗読。保育園読み聞かせ研修多数。カルピスよみきかせ隊、
花王・パナソニック読み聞かせアドバイザー。
2021年保育士試験、実技(言語)満点で合格。

『ママが楽になる絵本レシピ31 子育ての悩みには“絵本”が効く!!』(著:景山聖子 /出版社:小学館)
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